味噌も醤油も納豆も乳酸菌の働きでつくられる(shutterstock.com)

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私たちのカラダに有益な作用を及ぼしてくれる乳酸菌。そもそも乳酸菌とはどんなものなのか?

 ヨーグルトをはじめとした乳製品に入っているというイメージがあるが、実は我々の体内やさまざまな自然環境の中に存在している。

 乳酸菌とは、その名の通り微生物に属する細菌の一種である。ただし、「乳酸菌」という特定の菌種のことを指すのではない。糖類を分解して多量の乳酸をつくる細菌の総称なのだ。

 広義には「糖を分解して乳酸など多量の酸をつくるものの腐敗産物はつくらない」とされている。また、乳酸をつくる細菌はたくさんあるが、その中でも乳酸菌は「消費した糖類から50%以上の割合で乳酸をつくる細菌」と定義され、その種類は数百種にも及ぶ。

 乳酸菌というと、乳製品の中に含まれる菌というイメージを持っていないだろうか。しかし、実は土の中、海の中、植物、動物や人間の体内など自然界のあらゆるところに生息している。

 自然界に広く存在する乳酸菌は、古くから我々の身近な食品に利用されてきた。海外ではヨーグルトやチーズなどの乳製品はもちろん、日本古来の味噌や醤油、ぬか漬けなどの漬物や、清酒などもその例である。乳酸菌という言葉を知るより以前から、日本人の食生活にも利用されてきたものである。

 乳酸発酵によってつくられた食品はいろいろな乳酸菌同士、あるいは乳酸菌と酵母など他の微生物との共生によってつくられてきた。さらには、食品だけでなく工業用品や飼料、食品添加物などの製造にも利用されている。

乳酸菌の種類によって変わる効果

 乳酸菌を大きく分けると、「乳酸桿菌」と「乳酸球菌」とに分けることができる。乳酸桿菌は棒状の形をし、人間の体内では主に小腸に住み、腸管免疫力を高めたり、有害物質を減らす役割を果たしている。一方、乳酸球菌はその名のとおり球状をしており、コレステロールを下げたり、免疫力を高める役割などを果たす。どちらも、酸素の比較的少ない環境を好む性質がある(通性嫌気性菌)。

 もう一つ、私たちの腸内細菌の中の善玉菌の代表であるビフィズス菌。糖を分解する際、乳酸だけでなく酢酸を生成したり、酸素があると生きていけない嫌気性菌であるため、厳密にいうと乳酸菌に含まれてはいないのだが、乳酸菌とよく似た働きをしているため、広義で乳酸菌の仲間として考えられている。

 ビフィズス菌は、V字型やY字型に枝分かれした形状を示すのが特長で、主に大腸に住み、人間の腸内に最も多く存在する善玉菌である。

 細菌を分類するのには、数多くの種類が存在するため、正式には「属・種・株」によって分類されている。乳酸菌も例外ではない。たとえば、あるヨーグルトに使用されている乳酸菌は「ストレプトコッカス属・サーモフィラス菌・1131株」と表現される。

 それぞれの菌によって特長があるので、本来ならどのような効果を期待するかによって摂る乳酸菌を変えることが望ましい。なお、乳酸菌は30以上の属に分類されているが、その代表的なものをあげると以下のようなものがある。

●ストレプトコッカス属
 ヨーグルト、チーズ、ソーセージ、植物性発酵食品など幅広い分野で使用されている。

●ロイコノストック属
 乳製品、植物性発酵食品、加工食肉など幅広い製品に使用されている。

●ラクトパチルス属
 最も菌種が多い。代表的な菌種はアシドフィルス菌、ガッセリー菌、ロイテリー菌等、人の腸内にいるものや、ブルガリア菌、ラクティス菌などを抱える。これらの菌は多くの発酵食品に使用されている。

●ペディオコッカス属
 ピクルスやザワークラウト、チーズ、発酵ソーセージなどに使用される。

●エンテロコッカス属
 腸球菌として人や動物の腸内に住む。

●テトラジェノコッカス属
 醤油をつくるのに欠かせないハロフィルス菌、キムチから分離されたコリーンシス菌などがいる。
 
後藤利夫(ごとう・としお)
1988年 東京大学医学部卒業。1992年東京大学附属病院内科助手。現在、新宿大腸クリニック院長。「大腸がん撲滅」を目標に独自の無麻酔・無痛大腸内視鏡検査法を開発。大腸内視鏡40000件以上無事故の大腸内視鏡のマイスター医師。一般社団法人・食と健康協会顧問。著作に『あなたの知らない乳酸菌力』(小学館)、『その便秘こそ大腸ガンの黄信号』(祥伝社)、『腸イキイキ健康法』(主婦と生活社)、『腸をきれいにする特効法101』(主婦と生活社)、『腸いきいき健康ジュース』など多数。大腸がんのインターネット無料相談も実施中。新宿大腸クリニック公式HP http://www.daicho-clinic.com