『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』 ©2015 Lucasfilm Ltd. & TM. All Rights Reserved

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期待以上の大傑作となった『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』。

東京ディズニーランド「ファンタジーランドの再開発」(イメージ図)

既存ファンだけでなく、今まで「スター・ウォーズ」に馴染まなかった人々も絶賛する、最高のエンターテイメントに仕上がっています。

一方、東京ディズニーランドでは、大規模再開発計画の見直しが発表されました。

『フォースの覚醒』のネタバレレビューを含めつつ、「スター・ウォーズ」エリア導入の可能性を探ります。

見直しになったTDL再開発計画

2015年12月22日、東京ディズニーリゾートを運営する株式会社オリエンタルランドは、「今後の開発構想 検討期間延長のお知らせ」を出しました。

大規模リニューアル&開発構想の経緯

そもそも、東京ディズニーランドと東京ディズニーシーの大規模リニューアル&新規開発の、構想が発表されたのは、2014年10月30日のことです。

東京ディズニーランドのファンタジーランドを、現在のトゥモローランドの一角を含め、約2倍の広さで刷新。

東京ディズニーシーには、ロストリバーデルタ南側に、8つ目のテーマポートを開発。

さらに2015年4月28日付けのリリースでは、もう一歩踏み込み、テーマ方針の一部が「決定」された事実が、明らかになりました。

東京ディズニーランドの新ファンタジーランドは、一部をディズニー映画『美女と野獣』と『ふしぎの国のアリス』をテーマに。

東京ディズニーシーの第8テーマポートは、一部をディズニー映画『アナと雪の女王』の世界をテーマにし、全体のテーマは「北欧」に。

エリア詳細発表が、期限を切らずに延期に

これら方針を元にした、各エリアの詳細は、2015年中に発表される予定でした。

が、検討期間は、期限を区切らずに延長される結果になったのです。

当初は想定していなかった、大きな状況の変化があったのは、間違いありません。

恐らく大方針に変更はない

では、新ファンタジーランドや、アナ雪を含む北欧エリアが白紙となったのかというと、現時点では、その可能性は少ないと思われます。

株式会社オリエンタルランドのプレスリリースの文言は、常に、非常に精細です。

もし「決定」とリリースした大方針に変更があったのであれば、そのように受け取れる表記がされるはずですが、2015年12月22日付け「今後の開発構想 検討期間延長のお知らせ」で発表されたのは、大方針に基づく、「エリアの詳細の発表」の延期です。

日本経済新聞の報道でも、大方針に変更があったと推測させるような記述は、見当たりません。

TDLにまったく別の新アトラクションの可能性

可能性の一つとして考えられるのは、すでに公表されている、TDL『美女と野獣』『ふしぎの国のアリス』、TDS『アナと雪の女王』および北欧テーマ以外の、まったく新しい、大型アトラクション・新エリアの導入です。

東京ディズニーリゾートには、もはや、余らせている土地が、ほとんど存在しません。

何かしら刷新しようとすれば、稼働中のアトラクションや、施設を潰さなければならないわけですが、年間3000万人前後が訪れる東京ディズニーリゾートにとっては、キャパシティ確保の面で、大きな問題です。

特に、東京ディズニーランドは、空き地を開発する東京ディズニーシーとは違い、緻密な計画性が求められます。

もし、再開発で、新ファンタジーランドを作ろうとしているところに、まったく別の、さらなる新アトラクション設置を、ディズニー社から求められたとしたら。

※株式会社オリエンタルランドは、ディズニーパークの運営会社として世界で唯一、米ウォルト・ディズニー社から出資を受けていません。パークの運営は、ライセンス契約を結んだ株式会社オリエンタルランドが担当し、版権管理はディズニー社、という体制になっています

“一部を『美女と野獣』『ふしぎの国のアリス』をテーマとする、新ファンタジーランド” という大方針に変更がないとしても、キャパシティ低下を最小限に抑えるため、計画の大幅な見直しが必要となります。

なぜ「スター・ウォーズ」なのか

本稿は、この新アトラクション(あるいは新エリア)こそ、「スター・ウォーズ」テーマである--との切り口です。

では、なぜそれが「スター・ウォーズ」と言えるのか。

元来、ディズニーよるルーカスフィルムの買収(2012年)、海外ディズニーパークの現況から、東京ディズニーリゾートへの(「スター・ツアーズ:ザ・アドベンチャーズ・コンティニュー」以外の)新たなる「スター・ウォーズ」要素の導入は、ファンの間では、さかんに噂されていました。

※たとえば、カリフォルニア州アナハイム「ディズニーランド」、フロリダ州オーランド「ディズニー・ハリウッド・スタジオ」(ウォルト・ディズニー・ワールド)には、「スター・ウォーズ」テーマのエリア設置が決定している

ただ、この噂が、私にとって現実感を持って聞こえるようになったのは、何を隠そう、2015年12月18日公開『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』を観て以降です。

『フォースの覚醒』ネタバレあり

さて、これから『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』を鑑賞するつもりの方には、以降を読み進めるのは、お勧めしません。

間違いのない傑作なので、まずは予備知識一切なしで、「スター・ウォーズ」の世界にどっぷり浸かってくるのがベストです。

私自身は、ネタバレをまったく気にしないタイプの人間です。

後半で詳述しますが、実はストーリーを知っている2回目以降のほうが、より深く楽しめる映画でもあります。

それでもやはり、最初の1回は、まっさらな状態で観る価値のある、傑作映画だと感じます。

「余計なお世話だ」という方、「もう観たよ」という方、あるいはスター・ウォーズファンでない方のみ、読み進めていただければと思います。

ディズニー・パークに「スター・ウォーズ」要素を取り入れるための絶対条件

「スター・ウォーズ」で、いかにお金を生み出すか

ディズニー社は、ルーカスフィルムを、約40億ドルで、傘下に組み入れました。

それだけの大金を払うからには、見返りがあると踏んでいるわけです。

このあたりの状況は、WIREDの記事「ルーカスフィルム、40億ドル。それはディズニーにとって「いい買い物」だった」で、丁寧に説明されています。

ディズニーは、「スター・ウォーズ」シリーズで、様々なメディア展開をし、お金を生み出そうとしています。

もちろんディズニー・パークでの展開も、重要な要素の一つです。

残虐シーンが多すぎるSW旧6作

ウォルト・ディズニーは、ディズニーランドを、ファミリーのために作りました。

東京ディズニーシーや、アナハイム「ディズニー・カリフォルニア・アドベンチャー」のように、“大人も楽しめる” に主眼がおかれたパークでも、子どもを排除することはありえません。

ところが、「スター・ウォーズ」シリーズには、子どもには刺激の強すぎるシーンが多すぎるのは、ご存知のとおりです。

ルークもアナキンも、ライトセーバーに腕を切断され(アナキンは最終的に四肢すべてを失い、生身で丸焼けになり、意識のあるまま手術を受ける)、ハン・ソロは生きたまま冷凍されてしまうなど、直接的、かつ、衝撃的な、グロテスク描写が、多々あります。

また、奴隷姿のレイア・オーガナや、アナキン・スカイウォーカーとパドメ・アミダラの恋愛(ナタリー・ポートマンが可愛すぎる)なども、幼い子どもに見せるのは、躊躇する親が多いでしょう。

「スター・ウォーズ」をディズニー・パークに持ってくるにあたり、エログロ描写の排除は、ディズニーにとって至上命題の一つだったと言って、間違いないでしょう。

残虐描写オールカットの『フォースの覚醒』

我が家の6歳と4歳の子どもたちは、東京ディズニーランド「スター・ツアーズ:ザ・アドベンチャーズ・コンティニュー」や、EP1〜6のつまみ食い鑑賞で、「スター・ウォーズ」の予備知識は充分でした。

日本語吹き替え版『フォースの覚醒』を見に映画館へ行ったところ、冒頭の集落全滅のシーンや、共和国壊滅のシーンなど、少々恐がる場面こそあったものの、すっかりハマったようです。

BB-8のオモチャや、カイロ・レン、ストーム・トルーパーのマスク、ライトセーバーのオモチャに、飛びつくようになりました。

ディズニーは「スター・ウォーズ」を、親子で楽しめる映画に、すっかり変えてしまったのです。

もはや、ライトセーバーで斬られても、腕が切断されることはありません。

※あくまでも、旧6作のようなエログロ描写、直接的な残虐描写がなくなったというだけで、人は死にますし、銃で撃たれたり、ライトセーバーで斬られたり、怪物に呑み込まれたりはします。子どもの個性によっては、鑑賞に堪えないケースも当然あり得ますので、親の責任において鑑賞させるよう、お願いいたします

お膝元アメリカの、ディズニーランド・リゾートや、ウォルト・ディズニー・ワールドはもちろん、東京ディズニーランドで「スター・ウォーズ」展開する、最低条件は、整ったと言えるでしょう。

新生SWシリーズを印象づけるディズニー

実際、ディズニーは、プロモーションのうえで、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』を、旧6作とは、意図的に切り離そうとしてきました。

みなさん、ここでいったん、『フォースの覚醒』のプロモーションを思い出してみてください。

『スター・ウォーズ/エピソード7』という表現は、一切見当たらなかったはず。

“エピソード7” ではあるのですが、飽くまでも『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』として、私たちにインプットされています。

『フォースの覚醒』には、懐かしい顔ぶれ・要素が登場し、「これでもか」という期待通りの活躍をします。

昔からのファンの満足度も高い仕上がり。

過去作との繋がりをアピールするのは、マーケティング的には王道のはず。

あえてそうしない理由の一つは、過去作とはまったく違う、(ディズニー版)新生「スター・ウォーズ」シリーズを、印象づける狙いがあったのだろうと推察させます。

『フォースの覚醒』の完成度が高すぎる

親子で観られる「スター・ウォーズ」。

あんなヌルい描写ばかりのSFなど、「スター・ウォーズ」じゃない!! そう憤る、コアなファンもいるのかもしれません。

ただ、これがディズニーが関わったことによる、ほぼ唯一と言っていいマイナス要素です。

ディズニーとルーカスフィルムは、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』を、素晴らしい完成度の傑作に仕上げてきました。

1回目は、公開初日に鑑賞しました。

どうなるんだろう? というワクワク感に乗ったまま、一気に見終わりました。

流れるようなストーリー、お馴染みの面々やドロイド、ミレニアム・ファルコンの大活躍、最新CG&SF演出で描き直した、過去作を彷彿とさせるシーンの続出……「最高」と言うほかありません。

パーフェクトなストーリー展開

鑑賞2回目も、飽きるどころか、より面白さが増します。

ストーリーを知っているからこそ、あらゆる描写に、無駄なく意味があり、次のシーンの伏線になっている事実に気づきます。

「なるほど、これはこういう意味だったのか」という発見が、無数にあるのです。

私は、ディズニー/ピクサー『トイ・ストーリー』シリーズの、パーフェクトなストーリー展開を想起しました。

おそらく、ピクサーがディズニーに持ち込んだ “ブレイントラスト会議”(またはそれに類する仕組み)が、ルーカスフィルムにも持ち込まれたのでしょう。

そうでなければ、少し考えにくいほどの、完成度です。

また、マーベル・シネマティック・ユニバースの作品群のように、張り巡らされた伏線も感じました(恐らく、次作以降で明らかになるでしょう)。

既存ファン以外からも大絶賛される、史上最高の「スター・ウォーズ」が誕生

巷に溢れる『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』の感想を見ていくと、今までは「スター・ウォーズ」ファンではなかった、一般の人々が、絶賛している事実が見えてきます。

実は、旧6作未鑑賞の私の妻も、『フォースの覚醒』を鑑賞して、大絶賛しました。

それまでまったく興味を示さなかった過去6作を「見る」とまで言い出し、私を驚かせました。

ディズニーの近年を振り返ると、ピクサーから、ジョン・ラセターがやってきて、ディズニーアニメーションは復活し、『ベイマックス』という最高傑作が生まれました。

実写部門からも『シンデレラ』という傑作が生まれ、マーベルも比肩する者のないSFの傑作を連発しています。

ルーカスフィルムも、ディズニーの一員として、一連の流れに組み込まれ、完璧なストーリーテリングと、マーベルにも劣らない(それいて「スター・ウォーズ」らしさを失わない)、最新のSF描写を手に入れました。

純粋に物語が魅力的で、親子で楽しむことができ、スター・ウォーズらしさ満点で、観れば観るほど深掘りできる、史上最高の「スター・ウォーズ」が、世に放たれたのです。

東京ディズニーランドの未来は……?

「これなら、堂々と勝負できる。」

もともと、ルーカスフィルム買収費用の回収が必須だったディズニーですが、確信に変わったに違いありません。

株式会社オリエンタルランドが、具体的検討に入っていた東京ディズニーランドの新ファンタジーランド構想。

横からねじ込む形で、「スター・ウォーズ」要素の導入を、ディズニーが要請したとして、なんら不思議はありません。

また、株式会社オリエンタルランドも、親子で楽しめる最高のエンターテイメント『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』を目にして、これならば検討に値する、と本気で考えたはずです。

もちろん、これはすべて妄想。

東京ディズニーランドがどんな姿に進化するのかは、公表されるまでわかりません。

『フォースの覚醒』は新たなるファンを開拓し、東京ディズニーランドに「スター・ウォーズ」エリアができたら嬉しい、と考える人々の数は、倍増したはず。

ぜひ、期待して待ちたいと思います。