力量・個性とも百花繚乱の日本女子勢を見て、「フィギュアが文化になる日」は遠くないと確信した全日本フィギュアの巻。
百・花・繚・乱!

10年前に咲いた浅田真央という花が今なお咲き誇る中で、新たな春がやってきたかのよう。全日本フィギュアスケート選手権、女子シングル。まるで花畑のように、いくつもの才能が花開いていました。かつて浅田真央がそうだったように、10年先の未来を照らす才能がほころんでいる。間に合った。つながった。また巡った。「終わらない春」の始まりに立ち会っているような気持ちで、僕は少女たちを見つめていました。

ロシアから次々に出てくる強豪女子選手たちを見ては、恐ロシアと震えていたのがウソのよう。何だ、恐れおののく必要などないじゃないか。日本もまた「どうなってんだコレ」というフィギュア大国なのだから。小学生そこそこの少女たちが日本中の注目を浴びながら堂々と世界を目指し、しかも出てくる娘がどれもこれも十分なチカラを備えているなんて普通じゃない。大国です。恐れるものなど何もない。

2015年は「女子サッカーを文化に」という言葉が話題となった年でしたが、女子フィギュアは「ブームから文化に」の道を着実に進んでいるのではないでしょうか。確かに少し前までは「浅田真央がいなくなったら」という不安もありました。民法地上波で放映されたり、フィギュア界から日本のスターが生まれるということは「当たり前」ではなかった。しかし、今はチカラさえつければ、そこまで行ける下地がある。ラグビーのように歴史ごと変える必要はない。普通でいいんです。それはとても得難く、尊い状況だと思います。

大抵のものが20年つづけば文化となります。20年つづけば「生まれたときからソレがあるのが当たり前」という世代が、時代を担当するようになるからです。今はサッカーのプロリーグがあることを誰もが当然のように受け入れているかもしれませんが、20年前は当たり前のことではなかった。20年かけて「当たり前」になったのです。浅田真央という「国民的」から始まった10年が、次の10年へとつながるメドがついてきた。文化になりつつある。それを強く感じられたという意味で、今大会は素晴らしく実りある大会だったように思います。

去年もそうだったんですけど、今年は「国民的」がそこにいたことで一層強く「実ってるな」と感じられましたから。

あと10年やっていけるなと思える実りを。即ち、明るい未来を。

ということで、若き才能と個性的なベテラン勢がそれぞれの花を咲かせた、27日のフジテレビ中継による「全日本フィギュアスケート選手権 女子フリー」をチェックしていきましょう。

◆世界のさっとん、エンターテナー本郷、やらかしの佳菜子、個性爆発!

心と時間に余裕のないときの傾向か、昨日はカメラワークがどうだこうだと小言みたいな感じになってしまいました。確かにヘンではあるが、そういうものも含めて楽しんでいくのが僕の信条。言いたい文句はもう言ってしまったので、今日は気持ちよく見守ろう。そんな気持ちでダラダラ飲みながらの観戦です。

地上波の中継は第3グループから。そうだろうそうだろう。2時間の尺なら最悪の場合「振り返り煽り映像+控室+最終グループ演技+何故か羽生氏」で埋められなくもないのでしょうが、いかなフジでも世界レベルが集った第3グループをすっ飛ばすわけにはいきません。ましてや、シレッとひとり削ったりなどできるはずがない。これが最終グループでもおかしくないような演技の連発で、ノーカット不可避の充実ぶりです。

5種トリプルは当たり前で、当たり前のように3回転+3回転も入れてくる。GPシリーズに出ていてもおかしくないし、実際に出ている選手が第3グループに押し出されてきていたりするハイレベルな第3グループ。新田谷凜さん、本田真凜さんらもジュニアでやっているというだけで、やっている要素自体は世界で何ら見劣りするものではありません。SPの上位6人が残っているのに、「世界」がもう始まっている。

その突き上げをどう受け止めて跳ね返していくか、最終グループもウカウカしてなどいられません。最初に登場したのは宮原知子さん。世界のメダリストは、いきなり圧巻の演技で会場をビシッと締めます。小さな回転不足こそ取られるものの、基本的にミスがない。そして、どの要素も「こうすれば加点ですよね」というところまで意識して演じられている質の高さ。

男子でも羽生結弦氏が「僕がミスしなければ誰も追いつけないよ」という演技を見せつけていますが、宮原さんもそれに近いところに行きつつある。「加点はキッチリ取らせていただくので、同じ構成なら勝てませんよ」くらいにはすでにたどりついているのではないでしょうか。ちょっとこの演技では、「真の浅田真央」が出てこない限りは優勝は決まりでしょう。最終グループの勝負を、まったく面白くなくするような、見事すぎる演技。それもまたさっとんらしい個性です。

↓解散!優勝争い解散!現時点でコレをやられたら優勝争いは終わりです!


これ、滑る前にコーチの頭突きがガン決まりするくらいしか崩れそうな気配がないな!

参りました!

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つづいて登場の樋口新葉ちゃん14歳。「最近、学校で制服なくなったりしてない?」と僕の中のキングオブシンパイもわき起こる若さと、すでに世界に届こうとしているチカラ。このふたつが両立するなんて、キミは浅田真央か。大物ぶりはこの日も健在で、2度の3回転+3回転をしっかりと決め、トータル195.35点という世界レベルのスコアをマーク。恐るべき14歳。最後の気合いみなぎるパンチには、マモノオブリンクもノックアウトに違いありません。

そしてもうひとり、“衝撃”の白岩優奈。トリプルルッツからの3回転+3回転を加点が取れる出来栄えで決めると、構成要素も出来栄えも質の高い演技。演技のほぼほぼ最終局面に3Lz+3T+2Loと2A+2Tを入れてきて、しかもルッツからのジャンプはほかでコンボをつけ損なったぶんのリカバーだというから呆れるばかり。世界のほとんどの選手が「トリプルルッツにトリプルトゥループをつけられたらいいなぁ」と思っているのに、アラヨッくらいの感じでやってしまうなんて。キミも浅田真央か。参考までですが、ビジュアルも好みですよ。

さぁ、そして今季もっとも楽しみなプログラム、本郷理華のリバーダンス。長い手足を魅力へと変換していくベストマッチな演目。今季前半にコレを見て、一目ぼれしてしまった今季のフェイバリットプログラムです。冒頭のジャンプ要素ではトリプルルッツで転倒がありますが、見せ場はそこじゃない。曲と合わせてカタカタと踏み鳴らされるタップは観衆の拍手を呼び、最大の見せ場となるコレオシークエンスへ向かっていきます。

タン、タン、タンと鳴るタップ音。それに合わせて腕を上げ、飛び跳ね、ステップを踏む。早くなるテンポと高まっていく音量。ズワーーーーッとせり上がる音楽が期待感の頂点に達したとき、心をわしづかみにするような祝祭のタップを踏む本郷さん。本家「リバーダンス」の楽しさをフィギュアスケートに取り入れつつ、氷の上だからできる超人的なジャンプやスピンを織り交ぜて、エンターテインメントを作り出している。とても楽しい。

「技術要素じゃない部分」で音ハメの厳しさとか、要求されるハードルは高いけれど、完璧にやり切ったなら観衆はスタンディング手拍子をせずにはいられなくなるプログラム。こういうと言い過ぎかもしれませんが、長野五輪でフィリップ・キャンデロロが演じた「ダルタニアン」のような、何度でも見たくなる楽しさがこのプログラムにはあります。難しいことをやれば「すげー」とはなりますが、「楽しい」を作り出すのは本当に難しい。でも、このプログラムにはすでにそれがある。

ただ、楽しさは上手さの上に立つ「2階」なので、1階がしっかりしていないと魅力も損なわれてしまう。長野五輪でカナダのアイスダンスペア…今は振付師としておなじみのシェイ=リーン・ボーンが演じたものであるとかに比べると、1階がパンとしないぶんどうしても2階の高さが損なわれている。

「何か面白いことしたろう」という気持ちを持つ者が選ぶリバーダンスというテーマ。本郷さんにはきっと合っているし、もっと面白いところまでいけるはず。自分の個性というかキャラクターを確立するためのプログラムになるんじゃないかと思います。僕が思うに本郷さんも「何か面白いことしたろう」組じゃないですか。代表作と言われるところまで、やり切ったほうがいい。まぁ長くなったんで一言でまとめると、来季もコレをやったらいいじゃない、という話です。

↓カメラワークとかタップのキレとか本人の表情とか、全日本はもうひとつな感じだったので、イイ顔だった中国杯を見ますね!


全日本はちょっと元気がなかったかな!

点はいいんだけど、大事なのはそこじゃないんだ!

コレで客を総立ちにさせるまでやってみよう!

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で、真の浅田真央さんは2018年を見据えて今回は調整中ということになりまして、最終演技者・村上佳菜子ちゃんの演技へ。映画「SAYURI」の楽曲に乗せて、冒頭のジャンプをふたつつづけて決める佳菜子ちゃん。しかし、トリプルフリップでは大胆に転倒。本来コンボにするつもりだったフリップを転倒したことで、そのリカバーを考える必要が出てきました。

フル回転する佳菜子コンピューター。電卓アプリ並みの高い計算力で、佳菜子ちゃんは帳尻の合わせ方を考えていきます。スケートカナダとも違う、予定の構成とも違う、まったく新しい構成をその場で考えながら、佳菜子コンピューターはヒートアップ。そして画面上を砂時計がずーっと回転する状態になってしまい…

↓演技後半で佳菜子コンピューターは思考停止!ジャンプを跳ばずに何かグッチャグチャにして再起動を要求してきた!


フリップこけた!コンボ抜けた!どうにかしなきゃ!(1つめのタスク発生)

ステップの間にいろいろ考えて演技後半へ(CPU使用率高め)

とりあえず3S跳ぶ。しかし、予定の構成では最初の3Sのところが3S+2Lo+2Loだった(スケートカナダもそうしていた)

あ、3Sのコンボ跳ばなきゃ(2つめのタスク発生)

あれ?フリップってどうするんだっけ?(重くなる)

動画でいう3分30秒頃、フリップのモーションまで行ってから跳ぶの止める(ウィンドウ固まる)

3S+2Lo+2Lo跳ぶ(先に2つめのタスク解決)

コレオシークエンスの間にいろいろ考える(CPU発熱、送風ファンぶーーーん)

やっぱジャンプ足りないわ、どっかで跳ばなきゃ(3つめのタスク発生)

何跳べばいいんだっけ?コンボだっけ?何だっけ?(砂時計グルグル)

えーと、えーと、えーと、えーと、いいや3T跳ぼう!ワタシの一番得意なジャンプ!(ビープ音鳴る)

まだジャンプ足りないわ、ていうか今3T跳んだとこで2A跳ぶはずだったんだ、どうしよう!(4つめのタスク発生)

えーい、跳べ、2A!(ビープ音テケテケテケテケ)

しまった、今の2Aのタイミングは最後のスピンに入るための動きをするところだった!どうしよう!(5つめのタスク発生)

いいや、このままスピンいっちゃえ!(Ctrl+Alt+Deleteでタスクマネージャー起動)

何かすごい時間足りなくなってるんですけどぉ!いいや、振り付けはしょって終わっちゃえ!(強制的に再起動)

あのーーーーーーーワタシはどうすればよかったんでしたっけ?????(ログインしてください)

何だコレwwwwwwwwwwwwwwww

みんなワロてるやんwwwwwwwwwwwwww

もう、忘れたの? [ 酒井順子 ]

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感想(1件)



会場を爆笑させ、宮原さんにまで笑顔をこぼれさせた。タダのやらかしではなく、笑いにつながる面白いやらかし。それは本人のキャラクターと、自分でしかめ面するという天性のリアクションの成せるワザ。決して褒める場面ではないのですが、「これぞ村上佳菜子」という演技であったことも確かです。THIS IS KANAKO MURAKAMI。世界が納得する佳菜子スマイルです。

まぁ、あえて真っ直ぐ言えば、ひとつのプログラムをきちんと滑り込むでなく、あーだこーだとグッチャグチャにいじくりまくり佳菜子流がコレを生んだ原因であることは間違いありません。スケートカナダとも違う、予定の構成とも違う、まったく新しいことにその場で取り組めばワケわからなくなって当たり前です。毎年、毎年、ちょっとやりづらいところがあるとプログラムをグチャグチャ変えてるから、エラーの対処も安定しないのです。

本郷さんとは別の方向性で、このプログラムをやり切ったほうがいい。とりあえず全部ちゃんと身体で覚えたほうがいい。跳びすぎてやらかすパターンはわりとよく見ますけど、「迷った末に跳ばない」ってパターンはレアですからね。このままいくと「カナコる」とかの造語が生まれますからね。一度そうなったら、引退後は面白いツイッターとかで頑張ることになってしまいますよ。「うん、そのほうが楽しそうだし、儲かりそう!」ということなら応援はしますが、誰にでもオススメできる道ではないので、しっかり考えて人生を選択していってください…!

↓ということで、世界選手権の代表はこうなりました!

男女シングルは想定通りの顔ぶれに!

本郷さんは危なかったけど、新葉ちゃんがジュニアの大会を獲りにいくので、4位での生き残りは想定内!さぁ世界選手権でリバーダンスやり切ろう!

頑張れ、日本代表!

テレ朝さん!村上佳菜子ちゃんで「しくじり先生」いけると思いますよ!