「わーすごい!見たことのない角度だ!」と世間が喜ぶだろうと思っているフジテレビ中継班に贈る渾身の「いや、別に」。
今日は試合の振り返りはヤメで、主に中継の反省会です!

熱戦つづく全日本フィギュアスケート選手権。本来なら注目の男子シングルの振り返りなどをするタイミングですが、今日は反省会に文字量の大半を割きたいと思います。きっかけは男子フリーの最終演技者として登場した羽生結弦氏の演技。この演技の中継がどうにもストレスの溜まるものだったのです。

最近立てつづけに神演技を披露したことで、見る回数が増えていたことも影響しているのかもしれません。全日本の中継を見たときに「何かいつもと違う」「いや、こうじゃないだろ」「ていうか酔いそう」と不満ばかりが先に湧いてきてしまい、残念な観戦となってしまったのです。

思うに、その原因はカメラワーク。テレビで見る以上、映像だけがコチラの頼りだというのに、その「目」がしっくりこないのですからストレスも溜まるというもの。よく中継中に「このポエム入れるくらいなら現地の音だけでやってくれ」という音に関する文句を言ったり聞いたりする機会はありましたが、音は最悪イイと思うのです。どんな寒々しいポエムだろうが、うるさいだけの問題ですから。

しかし、「目」は困る。目がしっかりしてくれないと、肝心のところがコチラに伝わってこないでしょう。スタジアムでも隣のオッサンのヤジがうるさいのはイライラしつつもガマンしますが、隣のオッサンが目の前で視界を遮り始めたらさすがにどかすじゃないですか。「うるさい」のと「見えない」のは全然質が違う問題だと思うのです。

いい機会なので、自分自身でもフィギュアスケートの中継はどうあってほしいのかという点について、考えていきたいと思います。そして、今回どこが気になって、何を止めて欲しいのかという要望としてまとめていきたいなと。もしかしたら、こうした市井の声が再検討のきっかけになるかもしれないと願って。

ということで、主にカメラワークに注目しながら、26日のフジテレビ中継による「全日本フィギュアスケート選手権 女子SP・男子フリー」をチェックしていきましょう。

◆オマケのオシャレ映像を放映するのは次回の煽りVTRでいいはず!

そもそもフィギュアスケートとはどういう競技なのか。バレエのように全身を使う舞踏としての側面は確かにありますが、あくまでもスケートなんですから「滑り」が根底であろうと思うのです。滑りとは何かと言ったら「足」でしょう。スケート靴と氷がどう接して、どう動いているかがフィギュアスケートの根本のはずです。

極端な例を出せば、下半身だけ映っているのと上半身だけ映っているの、どちらが「フィギュアスケート」を映せているかというと、有無を言わさず下半身じゃないですか。上半身だけ見ても何もわからないでしょう。フィギュアスケートなのかローラースケートなのかさえわかりません。

しかし、最近の選手たちの舞踏力向上もあってか、中継スタッフ側にも「舞踏」として盛り上げたいという欲があるのではないか。そして、その欲を、ディレイ放送とは言え「スポーツの公式戦」として中継される一発目から出してしまっているのではないか。

女子SPの横井ゆは菜さんの演技では、演技開始の瞬間に超ロングの引きからリンク全体を煽り気味に舐め上げるようなカットをぶっこんできていましたが、それは多分「サウンド・オブ・ミュージック」ですよね。演目の「サウンド・オブ・ミュージック」の雰囲気を引きずって、スタンドをアルプス山脈に見立てちゃったりして、肝心の選手が豆粒みたいになってる映像を入れちゃったということですよね。はたしてそれは適切だったのかどうか。

たとえば体操の中継で、鉄棒の下から映した映像があったらカッコイイとは思います。ただ、それじゃ何の技をやって、どんな出来栄えだったか見えないでしょう。ダイナミックな映像と、競技観戦に必要な映像というのは別なのです。まず競技観戦に必要な情報が入った映像で通したうえで、ヒマな時間や幕間のつなぎにダイナミック映像を入れるというのが正しい順番でしょう。

本郷理華さんや宮原知子さんの演技では、ステップシークエンスの途中に「超ロングの引きの映像で、何故か花を舐める」という不思議なカットが挟み込まれていました。花はキレイですし、本郷さんや宮原さんにも似合うかもしれない。しかし、ステップシークエンスの途中に「足が見づらい」状態の映像を挟むというのはスポーツ中継としておかしいでしょう。

もちろん全身見えないと都合が悪いのですが、とりわけ足が見えなかったら出来栄え以前にどのステップをしてるんだかよくわからない。野球やサッカーで言えば「インプレー中にボールを映してない」みたいな話です。同じ理由でフィギュアスケート中継によくある天井カメラもいただけない。天井から映したらカッコイイのかもしれないけれど、上から見たら足が見づらいのです。足が見えないカットは、競技性を考えたら「オマケ」にしかなれないはずなのですが…。

↓「花を映したろ」的な邪念がちょいちょい感じられる中継映像!(2分40秒頃)


Rika Hongo - 2015 Japanese Nationals SP 投稿者 japanskate
花より華を映してくれや!

ウチのテレビちっちゃいねん!

ゆっくりまっすぐ近くにおいで

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それでも女子のほうは比較的いつも通りで、若干映像がポエミーだなという程度の違和感だったものが、男子の中継に入ると「質」の面で明らかにおかしいと思われる点が生まれ始めます。まさか手持ちでやっているのか上下左右にゆらゆらと揺れるカメラは、そのゆらゆら感を保ったまま選手の動き(※同じ演目なので毎回大体同じ)にビクッビクッと細かく反応します。

まるで「演目を把握しないで撮っている」感じの動きです。S字に蛇行するようなときに、S字の動きにいちいち反応してカメラを左右に振ってみたり。これは想像なのですが、ひょっとして男子と女子で中継班が代わっていやしないでしょうか。隕石が落ちたとか、イクラであたったとか、朝が早かったのでもう眠いとかで。

とにかく演技の随所で、今初めて見たようなビクッビク反応を見せるカメラ。わからないならわからないで、もうちょっと引きの映像にしておけばいいのですが、「アップを入れよう」と欲をかくので、選手を画面内におさめることに四苦八苦するような状態。

ついに宇野昌磨クンの演技では、選手がフレームからハミ出すという事態に。これは「準備をしっかりする」か「余計な欲をかかない」か、どちらかを徹底していれば回避できただろうミス。ホームランボールを見失うのとは質が違うハミ出しです。だって、ホームランはどこに飛ぶかわからないけれど、宇野クンがどこにいくかは決まっているのですから。

↓アップの映像を入れようとしたら、画面狭すぎて宇野クンが消えた!(3分30秒頃)


Shoma Uno - 2015 Japanese Nationals FS 投稿者 japanskate
どうでもいいけどコーチ、キメッキメだなwwww

ディズニー・プリンセスのクリスマスかと思ったわwwww

あと、教え子に気安く頬ずりしないでください!

僕の中の格言にも「頬ずりできるならオッパイはギリいける」というのがありますので!

僕と彼女がいちゃいちゃいちゃいちゃ

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そして登場した最終演技者・羽生結弦氏。ここまでの中継の間にカメラ担当が何人か帰ってしまったのか、絶対王者の中継は横からのアングル中心で臨むことになりました。滑り出し前に早速ピンボケのアップ映像を入れると、天地を司るスタートの構えはあえて横から撮るというオシャレ感を発揮。フライングスピンのフライングの途中で1回カメラをスイッチしてまで観客席をバックに映したかと思えば、コレオシークエンスの導入では、何故かバックショットを見せてくるという斬新なカメラワーク。

最後のコンビネーションスピンでも、入りの部分で1回カメラをスイッチして「スピンはどうしても観客席をバックにしたい」という強い意志を示します。そのせいで最後の決めポーズは斜め前方から抑える形となりましたが、あるいは「真正面の顔は何回も見たでしょ?」というメッセージがこもっていたのかもしれません。

↓年に5回くらいしか見ない演目だから飽きたりすることはないんだけど、先回りで飽きに配慮して斬新なカットを入れてみたぞ!

Yuzuru Hanyu - 2015 Japanese Nationals FS 投稿者 japanskate
確かに背中とか横は見たことないけどさwww

見たことない角度を収集してるわけじゃないんだよwww

打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか? 【DVD】

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もしも1台しかカメラがなかったら、ジャッジと同じ側の中央に置くでしょう。ジャッジがそっちにいるのですから、フィギュアスケートの本来の観客席はジャッジ側になるのです。たまたまアリーナ形式で一周しているだけで。キメ顔もアピールもジャッジ側に見えるようにやるのですから、ジャッジ側から抑えておけば最低限足りるはず。

バレエとか芝居とか観客席が一方にある出し物は、横から見たり後ろから見たりはしないもの。そりゃあ、横や後ろから見たら斬新な見た目でしょうが、そういうつもりで作っている作品ではないのです。ジャッジ側から見える全体像をまずしっかりと映す。それが出来たうえで、純粋なつなぎの瞬間などを利用してより見やすい角度を探してスイッチする。オシャレな映像もいいのですが、何を映すのがメインなのか、そこは改めて徹底していきたいもの。

個人的にも過去映像と並行して見るときに、今回の中継のようなオリジナル角度を挟まれると、どこが変わってて、どこがミスしたのかを見るのが大変難しくなるのです。通しの映像はジャッジ側から平凡な角度で全身をお願いしたい。その上で、オリジナル角度のカッコイイ編集映像があるなら、別の機会に紹介してもらえればいいのではないでしょうか。僕は頭の中で「今どっち向き?」を考えるのが下手なので、特にそう思います。よろしくご検討のほどを。

見たことのない角度ってのは、往々にして見なくてもいいものだったりする!