コーヒーにこだわっても“ミルクもどき”? スミレ/PIXTA(ピクスタ)

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 登場期は「薄利な客寄せ商材に過ぎないのでは」との過小評価もささやかれた、コンビニの「淹れたてコーヒー」。今ではカウンター商材の顔として君臨するまでの存在感を見せ、客も手馴れた感じでカップに注ぎテイクアウト。

 缶コーヒーに比べれば、挽きたて淹れたてのコーヒーは香りも豊かで、「○○コンビニがお気に入り」などのこだわり愛飲者も増えている。

 豆の種類やブレンド、ドリップ方法などに各社こだわりを見せるが、小容器に小分けされて備え置れた「コーヒーフレッシュ」はどれも似たようなもの。消費者もあまり関心をもっていないように感じるのは、気のせいだろうか。

 安価で身近なコーヒーフレッシュの使い道は、何も"珈琲の友"にかぎらない。卵焼きやカルボナーラ、フレンチトースト......、ネットに投稿されたレシピには、隠し味としてコーヒーフレッシュを加えたものが散見できる。

 保存も簡単で便利このうえないコーヒーフレッシュだが、フレッシュでもなんでもない"なんちゃってミルク"。植物油に水を混ぜ、添加物で白く濁らせ、ミルク風に仕立てたものだ。その成分には、あまり注意を払っていないのではないか。

従来の名脇役から主役の座を奪ったが......

 「コーヒーミルク」とも通称される、あの液体クリーム。源流は米国カーネーション社(のちにネスレ社が買収)が1958年に開発し、そのブランド名がクリーマーの代表格ともなった『コーヒーメイト』。日本ではメロディアン社が1976年に『コーヒーフレッシュ・メロディアン・ミニ』を販売し、次いでめいらくグループの『スジャータ』が登場すると、数社が家庭用・業務用の競合商品で後を追いかけた。

 昔から"珈琲の名脇役"として君臨してきた牛乳や生クリームも、コストや日持ちの面での課題を抱えていた。それをクリアしたのが粉末タイプ(クリーミングパウダー)で、海外では後発の液体タイプとも区別なく「クリーマー」と総称しているという。

 通称の「コーヒーフレッシュ」が和製英語ならば、液体容器の小型カップも「ポーション」と名づけられた和製英語。前者の代名詞が定着した背景としては先駆のメ社が関西エリア、二番手のめ社が中京エリアで広めた影響が大きいそうだ。

 気になるのは、その中身。地域によっては「クリーム」あるいは「ミルク」とも呼ばれ、乳脂肪を主原料にしていると思われがちだ。ところが、一般的なコーヒーフレッシュは、牛乳(ミルク)や生クリームで作られてはいない。

「ミルク生まれ」は例外中の例外

 いわゆるネーミングの妙だろうが、市販されている大半の商品は「植物性油脂」に「水」と「乳化剤」を加えて作られる"クリームもどき"。さらに着色料で白の色合いを、香料で匂いをつけてミルク風に仕立てたしろもので、独特のとろみも増粘多糖類によるものだ。例外は森永乳業の看板商品『クリープ』で、ことさら"ミルク生まれ"をうたっている所以だ。

 直に舌なめずりすると歴然だが「ミルクもどき」ゆえ、まったくおいしくない。主原料が植物性脂肪のため、乳糖不耐症の人も飲めるとか、珈琲の味を左右しにくいあっさり風味がアメリカン向きであるとか、ひいき筋の声もある。だが、その原材料や製造過程を知れば、健康面を意識する人ならば、あまり多用したくなくなるはずだ。

トランス脂肪酸ゼロでも添加物のかたまり?

 植物性油脂ならば「それほど危険ではないのでは?」と思いがちだが、欧米の一部の国では全面禁止になっている「トランス脂肪酸」が含まれている。さまざまな加工食品に含まれるトランス脂肪酸は、多くの研究で冠動脈疾患との関連性が指摘され、健康への悪影響が懸念されている。だが日本では、トランス脂肪酸の使用に規制がない。

 ところが最近、「トランス脂肪酸0.0g」を謳うコーヒーフレッシュが登場。つまり食品会社は、トランス脂肪酸が「体に悪いもの」と認識しているわけだ。しかし、そもそもコーヒーフレッシュ自体が、さまざまな添加物が複合している"ミルクもどき"。できれば健康面も考えて、コーヒーにもこだわりたいものだ。
(文=編集部)