11月中旬、俳優の阿藤快さん(享年69歳)の突然の訃報に驚かれた人は多かったに違いない。死因は大動脈瘤破裂胸腔内出血だった。
 大動脈瘤破裂は、心臓から全身に血液を送り出す動脈にできた瘤が破れる病だ。瘤の直径が5センチを超えると破裂する可能性が高くなり、出血によって、そのままショック死することがほとんどだという。

 阿藤さんは、破裂によって胸腔内に血液が流れ込み、そのまま帰らぬ人となってしまったが、直前までドラマに出演するなど元気な姿を見せていたというから、まさに“突然死”だった。
 「大動脈の瘤は、動脈が風船のように膨らんで瘤状になったもの。その主な原因となる高血圧や動脈硬化の治療をしても徐々に大きくなってきます。破裂のリスクが高まると、原則、外科手術が必要。そのタイミングは一般的には超音波検査やCT検査によって判明する瘤の大きさで決まります」(健康ライター)

 阿藤さんの場合は生前、「背中が痛い」と周囲に漏らし、マッサージを受けていたという。ある専門家は、その背中の痛みが動脈に関係する重大病の“サイン”の一つだと指摘する。
 東京医療総合センターの循環器科担当医がこう説明する。
 「動脈の血管の直径が正常の1.5倍、40ミリ超に膨らんで瘤になったものを、大動脈瘤と呼びます。その多くの場合、瘤だけであれば痛みなどの自覚症状はほとんどありません。瘤が大きくなり血管の壁が裂け、血液が血管の中膜内に入り込む解離が起こったときや、破裂した際に、初めて背中や胸に激痛が走るのです。阿藤さんの場合、まず小さな解離が起こって痛みが一時的に出た後、再度の解離から破裂に至ったとも考えられます」

 つまり、解離した部分に血栓ができて、いったん痛みが治まり、ジワジワした痛みを繰り返して破裂に至ったと考えられる。
 「破裂時には、9割以上の人に強烈な痛みが見られます。突然の最初の痛みが最も激しいのが、急性心筋梗塞などと異なる点で、引き裂かれる感じや、焼けつく感覚もあり、それが長時間続く。心臓に向かって解離が進んだ場合は、心筋梗塞を起こしたり、大動脈弁が拡張して大動脈弁閉鎖不全症などに陥る可能性もあります」(前出・健康ライター)

 解離が始まった場所が心臓から出てすぐの最も太い上行大動脈にある場合は、著しい持続生胸痛があるという。
 「この痛みは、しばしば喉元から背部痛にまで広がり、腰の方まで進行する場合があります。しかし、背中や胸、臓器の激痛は、いずれも脊髄を通って脳に伝えられる。このとき、痛みが起こっている箇所を脳が取り違えると、一見、関係のない場所に痛みを感じさせるので注意が必要です。これは心筋梗塞で肩や顎が痛むのと同じケースで、『放散痛』、『関連痛』とも言われます」(専門医)