「フォローアップミルク」が正直なところよくわからないのでありのままをメーカーにきいてきた

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「母乳の子もフォローアップミルクを飲ませる必要があるの?」
「うちはもうミルクは卒業して牛乳を飲ませているから……」
1歳前後の子育てファミリーを悩ませる、フォローアップミルク問題。

おそらく検索せずにはいられない≪フォローアップミルク≫は、どのような飲み物で、どのような利点があるのか、本当はよく分かっていないという方も多いのでは?

ということで、メーカーの見解と事実を確かめるべく、フォローアップミルク『つよいこ』でおなじみ、雪印メグミルクグループ ビーンスターク・スノー株式会社を訪問。同社の広報担当で、育児品事業部営業企画グループ課長の田中健一さん、また研究開発担当で、商品開発部マーケティンググループ主任で農学博士の山村淳一さんにお話をうかがってきた。


―― フォローアップミルクのパッケージには「9ヵ月頃から」と書かれているものが多いのですが、これはなぜですか?

ビーンスターク・スノー担当者(以下、つよいこ):それを知るための手がかりになるのはズバリ「鉄」です。鉄はヘモグロビンやミオグロビンとして血液中の酸素の運搬などに関わるばかりではなく、脳の形態、機能、エネルギー代謝に関連し、神経伝達物質の合成や分解にも必要な栄養要素。つまり脳の発達と密接な関係にあります。じつは近年の海外の研究では、乳児期に鉄が欠乏することによる知能や言語の発達障害に相関があることがすでに報告されています。

―― 母乳に鉄は含まれていないのでしょうか。

つよいこ:赤ちゃんの成長にとって母乳に勝る栄養源はないのは周知の事実です。しかし残念ながら母乳には、「鉄」に関していえば含有量は極めて低い。生後5ヵ月くらいまでは胎内にいたときに蓄えられた鉄(貯蔵鉄)で十分充足されますが、それ以降は離乳食などで補わなければなりません。フォローアップミルクは鉄が強化されているため、離乳食でまかなえない分をフォローするのに最適だと考えています。

―― 牛乳ではその役割を担えませんか?

つよいこ:1歳を過ぎたら母乳や粉ミルクから牛乳に移行する、というご家庭は多いと思います。しかし牛乳も母乳と同じく鉄の含有量がとても少ない。さらに牛乳は母乳に比べて吸収率も低いのです。また、乳幼児が牛乳を多飲すると、それだけで食欲が満たされてしまい、ますます食事からの鉄摂取量は少なくなってしまう傾向があります。これが「牛乳貧血」と呼ばれる鉄欠乏性を引き起こすのです。
(※400mlあたりの鉄含有量は、フォローアップミルク『つよいこ』=5.4mgに対して、一般的な牛乳=0.08mg。なお厚労省『日本人の食事摂取基準 2015年版』による1〜2歳児の一日あたりの鉄の摂取推奨量は4.5mgとされている。)

―― 「鉄欠乏性」になるとどのような症状が現れますか?

つよいこ:じつは貧血が見られなくても、鉄欠乏が進行している可能性があります。一般的には、わずかな刺激でも泣いてしまうような「易刺激性」や「注意力散漫」が言われていますが、実際は受診時や入院時の血液検査で初めて鉄欠乏性が分かることがほとんどなのです。


また、母乳から即牛乳に移行したお子さんは、鉄欠乏性にはより気を付ける必要があると思います。とくに「3歳以下で1日600ml以上の牛乳を3ヵ月にわたって摂取している場合」は、「牛乳貧血」を疑ったほうがよさそうです。(※稲葉雄二ら[2009]小児科診療より)

なお、フォローアップミルクを「9ヵ月頃から」に設定しているのも、離乳食による鉄の補給がうまくされないと、この時期に貯蓄鉄が減少して鉄欠乏性になりやすいからなのです。

―― 注意したほうがいいのは乳児期だけでしょうか。

つよいこ:鉄欠乏性貧血は、乳児期と思春期に起こりやすいです。どちらも日に日にいろいろなことができるようになったり、身体がグンと大きくなったりする時期。子どもの精神発達、運動発達に鉄は不可欠なのです。

―― ですが、いったん牛乳にステップアップしてしまうと、「今さら粉は……」という気持ちも正直あります。

つよいこ:牛乳を飲んでるお子さまであれば、いつも飲むようにコップでフォローアップミルクをあげてみてください。乳児期の粉ミルクのように、温度などそれほど神経質になさらなくても大丈夫。粉ミルクというより、鉄を摂るための栄養補給ドリンクというふうにとらえてみてはいかがでしょうか。

―― ちなみに鉄っぽい味はしますか?

つよいこ:1979年にフォローアップミルク『つよいこ』を発売して以来、製造技術はつねに改良と進化を遂げています。とくに味覚に関しては嫌な味がしないよう工夫されています。むしろ牛乳よりあっさりしてお腹にたまらず、また砂糖も添加されていないので、ごはん前はもちろん、おやすみ前であっても問題ありません。

―― 料理に使ってみるというのはありでしょうか。

つよいこ:大人にとっても鉄は非常に大切な栄養素ですので、たとえばコーヒーのミルク代わりにしたり、朝のヨーグルトに混ぜたり、ホームベーカリーに加えたり、シチューの隠し味にしてもいいですよ。

―― 牛乳と比べて、コストのほうはいかがでしょうか?

つよいこ:一缶あたりでおおよそ5〜6リットルのミルクとなるので、トータルコストは牛乳と同じくらいではないでしょうか。賞味期限を気にしながら牛乳を消費するのは大変ですが、フォローアップミルクは粉ですので保存がききます。

―― 今までベビー用品売り場でフォローアップミルクを見かけることがあっても、実際に手に取って試そうと思ったことはありませんでした……。今なぜフォローアップミルクが再び注目されているのでしょうか。

つよいこ:それは私どもメーカーにも責任があると考えています。当社では2年ほど前から、とくに乳幼児期における鉄の重要性を訴求して啓蒙活動をすすめておりますが、まだまだ消費者の方までは届いていないのが現状です。ですが、少しずつ世界中の研究者たちから鉄欠乏性の実態が報告され、乳幼児期の鉄欠乏が脳の発達に影響を及ぼすことが明らかになってきました。

繰り返しになりますが、フォローアップミルクの推進は母乳育児を否定するものではありません。ただ母乳には鉄が少ないという事実を認識していただき、離乳食等で積極的に鉄を摂取する必要性はお子さまの健全な発達のためにもぜひ知っておいていただきたい。そしてもし離乳食での摂取が難しければ、フォローアップミルクも選択肢のひとつに加えて上手に活用いただければ……というスタンスです。

お子さまの健やかな成長は、ミルクメーカーとしての私どもの願いであり理念。まずは気楽に、大人がコーヒータイムを楽しむような気持ちで、お子さまのフォローアップミルクをとりいれてみてはいかがでしょうか。

乳幼児における鉄摂取の重要性について|ビーンスターク・スノー株式会社
http://www.beanstalksnow.co.jp/product/importance/

西澤 千央(にしざわ ちひろ)西澤 千央(にしざわ ちひろ)
フリーランスライター。二児(男児)の母であるが、実家が近いのをいいことに母親仕事は手抜き気味。「散歩の達人」(交通新聞社) 「QuickJapan」(太田出版)「サイゾーウーマン」などで執筆中。