こたつ寝は至福のひとときだが…… HDK/PIXTA(ピクスタ)

写真拡大

 冬は炬燵(こたつ)に入ってのんびりテレビを観て、鍋をつつきながらちょいと一杯。そのうち、まぶたが重くなり、いつの間にかウトウト......。「こたつ寝」は、日本人に生まれてよかったと思える至福のひととき。ひとり暮らしのみならず、何度も家族に「寝床へ行きなさい!」と注意されても、ついこたつで夜を明かしてしまう。そんな魔力があるものだ。

 しかし。先日12月16日にTwitter投稿された注意喚起のTweetが、全国の「炬燵寝愛好家」を戦慄させている。

伊賀 裕(さくちゃん)@giroro555
私の会社の40代の方が炬燵で寝てて心筋梗塞で亡くなられました。炬燵で寝ると下半身のみ汗をかき血液が濃くなり血栓ができやすく、脳梗塞や心筋梗塞で亡くなる方が多いそうです。(←私も初めて知りました)自分の大切な人が炬燵で寝てたらお布団で寝るように言ってあげて下さい!!!
https://twitter.com/giroro555/status/677086278752448512

 このTweetに対しては「え、まじで?」「こたつで寝るのだめなの?」という驚きに加えて「父も脳梗塞で倒れる前に、毎晩晩酌してこたつで寝ていた」という体験リプライも寄せられ、12月21日現在で6万5000件以上のリツイートと、2万4000件以上の「いいね」を集めて大反響を呼んでいるのだ。

一晩で血液がドロドロの状態に

 昔から「こたつで寝ると風邪をひく」とよく言われる。しかし、実際は風邪どころでは済まない健康上のリスクが「こたつ寝」にはあるのだ。「ずっとこたつで寝ていたけど何も起きなかった」というなら、それはたまたま、あなたが若く健康で、少しばかり幸運なだけだったからかもしれない。

 最も危ないのが、こたつの熱で起きる脱水症状だ。人は気温の低い冬であっても、就寝中に一晩でコップ1杯以上の水分を気付かないうちに皮膚や呼吸器から排出している。この不感蒸泄(ふかんじょうせつ)による水分の喪失は、体温が1℃上がるごとに15%増え、さらに気温が30℃から1℃上がるごとに15~20%増えるといわれている。

 一方、こたつ内部の温度は低めの設定で40℃近く、高く設定すると60℃を超えることもある。つまり暖かいこたつに入ったまま寝てしまうと、不感蒸泄による水分の排出量が激増。さらに暑さで寝汗までかいて追い打ちをかけると、ただでも乾きやすい就寝中の体は、簡単に脱水状態に陥ってしまう。

 脱水症状は倦怠感や頭痛を引き起こすだけでなく、血管内の脱水によって血液の粘度が上がってドロドロになり、血栓ができやすくなる危険性もある。もともと高血圧気味の人や動脈硬化の傾向がある人は、血管が詰まることで脳梗塞や心筋梗塞など、死に至る病気を引き起こしかねない。いわゆる突然死は就寝中に起きることが多いが、こたつ寝はそのリスクを上げてしまうと言ってもいい。

電気毛布やホットカーペットも要注意

 そうした重篤な病気以外でも、こたつ寝による脱水は腸内の水分も失わせるため、頑固な便秘の原因になることがある。また、就寝時に体温を下げて身体を休めようとする自律神経の働きを妨げてしまうため、眠りの質が落ちる。その結果として免疫力が低下し、寝汗による寝冷えも加わって、風邪をひきやすくなる。「こたつで寝ると......」という教えは、決して迷信などはないのだ。

 お察しの通り、電気毛布やホットカーペットで朝までぬくぬくしながら眠るのも、同じ理由で体に悪い。電気毛布で寝床を温めるのは寝入りばなだけにするべきだし、ホットカーペットの上で寝入ってしまうことは避けるべきだ。

 これらの暖房器具は、省エネゆえ最近特に人気だが、熱源が近い=体への影響があることを忘れてはいけない。こたつやホットカーペットで家族がどんなに幸せそうに寝ていようと、心を鬼にして起こし、寝室へ行かせよう。また冬は気付かぬうちに「かくれ脱水」になりがちなので、暖房の効いた部屋では夏以上に意識して、十分に水分補給をしたいものだ。
(文=編集部)