時間の視聴は認知機能の低下をもたらす!? Syda Productions/PIXTA(ピクスタ)

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 年末年始の休暇は、いつもよりテレビを見る機会が増える人が少なくない。寒くて外出する気が起きずに、延々と続くバラエティ特番に目を奪われて、気がつけば一日が終わることさえある。

 現代人の多くはテレビに限らず、ネットサーフィンやゲームなどに時間を費やし、日常的に体を動かすことが減っているようだ。人生のなかで最も活動的であるはずの青年期でさえ、"座って過ごす"ライフスタイルが定着し、運動不足を助長している。

 だが、若い頃にテレビ視聴に長い時間を割くことの弊害は、何も運動不足だけではない。先日、若年成人期のテレビの見すぎが原因で、中年期に認知機能が低下する可能性が高まるという研究結果が発表された。

 昔から「テレビばかり見ているとバカになる」と言われていたが、この医学的な根拠を示した研究報告が物議を醸している。

認知能力が低下する確率が2倍にアップ

 研究結果は、米サンフランシスコの退役軍人医療センターのティナ・ホアン氏と米カリフォルニア大学のクリスティン・ヤッフェ氏が中心になってまとめられ、12月2日に米国医師会の精神医学専門誌『JAMAサイキアトリー』に発表された。

 研究チームは、若年性冠動脈リスクの研究に参加したシカゴやミネアポリスなど全米各地の男女3247人(18〜30歳)を対象に、追跡調査(1985〜2011年)を実施。研究開始時の参加者の平均年齢は25.1歳だった。

 調査開始から25年目、参加者の年齢が43〜55歳になったとき、1分間に同じ形の図形をいくつ見つけられるかを調べる「認知処理速度テスト」、文字の意味と色との違いを判別する「実行機能テスト」、言語の記憶などに関する「視覚言語学習テスト」の3種類を実施。その成績とテレビの視聴時間などとの関連を分析した。

 その結果、1日にテレビを3時間以上視聴していた353人(全体の約11%)は、それ以外の参加者よりも記憶力が大きく劣っていることが判明。さらに1日3時間以上視聴しているうえ、運動もほとんどしないという107人(3.3%)は、視聴時間が短く運動量も多い人に比べて、将来、認知能力が低下する確率が2倍になるという。ただし、言語記憶については、テレビの視聴時間との関連性はみられなかった。

 研究者のホアン氏は今回の結果を受けて、「20代半ばに運動をせず、長時間テレビを見る生活は、中年に突入してからの記憶力の悪化に関係している」と結論づけた。

 今後のさらなる調査研究と原因の解明が必要ではあるものの、「テレビの見すぎ」と「身体活動レベルの低さ」というリスクが、中高年期の認知機能低下と老化防止のための指標となる可能性が示されたことになる。

 アメリカでは、いまだにテレビ視聴が家庭における最大の娯楽といわれている。2014年3月の『ニューヨーク デイリーニュース』によれば、アメリカの25〜34歳の若者層は週に平均27時間36分、テレビを視聴しているという。これは1日当たり平均4時間に迫る数字だ。

 ちなみに、NHK放送文化研究所の「2010年国民生活時間調査」によると、10歳以上の国民のテレビの平均視聴時間は平日で3時間28分、土曜日で3時間44分、日曜日で4時間9分だ。

 高齢者が全体を大きく引き上げているが、ゆうに3時間は超えている。20代、30代では、男女とも平日は平均2時間前後だが、日曜日になると30代で平均3時間を超える。今回の研究結果は、決して海の向こうの他人事ではない。

 将来の認知症になるリスクを軽減するには、子どものころに「テレビは1日○時間まで」と躾けられたルールを思い出すときかもしれない。特に20〜30代は、テレビだけでなくスーマートフォンやタブレット端末から離れて、意識的に身体的な活動時間を少しでも増やすことに努めるべきだ。
(文=編集部)