遠隔診療サービスが続々登場(写真はポートメディカルのホームページ画面)

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インターネットにアクセスすれば、自宅で医師の診断が受けられる遠隔診療。「未来の医療」はすでに始まっている。

診察も薬もネットで「お取り寄せ」

遠隔診療はこれまで、離島やへき地などに住んでいて通院が困難な場合や、糖尿病や高血圧、がんなどで在宅療養をしている患者への「テレビ電話等の通信手段を通じた継続的助言・指導」以外は原則禁止と捉えられていた。しかし、今年8月、厚生労働省が出した「通達」によって、遠隔診療の適用範囲が広がった。

通達ではこれまで通り「対面診療が基本」で、「遠隔診療は、直接の対面診療を補完するもの」としながらも、「離島やへき地」「在宅患者」はあくまで例示であり、誰でも対象になりうること、また、対面診療を事前に行うことが前提条件ではないことなどを示した。

スマートフォンやウェアラブル端末などが急速に普及し、通信環境が整ったこともあり、遠隔診療への期待は高まっている。

厚労省の通達を受けて、PCやスマートフォンを活用した遠隔診療サービスが続々登場。すでにサービスを開始しているものもある。

たとえば、11月にサービスを開始した「ポートメディカル」は、インターネットを通じて医師の診断から薬の処方、配送まで行っている。診断項目は高血圧症、高脂血症をはじめ、「タバコをやめたい」「やせたい」などの相談にも応じる。クレジットカードでオンライン決済でき、薬は自宅まで届けてくれるので、待ち時間も交通費もいらない。診察料とサービス料は800円、医薬品料と配送料は1610円〜と、お手頃だ。医学監修を務めるお茶の水内科の五十嵐健祐院長はポートメディカルのサイトで「インターネットで早期発見でき、解消できる症状は実はたくさんある」とし、治療だけでなく予防の観点からも、遠隔診療の可能性を示唆している。

市場規模は5年で10倍に

ほかにも、顔色や患部をスマートフォンのカメラで撮影し、画像を送ると医師のアドバイスが受けられるスマートフォンアプリ「ポケットドクター」や、大腸がんの患者や家族が、都内にある相談室からオンラインで別々の場所にいる2人の専門医に同時に相談をし、セカンドオピニオンを受けられるという「ダブルドクター」など、ITを活用したさまざまなサービスが登場。遠隔診療の応用範囲は広がっている。

市場調査会社の米IHS社によると、遠隔診療の世界市場は2013年から2018年までの5年間でおよそ10倍に伸びると予測している。また、遠隔診療を利用する患者数は全世界で、2013年の35万人弱から2018年には700万人へと大幅に増える見込みだ。

たった5分の診察を受けるために往復1時間かけて病院に行き、待合室で1時間、処方せんをもらい、薬局でさらに順番待ち......。これまで当たり前だった状況が、10年後にはガラリと変わっているかもしれない。

(Aging Style)