朝ドラ「あさが来た」(NHK 月〜土 朝8時〜)12月22日(火)放送。第13週「東京物語」第74話より。原案:古川智映子 脚本:大森美香 演出:西谷真一


74話はこんな話


夫・新次郎(玉木宏)や姑・よの(風吹ジュン)の許可も得たあさ(波瑠)は、五代(ディーン・フジオカ)を訪ねて東京にやって来た。その途中、あさは、
そうとは知らず福沢諭吉(武田鉄矢)とすれ違い、言葉を交わす。

武田鉄矢登場の前の、家族コント


よの「男やったら覚悟決めなはれ」
あさ「はい、おかあさま」
新次郎「え」
あさ「おかあさま、うちおなごどす」
鐘のおと
よの「あれま」
オープニングに。
ハハハー。ほのぼのコントでまとめているが、重要なことが語られている。
「おなごもおなごやからこそ、なおさらよけいに覚悟を決めなきゃあかんのどす」とよの。夫を亡くした彼女も、覚悟を決めているところなのだろう。
“子育てで目を離していい時は一時もない”という、三人育ててきた人の実感がこもった台詞も。
千代のことは自分たちに任せて、やりたいこと(商売)に励みなさいと言いつつ、「お婆ちゃん子」になっても知らないよと釘を差す。すかさず「お父ちゃん子」と対抗意識を燃やす新次郎が微笑ましい。彼が千代のところへ飛んでいくときのカメラにかなり寄った満面の笑顔がまたいい。玉木宏はこの役で、新しい領域に向かっている感じがする。

散歩の途中の福沢諭吉


「仕事のことやったら好きにしなはれ」とあさの背中を押すよの。その後で、うめ(友近)にこっそり「殿方とあやまちのないように」と言う。
五代のことを心配されているあさは、今のところ、五代のことをこれっぽちも男性として意識していない。
あさはほんまに天然ちゃんというか、勘が鋭く働くときもある一方で、まったく鈍いこともある。

東京でも、尊敬する福沢諭吉に出会ったというのに全く気づかず、得意満面にシビレ芸者(文明)の話をして聞かせ、「あのおなごはそうとうの変わりもんだぞ」と言われてしまう。
武田鉄矢演じる福沢諭吉は、優しそうだが、隙がなく、強烈なオーラを放っているうえ、学生を四人も連れてリズミカルに歩き、立ち止まっているときも足踏みし続けている様子もふつうじゃない。福沢諭吉が晩年、慶応義塾大学の学生に「散歩党」と名付け自分のお供をさせて散歩していた逸話を前提にした、ユーモラスな初登場だった。

福沢諭吉のアンテナに引っかかったあさは「石炭で陸蒸気や船や日本を動かしたいからです」とあっけらかんと言っていたが、日本を動かしたいってかなりでっかい野望だ。やっぱ大物。
(木俣冬)