世界の工場と呼ばれた中国だが、人件費の高騰や各種コストの上昇を理由に、その座を他国に譲ろうとしている。新たな「世界の工場」の候補の1つに、米国への輸出で優位にあるメキシコを挙げることができる。(イメージ写真提供:123RF)

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 世界の工場と呼ばれた中国だが、人件費の高騰や各種コストの上昇を理由に、その座を他国に譲ろうとしている。新たな「世界の工場」の候補の1つに、米国への輸出で優位にあるメキシコを挙げることができる。

 中国メディア雨果網はこのほど、「メイド・イン・チャイナの優位がなくなった今、われわれはいかにして新たな製造拠点メキシコで稼ぐか」と題する記事を掲載し、中国製造業で生き残るための方法について論じている。

 記事はまず、メキシコの製造拠点としての優位性として「安価な労働力」を指摘。中国の人件費はこの20年前で5倍に跳ね上がっており、ここ1-2年でメキシコの水準も超えてしまった。米国の利上げを背景にドルが強含むなか、メキシコの輸出全体の81%が米国向け、さらに17%が中国向けであると指摘したほか、人件費もドル建てであることも有利に働き、近年は目覚ましい発展を遂げていると論じた。

 では、こうした変化に中国製造業はどう対応すべきなのだろうか?記事は「メキシコは中国企業が海外進出するうえで理想的な国」と指摘。それは、米国メーカーが自国への回帰を進めるなかで、大量の部品工場を必要としており、中国はこの分野に強いからだと主張した。

 メキシコは北米自由貿易協定(NAFTA)加盟国であるため、米国に輸出するにあたっては関税がかからず、さらに距離も近いという優位がある。欧州経済が衰退傾向にあり、日本経済も停滞し、中国経済もかつての成長の勢いを失っているなかで、米国経済は力強さがある。新たな世界の工場の候補であるメキシコで生産を行えば、中国はこれまで世界の工場として積み重ねてきた経験や技術を生かすことができるだろう。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)