Doctors Me(ドクターズミー)- 産後ではないのにおっぱいがでる? 「乳汁漏(にゅうじゅうろう)」をご存知?

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「乳汁漏(にゅうじゅうろう)」とは、主に女性において(男性でもまれに見られることがあります)妊娠や分娩、産後以外の時期にお乳が乳首から分泌される状態をいいます。この状態ははなぜ起こるのでしょうか。

その原因やメカニズムについて、医師に伺いました。

「乳汁漏」の原因は?

ホルモンの一種であるプロラクチンが高くなっていくことに伴って、乳汁の分泌が増えます。プロラクチンとは脳の中にある下垂体という部分でつくられるホルモンで、お乳の産生と分泌を促して生殖器にも作用します。

このプロラクチンが病的に高い場合は性欲が低下したり、女性の場合は月経が乱れたり止まってしまうこともあります。つまり不妊の原因にもなりうるのです。

プロラクチンはどんな時に上昇するの?

乳汁漏の原因と大きく関係のあるプロラクチンの上昇は、なぜ起こるのでしょうか。

1. 下垂体にできる腫瘍
「プロラクチノーマ」といって、プロラクチンを産生する腫瘍が下垂体にできて過剰に放出する疾患です。下垂体は視神経の上に位置するため、ここに腫瘍ができると視神経が圧迫されて視力や視野に障害を与えることもあります。この場合はMRIを用いて下垂体に腫瘍があるかを検査し、あれば脳外科での治療となります。

2. 薬が影響した場合
プロラクチンの分泌は、ドーパミンという物質によって調節を受けています。数多くある薬のなかでも特に精神科のものや胃薬の一部、吐き気止め、血圧を下げる薬の一部、経口避妊薬、H2ブロッカーという胃酸を抑える胃薬などが関係します。薬の関与が明らかである場合は、薬を中止または変更することが必要となります。

3. 原発性甲状腺機能低下症
“甲状腺ホルモンを出せ”と刺激を与えるTSHやTRHといったホルモンが、生理的に多く産生されます。TRHは同時にプロラクチンの分泌を促す作用があります。この場合は甲状腺ホルモンが正常値になればTRHも治まるので、甲状腺ホルモン製剤を内服して補うことで乳汁分泌も治まるでしょう。

4. 末端肥大症
「末端肥大症」といった疾患に伴ってプロラクチンが上昇することもあります。この場合は脳外科専門医による外科的な治療が一般的となります。

治療方法はさまざま

乳汁分泌は、基本的には両方の乳首から出ます。片方からの場合は乳腺の腫瘍なども鑑別に入れて、外科でも見てもらいましょう。治療は原因に対応するかたちでそれぞれ行われますが、対症療法的にはブロモクリプチンといった薬を飲むことで、乳汁分泌を抑えることもあります。

医師からのアドバイス

乳汁漏の予防法はこれといってありません。乳汁分泌が見られたときには病院でプロラクチンの値を採血で測ってもらい、高ければ原因を突き止めることが肝心ですね。

(監修:Doctors Me 医師)