『199X年、地球は核の炎に包まれた。海は涸れ、地は裂け、あらゆる生命体が絶滅したかにみえた。だが、人類は死滅していなかった。世界は再び暴力の支配する時代になっていた』。原作・武論尊、作画・原哲夫の『北斗の拳』。トゲトゲ肩パッドにモヒカンスタイルの悪党たちを北斗神拳伝承者・ケンシロウが成敗していく物語。時々、強者と戦う。
よく殴り、よく泣くのがこの漫画の特徴。殴った回数は速すぎて数えられず、流した涙は漫画全体で216回。誰がどれほどの涙を見せているのかベスト10形式で発表していく。


カウントのルールは以下の通り
集英社文庫、コミック版の1-15巻で掲載された話が対象。
名前の分からない登場人物は対象外。
前のコマからずっと泣いている場合は1カウント。
1コマ目で泣き、2コマ目で泣き止み、3コマ目で泣いた場合は2カウント。

ランキングは以下の通りになった。


第10位 ラオウ


『トキよ これがオレがこの生涯で流す最後の涙となろう!!』
病を押して立ち向かってくる実弟・トキの姿勢に涙腺が緩んだ世紀末覇者・ラオウ。戦いに勝利し、泣かないことを宣言した。
しかし、さらなる涙の機会が訪れる。悲しみを糧に力をつけたケンシロウに対抗するため、自らも愛するユリアを手に掛け悲しむことにする。潔くその身を差し出すユリアの姿勢に予想以上の悲しみを感じ取り、号泣してしまった。
『こ…殺せぬ このラオウにこの女は捨てる事はできぬ!!』
少年時代から涙を捨てたと豪語していたラオウ。敵対していながらこっそりケンシロウを助けたり、トキ、ユリアを殺さなかったりと涙以外にも捨てられなかったものは多い。涙4回で第10位。このほかにもカイオウ、フドウ、ユリアもいる。

第8位 レイア


修羅の国で子どもたちに愛を説いているレイア。北斗琉拳のシャチとは恋人関係。少女時代、別れそうで別れずにすんだシャチと抱き合って涙。オトナになってからはカイオウから命懸けで自らを守り抜いてくれたシャチにまた涙。
教え子のママルとモリが修羅に半殺しにされたとき、ジュウケイとヒョウが戦っているときにも涙あり。第8位。

第8位 アサム


『この中からひとり後継者を選び 残るふたつの凶星を消し去るのです』
余命の少ないサヴァ国の王様・アサムには兄弟間で不仲の3人の息子がいる。子どもたちが幼かったころ、占い師に予言されていた。
『国王といえど父だー!!』ズバッ
怒ったアサムは占い師をチョップで真っ二つにしてしまった。
現在。このまま命を終えてしまえば国は3つに割れる。息子3人を殺して別の人に国王をやってもらうしかないのか……。サラが連れてきた男・ケンシロウに望みを託した。
ケンシロウは息子3人に拳を交えて理を諭す。それから改心していく息子たちの成長ぶりを見てアサムは頻繁に泣いていた。
『この国の民はみなあなたの子だ』
最期は寡黙なケンシロウに至言をささやかれて涙を流した。涙5回の第8位。

第7位 トキ


北斗神拳史上もっとも華麗な技を持つ男。喜怒哀楽の少ない人だが、少年時代に怒り泣きをしたことがある。飼い犬のココが殺された。本能に任せて犯人の巨漢を殴り続けていると駆けつけたラオウと師匠リュウケンに止められ我に返る。
兄弟での船出、思いだし泣き、修行、決別、決闘。トキが涙を流すとき、必ずラオウがそばにいる。第7位。

第6位 サラ


サヴァ国の王女、サラ。不仲3兄弟の妹にあたる人物。国王同様、家族のことでよく泣く。王位継承問題を解決してくれる男を探す旅に出ていた。第6位。

第5位 アイリ


南斗水鳥拳の使い手・レイの妹。ジャギ、筋肉質な男、牙大王に拉致された過去がある。
ネガティブ思考で涙を流すことが多かったが、リンに諭されて成長。以降は兄を思っての涙が増えていった。10巻ではアインの墓前でも泣いている。第5位。

第3位 マミヤ


『いいか死兆星が頭上に落ちる日まで精一杯生きろ!! たとえ一瞬でもいい! 女として生きろ 女の幸福を求めるのだ!!』(死兆星…もうすぐ死ぬ人だけが見える星)
女を捨て、村のリーダーとして、戦士として戦い続けていたマミヤ。命を懸けて死兆星を消してくれた男・レイの遺言を受ける。それからは戦う機会が徐々に減っていき、日常生活ではドレスを着るようになり、涙の数も増えていった。
戦士だったころは弟が死んでも人前では泣かなかったが、最終巻では7度の涙を見せている。第3位。

第3位 ケンシロウ


『う…う ユリアうっう…… あぐぐ…ユリア〜』
物語の主人公で北斗神拳伝承者。序盤では婚約者のユリアをシンに奪われベソをかいていた。執念を燃やしユリアを取り戻しに行くケンシロウ。居場所を突き止め、再会(?)を果たしたときにはうれし涙を流す。
悪党のボケっぷりに非情なツッコミをいれて殺してしまうこともあるが、意外と涙もろい。石柱に書かれた北斗神拳の歴史を読み取って泣いたり、それをカイオウに教えるときもまた泣いたりしていた。第3位。

2位 バット


『バット… 最期だ かあさんと言ってやれ』
『か…かあさん………おかあさ〜〜〜ん!!』
第一部ではケンシロウのあとをついていった少年・バット。自らを育ててくれた養母トヨを看取って慟哭。自らを守ってくれた大人、シュウやレイの死地に赴く背中を見届ける度、同じように涙した。タマゴをくれたフドウにも。
『バット 男の顔になったな!!』
悲しみを糧に修行を積んだのか、第二部では驚異的な筋肉量を得た青年・バット。その顔つきを再会したケンシロウに褒められ、むせび泣いた。リン、バット、ケンシロウの3人で抱擁を交わすその陰でリハクの涙が光っていた。第2位。

第1位 リン


「ケ、ケーン!」「ケ…ケン!!」「ケーン!」「ケン動いて!」
全36回中13回はケンシロウを呼びながら泣いている。レ…レイ!! などのパターンもあった。バットと結婚式を挙げそうになったがバットを思って泣いた回数は3回だけ。しかし、北斗の拳一発目の涙はバットに泣かされたリンであり、ラストの涙もまたバットを思ってのものだった。2位とはダブルスコア以上の差をつけて第一位。

一巻ごとに涙の数をグラフ化してみた



毎巻必ず誰かが泣いている


最後の方には涙ラッシュ。14巻ではサヴァ国の王族がたくさん泣き、15巻では意中の女・リンをケンシロウに譲ろうとするバットの姿勢にマミヤ、リン、ケンシロウが涙。
サウザー、ラオウ、カイオウといった強者がいなくなり、終盤はハートウォーミングな話が増えていった。
次回、最終回を迎えてしまうアニメ、『DD北斗の拳2 イチゴ味+』では世紀末のような悲劇的な涙はない。本家・北斗の拳で死んでしまったキャラクターたちが楽しそうにやり取りしているのを見ると、やさしい気持ちで眠りにつくことができる。
(山川悠)