2009年「もしドラ」2013年「多崎つくる」2大トップセラーが同時文庫化、読む!

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2009年と2013年のトップセラーが同時文庫化!


岩崎夏海『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』(2009→新潮文庫親本Kindle)は、2010年のベストセラー1位。同年の売り上げは推定179.7万部。


そして村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』(2013→文春文庫Kindle)は、2013年のベストセラー1位。同年の売り上げは推定98.5万部。


そうだった、ドラッカーの『マネジメント』(日経BPクラシックス)を読もうって決めたんだった。これから読みます。

またこれも恥ずかしながら、『つくる』のほうは先々月になってやっと読んだという体たらく。
『つくる』はドリーさんのAmazonレヴューを生み、それがあの『村上春樹いじり』(三五館)に発展した。

もしも色彩を持たない多崎つくるがドラッカーの『マネジメント』を読んだら、
「そのときの僕らには、それがすごく大事なことに思えたんだ。僕らのあいだに生じた特別なイノベーションを大事に護っていくこと。風の中でマッチの火を消さないみたいに」
とか言うのだろうか。

多崎つくるは『マネジメント』読まないかもしれないな、と考えたところで、そういえば『つくる』のなかに『マネジメント』絶対読んでるにちがいない感じのキャラが出てきて、そいつは非常に感じ悪く書かれてたのを思い出しました。

個人的に盛り上がってるのは『聖痕』文庫化


目玉として取り上げたのは前2冊だけど、いっぽう僕が個人的に盛り上がってるのは、正直に言うと筒井康隆『聖痕』(2013→新潮文庫親本Kindle)ですね。すばらしい。


保坂和志の『カンバセイション・ピース』(2003→河出文庫)は新潮文庫版に続く2度目の文庫化。これ大好きです。
 他に日本の小説では、
・池澤夏樹『双頭の船』(2013→新潮文庫)
・楊逸(ヤン・イー)『流転の魔女』(2013→文春文庫)
・そして清水義範が古今の哲学者をネタにした冗談小説『考えすぎた人 お笑い哲学者列伝』(2013→新潮文庫親本Kindle
あたりが気になりました。


アタック・オブ・ザ・キラー・アナコンダ!


ミハイル・ブルガーコフ『犬の心臓 運命の卵』(柳本浩子+ヴァレリー・グレチュコ訳、新潮文庫《Star Classics》)は1920年代に書かれたバイオハザード中篇SF小説2篇を収録。

犬に人間の脳下垂体と睾丸を移植したら…という前者は河出書房新社《KAWADEルネサンス》版があり、繁殖力を高める赤色光線でアナコンダが異常発生するB級パニック映画ふうの後者は『悪魔物語 運命の卵』(岩波文庫)に収録されていたが(いずれも水野忠夫訳)、新訳も要チェックです。
『魔が差したパン O・ヘンリー傑作選III』(小川高義訳、新潮文庫《Star Classics》)。短篇小説17篇を収録。


新潮文庫は大久保康雄訳『O・ヘンリ短編集』(第1巻第2巻第3巻)がまだ流通してるうちに、Star Classicsで小川訳の《O・ヘンリー傑作選》が3冊出る(第1巻『賢者の贈りもの』同Kindle・第2巻『最後のひと葉』)というのは贅沢だなあ。

文学関係のノンフィクション


もと文藝春秋の編集者・高橋一清による『芥川賞・直木賞をとる! あなたも作家になれる』(2008→河出文庫)。ゲスな題だけど、出版が紙媒体オンリーだった時代を知っている編集者の体験談は、これから歴史の証言として価値を増していくと思うんだ。
文藝春秋編『教科書でおぼえた名文』(2002→文春文庫)には『論語』、清少納言から森田たま、湯川秀樹まで32篇が選ばれてるが、唯一2篇選ばれてるのが夏目漱石。やっぱり教科書界でも漱石は強いなあ。


阿刀田高の《知っていますか》シリーズでは新たに『源氏物語を知っていますか』(2013→新潮文庫親本Kindle)が文庫化した。
『開店休業』(2013→幻冬舎文庫Kindle)は、吉本隆明が遺した食エッセイに長女で漫画家のハルノ宵子が文章とイラストを寄せた親娘合作。しみじみした!


宮崎哲弥vs.呉智英、獰猛さ全開の対談


アリストテレス『ニコマコス倫理学』上巻(渡辺邦夫+立花幸司訳、光文社古典新訳文庫)。学生時代に高田三郎訳の岩波文庫版(上巻下巻)を読んだけど、もちろん新訳で読み直します。
宮崎哲弥×呉智英両氏の獰猛さが全開の対談『知的唯仏論 マンガから知の最前線まで──ブッダの思想を現代に問う』(2012→新潮文庫)。これは親本を読んでいたのだけど、解説がニー仏こと魚川祐司さんというのがたまらんのです!


永江朗『本を読むということ 自分が変わる読書術』(2012→河出文庫)は《14歳の世渡り術》シリーズで出た『本を味方につける本』の改題。
野間宏×沖浦和光の対談による差別社会論『日本の聖と賤 中世篇』(1985→河出文庫)先に文庫化された『アジアの聖と賤』の続篇です。


以上、ほぼ週刊「千野帽子のむくどり文庫速報」でした。お買物のご参考になれば幸甚です!
(千野帽子)