忘年会で深酒したり、夜更かしが続いたりと生活のリズムが狂いやすいシーズン。清少納言の『枕草子』にもあるが、「冬は早朝が一番気持ちいい」はず。年末の不摂生を新年に持ち込まず、フレッシュなスタートを切るために、快眠と早起きのヒントを調べてみた。

 すっきり目覚めるためには、ぐっすり眠るのが良さそうだ。睡眠が体温の変化と深い関係にあることは、科学的な研究でも明らかになっている。体の深部の温度が下がってくると、代謝機能も落ちて脳が休息を取る態勢へと入る。これが「眠気」である。
 だが、眠りに入るときに、体が冷えていくと感じることはまずない。医学博士の内浦尚之氏は言う。
 「皮膚から熱を外に逃がすため、体表の温度は逆に高くなり、体が温かく感じるのです」

 眠りに入るとき、体の熱を外に逃がす主要な“放熱器”となっているのは、手足の甲と太ももの内側である。この研究結果はスイスのグループが発見し、科学雑誌『ネイチャー』などに発表したものだ。
 これらの部分の皮膚温度の上がり具合が、眠気の先行指標として最も顕著だったという。
 「赤ちゃんの手がポカポカしてくると、眠くなってきた証拠というのは、科学的に根拠のある話なんです」(内浦氏)

 逆に考えれば、効率的に熱を逃がして体温を下げることで、スムーズな眠りへと入れるはず。だが、手足を冷やせばいいのかといえば、それは逆効果だ。
 「血管が収縮して、熱が逃げにくくなってしまうからです」(同)
 むしろ、お湯などで手足を温め、血行を良くするのが正解。寝るときに、吸湿性の高い手袋や靴下を着けるのも悪くない。とはいえ、眠りに向けた体温変化は、体内時計で主にコントロールされており、リズムを無視して強引に眠るのは難しいという。

 真偽はともかく、ナポレオンは3時間、アインシュタインは10時間と言われるように、人によって適した睡眠時間は異なっている。
 自分が適切に眠れているかどうかは、夜ではなく昼間の状態から判断することが鉄則だ。日中に眠気や倦怠感に襲われ、物事に集中できないなどの問題がなければ、夜中に目覚めた回数や睡眠時間をあまり気にする必要はない。

 不眠障害の診察に関する厚労省研究班の1人は言う。
 「年齢とともに睡眠時間は短くなります。本当に眠っている時間を脳波で測ると、平均で8時間以上あるのは中学生ぐらいまでで、70代では6時間を切ります。睡眠時間の減少は老化現象の一つで、避けがたい面があるのです。睡眠時間には生活習慣も関係しており、運動しなくなったり、頭を使わなくなったりすると、短くなるようです」

 一方で、年齢とともに寝床にいる時間は長くなる。だが、睡眠時間は短くなるので、夜明け前に目が覚めてしまう。若い頃の長い睡眠時間を求めるのは、ないものねだりに等しい。眠くないのに寝床に入ることはやめて、短い睡眠を長い夜のどこにはめ込むか、工夫することが大切なのだ。