靴下に穴が開いたから新しい靴下を買いたい、会社の飲み会に参加したい、そして親戚の子にお年玉をあげたい……ちょっとした入用があるたびに夫は妻に頭を下げなければならなかった

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「父親の遺産相続のせいで娘夫婦が熟年離婚」

 父親の目の黒いうちは、娘夫婦はまるで切れそうで切れない糸のように、どうにかこうにか夫婦の形を維持してきたのに、父親がいなくなった途端、緊張の糸がプッツリと切れてしまい、とうとう離婚を突きつけてしまった……本来、離婚は夫婦だけの問題であり、親の存在は直接、関係なさそうですが、本当に「親は親」「子は子」なのでしょうか?父親の遺産の分け前をめぐって娘夫婦の関係がおかしくなり、残念ながら、もはや離婚を避けられなくなるケースも世の中には一定数、存在するのですが、今回は私のところの相談実例をご紹介しましょう。

 向井理さん主演のテレビ朝日系のドラマ「遺産争族」が一昨日、最終回を迎えましたね。ドラマのなかでも父親(伊東四朗さん)の遺産をめぐって、長女(余貴美子さん)と長女の婿(岸部一徳さん)が離婚の危機を迎えたのですが、題名の通り、相続は一歩間違えると「争族」になりかねません。向井さんも岸部さんも資産家の家に婿入りしたという意味では逆玉(玉の輿の逆パターン)なのですが、実家の家で同居すれば住居は確保でき、そして実家の資産を運用すれば生活費は保証され、さらに親が亡くなれば実家の遺産を自由に使うことができる……もちろん、人間関係の面では苦労するでしょうが、その代わりに少なくともお金の面では一生安泰。世間一般的にはそう思われがちですが、本当に『婿入り=悠々自適』なのでしょうか?

「正直者がバカを見る」を
地で行く悲惨な男性

 今回紹介するケースでは「いずれ遺産をもらえる」という前提で婿入りから30年間、給料の全額(月3万円の小遣い以外)を実家に渡し続けてきたのに、結局、相続時に一銭ももらえず(返してもらえず)妻との離婚を決断した、まさに「正直者がバカを見る」を地で行く悲惨な男性の話です。夫は財産目当てで結婚したわけではないのに、どうやら義理の両親や妻は財産をちらつかせて夫をこき使ったようなのです。

親:遺産をエサにすれば、どれだけ勝手気ままに振る舞っても、どうせ婿は逆らえないだろう
娘:「パパの遺産」をダシにすれば、どんなに無理難題を押し付けても、どうせ夫は言い返せないだろう
婿:お義父さんのおかげで今の自分があるのだから、最後まで誠心誠意、尽くしたい

 相続の場面には数多くの登場人物が登場しますが、このように親、娘、婿だけを切り取っても、それぞれの思惑は上記の通り、三者三様なのです。だからこそ、「親の死」をきっかけに長年、隠してきた「腹黒さ」が前面に顔を出すのも自明の理でしょう。では、具体的な相談内容を順番に見ていきましょう。

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