「FRIDAY」(講談社)7月10日号に掲載された“組閣ごっこ”の写真。

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 今から半年ほど前、安倍首相が総理公邸に"お友達"を呼び寄せ"組閣ごっこ"をしている写真が流出したことをご記憶だろうか。

 これを報じたのは「FRIDAY」(講談社)7月10日号で、「安倍首相支持率急落中にお友達との「組閣ごっこ写真」流出」という記事。掲載された写真を見ると、安倍首相を囲むように見城徹幻冬舎社長・AKB48総合プロデューサーの秋元康氏など"お友達"5人が総理公邸の西階段に並び、まるで内閣発足時の閣僚写真のようにおさまっていたのだ。

 この西階段は、戦前からずっと内閣発足の際に使われてきた日本の憲政史を象徴する場所だ。そこに立てるのは本来、国会の指名を受けた総理大臣と天皇から認証を受けた国務大臣だけであり、だからこそ、首相公邸への改修の際にも、この西階段は建築当時の状態に復元された。それをオトモダチとのお遊びに使うとは......。

 まさに安倍首相のおごりを物語るような話だが、実はこんな写真が流出した原因は、問題の写真の後列左におさまっていたベンチャー経営者・ネクシィーズの近藤太香巳社長がFacebookに自慢そうにアップしたからだった。

 近藤社長といえば「YAHOO! BB」の販売代理店事業で急成長を遂げ、2004年に史上最年少で東証一部上場企業「株式会社ネクシィーズ」の社長になったカリスマ起業家。

 ところが、そんな安倍首相のお友達でもある近藤社長が元愛人からDVで告発されているのだ。

 それを報じた昨日発売の「週刊文春」(文藝春秋)12月24日号では、元ビジネスパートナーで3年以上に渡って近藤社長の愛人だったという倉本明美さん(仮名41歳)が、近藤社長の関係を赤裸々に語っている。

 記事によれば、近藤社長と倉本さんが交際をスタートさせたのは09年3月頃。当時近藤社長は2番目の妻と再婚してわずか1カ月後だったが、近藤社長は自らを独身だと偽っての交際だったという。その事実を1年後に知った倉本さんだが、しかし近藤社長の甘言を信じ、その後もビジネスパートナーとしても親密な関係を築いていく。だが11年7月、倉本さんの浮気を邪推した近藤社長の暴力が始まったという。

〈「お前は嘘をついている。男と浮気したんやろ。ふざけるな!」
 そう叫ぶと近藤氏は上半身を起こし、彼女の左胸を思い切り蹴り付けたのだ。〉(週刊文春より)

 この際、倉本さんは肋骨を骨折するが、その後も暴力を受け外傷性くも膜下出血の疑いと診断されたほどだったという。こうした生活を「地獄の日々だった」として告発する倉本さんだが、問題はDVだけではなかった。それは近藤社長による倉本さんの会社の乗っ取りだった。

 DVによって2人の愛人関係は12年10月には破局を迎えるが、しかしビジネスパートナーとしての関係は続いていたという。交際当時、倉本さんは美容ビジネスを立ち上げ、株式の7割を自らが所有し、残りの3割を近藤社長が持つという関係でもあった。しかし近藤社長はこの間倉本さんに内緒で株主総会を開き、増資を決定して倉本さんの持ち株比率を大幅に下げていた。その上で今年5月には倉本さんを代表取締役から解任し、自らが代表取締役に就任してしまったという。

〈倉本さんは現在、"不正増資"について刑事告発を行う準備を進めている。
 一方でDV被害についても警視庁原宿署刑事課にA4用紙十八枚にわたる刑事告訴状を提出した。〉(同前)

 愛人にビジネス援助し、破局すると簡単に約束を反古し、そして会社を乗っ取る。これが事実なら、なんともとんでもない男だが、しかしさらなる問題は、こんな人物と安倍首相が非常に親しい関係にあるということだ。

 前述の"組閣ごっこ写真"撮影の際、近藤社長は偶然その場に居合わせたわけではない。本サイトでも以前報じたが、近藤社長は"組閣ごっこ"写真の2年ほど前から安倍首相と会食をするほどの仲だった。

「2人の関係を深めたのは"組閣ごっこ"写真に一緒におさまっている見城社長でしょう。安倍首相の後見人、フィクサーとしての地位を着々と固めている見城社長ですが、その際ベンチャー企業の経営者など自分の人脈を積極的に引き合わせています。その一人が近藤社長だった」(政界関係者)

 例えば2013年9月20日、安倍首相は見城社長主催の銀座での会食に出席しているが、この席に近藤社長も同席し、自らのFacebookでそれを公表している。安倍首相が「ここまでこれたのは見城さんのおかげだ!」と発言したことや、「事務局長は損得舎 社長の佐藤尊徳。メンバーは、楽天 三木谷社長・GMO 熊谷社長・avex松浦社長・サイバーエージェント 藤田社長。僕の計8名でした。この少人数でトキの総理を囲み、話題は旬のオリンピック秘話から世界に向けた日本のあり方にまで進展」など著名出席者を列挙した自慢話を嬉しそうに書き込んでいる。

 その後もこうしたベンチャー業界の経営者グループは安倍首相と頻繁に連絡をとり、支援を行ってきた。その中の有力者の一人こそ近藤社長なのだ。背景には、安倍政権下での規制緩和やカジノ構想などをめぐり、新たな利権に食い込もうという思惑があるのではないかともいわれている。

 今回の問題はいちベンチャー経営者のスキャンダルというだけでなく、まさに安倍首相の有力支持者によるDV、会社乗っ取り事件なのである。

 近藤社長は"組閣ごっこ"写真をFacebookにアップした際、こんなことを記している。

「総理とお話をしていると、我が国を誇りに思えます」
「こんな偉大な人物と年に2回も食事ができ、私は本当に幸せです」 

「国の誇り」などと言いながら、実際は女性や弱者を抑圧し、自分の利益だけを追求する──。その意味では安倍首相とその応援団の体質がよくわかったスキャンダルと言ってもいいかもしれない。
(田部祥太)