4-4-2と4-2-3-1を使い分けるなか、明らかに2列目は人員が不足する。追加メンバーにはこのポジションの選手が選ばれそうだ。

写真拡大 (全5枚)

「もっと悩みたいなと」(手倉森監督)
 
 12月18日、来年1月にカタールで開催されるリオ五輪アジア最終予選へ臨むU-22日本代表メンバーが発表されたが、指揮官が読み上げたリストに記されたのは当初予定した23人よりふたり少ない21人だった。悩み抜いた末に、前日、霜田技術委員長と相談し、2枠分の選考期間を伸ばしたという。

【PHOTO】メンバー21人の顔ぶれ
 
 残りのふたりに関しては「石垣島キャンプ(12月22日〜30日)中には天皇杯がある。天皇杯を戦うメンバーを含め、(候補となる)15人のなかから選んで30日に発表したい」と説明する。
 
 15人に含まれるのは石垣島キャンプに参加する櫛引一紀(札幌)、高橋祐治(讃岐)、安在和樹(東京V)、三竿健斗(東京V)、豊川雄太(鹿島)、前田直輝(松本)、川辺駿(磐田)、荒野拓馬(札幌)、金森健志(福岡)、天皇杯を残す関根貴大(浦和)、鎌田大地(鳥栖)、秋野央樹(柏)、中谷進之介(柏)、中山雄太(柏)、西野貴治(G大阪)の面々だ。

 ただ、その15人のリストを含めて、今回の選考はまさに予想通りの人選だったと言って良い。広島の野津田がクラブワールドカップで右膝を負傷し、欠場を強いられるアクシデントはあったが、サプライズ招集はなし。遠藤航、大島僚太ら主軸メンバーや、南野拓実、久保裕也の海外組も順当にエントリーし、序列も大きな変化はない。
 
 しかし一方で明らかに今回の招集メンバーのなかで、2列目の選手が不足しており、「どこが足りないか一目瞭然だと思う。先日の中東遠征では攻撃の枚数や、攻撃に特長のある選手を入れるべきか考えてきたが、前に重心をかけられる選手には期待したい」と、手倉森監督も攻撃的な選手の追加を示唆する。
 
 今後は30日の追加メンバー発表を踏まえて、新年の2日には開催地、カタールに入る。ただ、南野は「年内はしっかり休んでもらい、1月2日から合流してもらう」(霜田技術委員長)と、最終予選メンバー全員が集結するのは第1戦から約10日前というのは心許ない。
 
 今予選はこれまでのホーム&アウェー方式ではなく、中立地での集中開催方式で行なわれ、五輪の出場権を得られるのはわずか3か国。決勝に進出するか、3位決定戦で勝利をしなければならないという過酷な条件をクリアしなければならない。
 
「集中開催ではまずフィジカル、体力面を気を付けたい。あとは心の体力。いろいろなプレッシャーがかかってくるなか、そこのケアはしっかりして、ピッチ外でのマネージメントに力を入れたい」(手倉森)とするなか、誰を追加で選び、どうチームを組み立てるのか。限られた時間での指揮官の手腕には注目が集まる。
 
【GK】
◎櫛引政敏(清水)/○中村航輔(福岡)/△杉本大地(京都)
 
 まずGKはこの世代の正守護神を長い間、務めてきた櫛引がレギュラーの筆頭となる。U-19アジア選手権など数々の国際舞台を経験しており、他のふたりに比べ最終ラインとの連係面でも一日の長がある。ただ今季の清水では定位置を失っており、試合勘の部分ではやや不安が残るのも否めない。
 
そこで頭角を現わしてきたのが、今季、福岡のレンタル移籍で急成長を遂げた中村だ。現状では第2GKという立場ではあるが、“勢い”では櫛引を凌駕する。J1昇格プレーオフでのパフォーマンスが示すように大舞台でのビッグセーブにも期待できそうだ。
 
一方、3つ目の椅子を確保した杉本は京都では出場を重ねるが、国際経験の面で前述ふたりの後塵を拝す。急場に備えた準備が必要になるだろう。

※凡例:◎=スタメン候補 ○=準レギュラー △=バックアッパー
 
 
【CB】
◎岩波拓也(神戸)/◎植田直通(鹿島)/○奈良竜樹(FC東京)
 
【右SB】
○松原 健(新潟)/○室屋 成(明治大)
 
【左SB】
○山中亮輔(柏)/○亀川諒史(福岡)
 
 CBは岩波と植田のコンビが“鉄板”。ここ数試合の練習試合では奈良が先発する機会が多かったが、長い時間コンビを組む両者は最終ラインの柱と言え、余程のことがない限り入れ替わることはことないだろう。
 
 ただ、CBは現状で3人の選出となっており、予期せぬアクシデントに備えて、残り2枠を使って西野、中谷らが入れる可能性もなくはない。その点ではCBのスペシャリストである西野より、本職のCBだけでなく左右のSBをこなすユーティリティ性がある中谷のほうがメンバー入りへ近いはずだ。

 右SBで気になるのは松原の状況。4月に右外側半月板を損傷し、10月14日の天皇杯で実戦復帰を果たしたが、コンディションが完全に戻ったとは言えない。11月の神奈川合宿で久々にU-22代表入りし、先日の中東遠征でのU-22イエメン戦、U-22ウズベキスタン戦でもプレーしたが、最終予選までにどこまで復調できるかが鍵になる。現状で考えれば、唯一の大学生である室屋が右SBの一番手となるだろう。 

 左SBは山中と亀川がしのぎを削る。先日の中東遠征での2試合ではそれぞれが1試合ずつ先発し、アピールを繰り返した。山中はセットプレーのキッカーを務められる点は大きいが、所属の柏では出場時間が限られており、逆に亀川は福岡の主軸として経験を積んでいる。ふたりの争いは決戦直前まで続くだろう。

※凡例:◎=スタメン候補 ○=準レギュラー △=バックアッパー
 
【ボランチ】
◎遠藤 航(湘南)/◎大島僚太(川崎)/△原川 力(京都)/△井手口陽介(G大阪)
 
【2列目】
◎中島翔哉(FC東京)/◎南野拓実(ザルツブルグ/オーストリア)/○矢島慎也(岡山)
 
 2ボランチに関しては、遠藤、大島のコンビが不動。最終予選でも遠藤にキャプテンを任せることを手倉森監督は明言しており、大島もチームの司令塔として絶対に欠かせない存在だ。
 
 バックアッパーとしてはパスを捌ける原川、粘り強い守備と推進力を備える井手口が控える。システムとしては基本の2ボランチのほか、アンカーを置く3枚もあるが、この4人で回すことは可能だろう。
 
 強いて残り2枠に入る余地があるのはSBやCBを務められる秋野。オールマイティーな能力を有しているだけに、短期決戦では力を発揮しそうだ。
 
 一方、中盤2列目は中島、南野、矢島の3人と明らかに人員不足となっている。少なくとも追加メンバーのひとりはこのポジションから選ばれると言って間違いはないだろう。候補としてはスピードが魅力の関根、果敢な仕掛けからゴールを狙う前田、また現代表では1トップで起用される鎌田あたりが該当する。指揮官が攻撃を活性化させるために誰を選ぶのか、注目は集まる。

※凡例:◎=スタメン候補 ○=準レギュラー △=バックアッパー
 
【FW】
◎久保裕也(ヤングボーイズ/スイス)/◎鈴木武蔵(水戸)/○浅野拓磨(広島)/△オナイウ阿道(千葉)
 
 11月末の湘南との練習試合を含めて直近の3試合で奪ったゴールはたったの「1」。決定力不足が囁かれるなか、期待したいのは「日常から日本を代表して活動している。覚悟はその分強い」と手倉森が評する海外組の久保だ。
 
 久保は南野とは違い、「12月の1週目で試合を終え、少し休んでいるので、石垣島のキャンプから参加する許可はクラブ側にもらっている」(霜田技術委員長)と、年末の合宿でチームに馴染める時間があるのもプラスだ。
 
 その久保の相棒に挙げられるのは鈴木と浅野。ただ手倉森監督は浅野に関して「途中出場であれだけ点を取っている。途中出場する術は身に付けている」と、スーパーサブとして起用する考えを示している。また身体能力の高いオナイウも上手く周囲と絡めれば、興味深い存在となるだろう。
 
 その他、前線からの積極的な守備で貢献できる荒野、金森も石垣島キャンプでアピールすれば逆転でのメンバー入りがあるかもしれない。ただ、バランスを考えれば現状の人数がベストにも見える。
 
【今後のスケジュール】
12月22日〜30日:石垣島キャンプ
1月2日:カタール入り
 
【リオ五輪アジア最終予選スケジュール】
1月13日:グループステージ第1戦・北朝鮮戦
1月16日:グループステージ第2戦・タイ戦
1月19日:グループステージ第3戦・サウジアラビア戦
1月22日:準々決勝
1月26日:準決勝
1月29日:3・4位決定戦
1月30日:決勝
 
取材・文:本田健介(サッカーダイジェスト編集部)