決定力不足という5文字が、チームにまとわりついている。来年1月にリオ五輪最終予選を控えるU―22日本代表である。

 今月6日から13日まで行なった中東遠征で、手倉森誠監督率いるチームはU−22イエメン、U−22ウズベキスタンと対戦した。どちらもスコアレスドローに終わった。

 最終予選へ向けて総仕上げの時期だけに、メディアが危機感を煽るのも無理はない。ただ、久保裕也(ヤングボーイズ)、南野拓実(ザルツブルク)、浅野拓磨(サンフレッチェ広島)の3人が参加していない。「彼ら頼み」と書くメディアもあるが、主力が3人も欠ければ攻撃がパワーダウンするのはしかたのないことだろう。22歳以下の日本サッカーの選手層としては、それが現実なのである。

 得点源のひとりとなってきた鈴木武蔵も、アルビレックス新潟ではコンスタントな出場がかなわず、J2の水戸ホーリーホックへ期限付き移籍していた。その彼も、ケガからの回復過程にある。決定力不足が忍び寄るのは、避けがたい状況だったと言える。

 大前提として、このチームは得点力を強みにしていない。手倉森監督のチームコンセプトは全員攻撃・全員守備による堅守速攻で、最終予選では「1対0で勝ち切るサッカー」を目ざしている。イエメン、ウズベキスタン相手の無得点は気がかりだが、攻撃は久保らの合流待ちの部分がある。決定機をまるで生み出せなかったのなら大問題だが、どちらの試合でも決定的なシーンは作り出している。
 
 そもそも、イエメンとウズベキスタンは格下ではない。いずれも最終予選に進出してくる。イエメンは10月のU−23西アジア選手権──リオ五輪最終予選のために、10か国が集結した大会──で開催国のカタールと引き分け、イランと1対2のクロスゲームを演じている。快勝が約束された相手ではないのだ。
 
 このチームが国際試合を戦うのは、7月のU−22コスタリカ戦以来である。国内で消化してきたJクラブや大学生との練習試合とは、緊張感の度合いが違う。相手のイメージもぼんやりとしている。簡単な試合になるはずがない。
 
 むしろ、2試合ともに無失点に抑えたことを評価するべきだろう。DF陣については、すでにメンバーが固まっているからだ。ディフェンスが計算できるレベルにあることは、最終予選への好材料である。

 決定力不足を嘆くのであれば、最終予選への強化を問うべきだ。3月の1次予選以降、このチームはどのようなスケジュールを消化してきたのか。リオ五輪出場のために、日本サッカー界はどれぐらいの熱量を注いできたのか。手倉森監督のチームは日本サッカーの現状を映し出している、と理解するべきだ。