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本連載では、Twitter Japan(以下、Twitter)の協力のもと、季節や特定のイベントに関するツイート内容と、その盛り上がり状況の解析に基づき、Twitterのトレンドを活用したマーケティング手法について考えていきたいと思います。

2本で1セットとし、前編では、Twitterでリサーチャーを務める櫻井氏に監修を依頼し、特定テーマに関してTwitterのトレンドを分析してもらい、インフォグラフィックで分かりやすく解説していくほか、このインサイトを活かしたプロモーションプランを提案していきます。一方、後半では、マイナビニュース編集部が実際に当該テーマに関してTwitterを積極的に活用する企業に取材を行い、その事例をインタビュー形式にて紹介していく予定です。

第一回となる本稿では、これからの年末年始に大作や注目作品が立て続けに公開となる「映画」に関連したツイートを分析。どんなインサイトがあり、マーケターがそれをどのようにプロモーションに役立てることができるのか、提案していきたいと思っています。

○映画ファンにとってのTwitterとは?

まず、下のインフォグラフィックを見てみましょう。

映画ファンは、Twitter上で映画に関するアカウントをフォローし受動的に情報を収集したり、映画に関するツイートを能動的に検索したりと、さまざまな方法で映画情報に接触しているようです。2015年11月にJustSystemが実施した「Twitterと映画に関する実態調査 (n=1,000)」によると、対象者の65%が「(Twitterでは)最新の映画情報について、人より早く知ることができる」、68%が「Twitterがきっかけで今まで知らなかった映画を知ることができる」と答えており、映画好きのユーザーにとって、Twitterは"発見の場所"になっているとも言えます。

また、Twitterはファン同士が繋がる場所、余韻を楽しむ場所としての側面もあるようです。同じ映画を観た人との交流や、他人の感想ツイートの閲覧は、新しい視点への気付きやより深い内容の理解につながるかもしれません。加えて、ツイートがきっかけで予告編を見たり、周りの友人を映画に誘ったり、DVDやBlu-ray、オンデマンドでその映画を観たりと、次のアクションにつながっていく可能性もあるようです。

では、Twitter上で、映画情報はどのように共有されているのでしょうか。ここで、映画に関してツイートしたことがあるユーザーの割合と、リツイートしたことがあるその割合を見てみましょう。

それぞれツイートしたことがある人が6割、リツイートが5割と、映画ファンかつユーザーの半数が映画への興味関心をTwitter上で示しています。ツイートされる内容としては「映画館に行ったことについて」、リツイートするユーザーは「公開情報について」が多いようです。

これに対し、Twitterのリサーチャー 櫻井氏は「ツイート・リツイートする内容を比較すると、マーケティングにとって貴重なヒントが見えてきます」と言います。

「例えば、映画の公開情報は最もリツイートされやすいことから、予告編の動画は必ずツイートするべきでしょう。映画ファンは、Twitterで最新の映画情報を知りたいというモチベーションがありますし、Twitter上でファン同士がつながっていることを考慮すると、ユーザー間でその情報がリツイートなどで共有されることが期待できます。また、Twitterを使っている映画ファンは、映画館に行ったことや、観た感想をツイートしたいというモチベーションがあることもわかりました。Twitterは、映画配給会社にとって消費者に情報提供ができる場所でもあり、ユーザーによる自発的な情報共有が期待できる場所でもあるのです」(櫻井氏)

○映画に関するツイートの推移から見える「マーケティングのヒント」

櫻井氏のコメントにあるように、Twitterではユーザーのモチベーションを見極めることが重要な要素の一つになりそうです。

ユーザーが「映画のツイートを見たい」と思うタイミングを見てみると、最初の大きなピークは映画製作の発表時で、そのあとは試写会の前後で落ち着くといった流れが見えてきます。また、次のピークは公開直前にみられますが、その後、上映期間中にも同じようなピークが訪れるようです。

一方で、映画ファンはどのようなツイートを見たいと思っているのでしょうか。ここでは大きく「映画公開前」と「公開後」に分けて見てみましょう。

公開前は、出演者や監督、映画会社、製作会社からのツイートが上位にきており、つまり「オフィシャルな情報」にニーズがあることが伺えます。一方で、公開後は映画ファンによるツイートにニーズがあり、「映画を観た体験を共有したい」というモチベーションがユーザーにあると推測できます。あらゆる感情や感想、個人的な評価などが溢れだし、それらの波がさらに映画についての話題を盛り上げているようです。

櫻井氏は、「映画に関するツイート数の推移と、公開前後のツイートの内容を組みわせて考えると、どのタイミングでどのようなツイートに対してニーズがあるのか分かってきます。また、それらのインサイトを踏まえると、Twitter上でマーケティング施策をするためのアイデアが自ずと見えてくるのではないでしょうか」と話します。

「例えば、映画公開前は、映画ファンが求めるようなオフィシャルな情報を"少しずつ"公開することで、ユーザーの情報共有をしたいタイミングを捉えれば、多くのリツイートを獲得することができそうです。公開後は、映画ファンの『共有したい』という心理にそって、映画の内容についての感想ツイートを促すような仕組みを作るといいかもしれません。映画情報の拡散に加えて、その映画に対して熱い想いを持ったTwitterユーザーひとりひとりに、その映画についての宣伝をしてもらうことができるわけです」(櫻井氏)

○ツイート数はビジネスの成果に結びつくのか?

最後に、やはり読者のみなさんの多くが興味関心を抱くであろう「ツイート数とビジネス成果の関係性」を考えてみましょう。これだけTwitter上で、映画に関する情報が扱われていると、「ユーザーからのツイート数の大小によって、興行収入に影響があるのかどうか」といった疑問が湧いてくるのではないでしょうか。

「映画公開前にある程度の話題化をすることは重要ですし、従来のマーケティングはそこに重点を置いていましたが、今回、今年の上半期にヒットした外国映画10タイトルについて実際のツイートを分析したところ、映画公開後にもチャンスがあるのではないかと考えさせられるような結果が出てきました」(櫻井氏)

櫻井氏によると、この分析にて見えてきた4つの法則があるという。1つは、興行収入20億円を超える作品は、公開後1週間にユーザーからのツイートが6,000件を超えていることから、一定のツイート数があることがヒット作品の最低条件だということ。2つ目は、10タイトルのうち上位5タイトルでは、公開日から1週間経ったあとでも、ツイート数がピーク時の50%程度を持続していること。公開日の盛り上がりだけではなく、少し時間が経ってもツイートされ続けているタイトルが、大ヒット作になっているということです。

また、3つ目として、そのツイートは作品を賞賛する内容が大半を占め、ポジティブなものとネガティブなもののボリュームを比較すると、96%がポジティブな内容になっていること。そして4つ目は、公開後のツイート数のほうが、公開前のツイート数よりも興行収入と強い相関があることが分かったと言います。

では次回、実際に"とある映画"のプロモーションとしてTwitterがどう活用されたのかをご紹介します。

○執筆者紹介

Twitter Japan
米Twitter社は2006年に創立され、その役割は、アイデアや情報を生み出したり、それをすぐにほかの方々と共有するパワーを世界中の方々に提供すること。毎月3億2,000万人以上に利用され、毎日5億件以上のツイートが行われている。Twitter Japanはその日本法人となる。

○監修者 : 櫻井 泰斗 (さくらい たいと)

Twitter Japan リサーチマネージャー (Twitter ID :@SakuraiTaito)
Twitter広告の効果測定やツイート分析、マーケティング施策立案を担当する。

(Twitter Japan)