学生の窓口編集部

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ノーベル賞受賞者に代表される「偉人」たち。著名な科学者や音楽家には「名言」や逸話がつきものですが、「そんなこと言っていない」パターンが多いのはご存じでしょうか?

発明王として知られるエジソンの名言「99%の努力」は、ガンバることがだいじ的に伝えられていますが、本当は「1%のひらめき」がなければ努力なんてムダ! の意味。自分の天才ぶりをアピールする自慢話を新聞記者が美談に変えたのが真相です。「努力は必ず報われる」も真逆の話で、ベートーベンの言葉は「成功するとは限らない」が正。世の中には「ひとり歩き」している名言が数多く存在するのです。

■自慢話が美談にリメイク?

世界の偉人のなかでもエジソンの名を知らないひとは少ないでしょう。「発明王」としてちびっ子にも知られた存在なのに、じつは事実じゃない話が意外に多く「電球を発明したひと」でもありません。「天才とは1%のひらめきと99%の努力」の名言に心打たれたひとも多いでしょうが、これも新聞記者によって「盛られた」話。エジソンは「そんなつもり」で話したわけではなかったのです。

このセリフは「努力こそが重要」的に訳されていますが、エジソンの真意はまったくの逆で、「1%のひらめきがなければ、どんなに努力したってムダさ」の意味、新聞社の取材に対し「オレって天才だから! 」をアピールした話だったのです。

エジソンは科学者よりも「やり手の実業家」がふさわしく、マスコミの影響力を理解し上手に使った人物で、まだ実用化のメドもたっていない電球を大々的にアピール、「もうすぐ電気の時代がやってくる! 」と言い放ったこともあります。おかげで、当時の照明に使われていた「ガス」会社の株が大暴落… 現代なら訴えられそうなこともやってのけた人物なのです。

「1%のひらめき」は他社をけん制する意味を持ち、「ウチの会社、最高! 」とかなり嫌味な話だったため取材した記者は困惑、そこで「99%の努力」を前面に打ち出して美談化したのが真相なのです。

■「報われる」なんて言ってない!

ベートーベンの名言とされる「努力は必ず報われる」も、元ネタはまさに正反対。そんなこと言ってないから! と怒られそうなレベルで変換された話なのです。

ベートーベンが言ったのは、

 ・努力した者が成功するとは「限らない」

 ・しかし、成功する者はみな努力している

で、現実はそんなに甘くないから、と訳すべき内容。必ず報われるなんて言った覚えはありません! と怒られそうですね。

舌を出した写真で知られるアインシュタインは、おちゃめなひと的に言われているのもウソ。これには2つの説があり、まじめ過ぎる性格と写真嫌いから、

 ・笑いそうになったのをごまかした

 ・しつこい記者に「反抗」の意をあらわした

どちらにしても「ちゃめっ気」とは縁遠く、本人的には苦肉の策だったのです。

このほかにも、そんなこと言ってないどころか、そんな実験してないよ! も数多くありますので、別の機会に紹介しましょう。

■まとめ

 ・エジソンの「99%の努力」は、新聞記者が「盛った」話

 ・1%のひらめきが重要で、努力だけではどうにもならない、の意味だった

 ・あまりにも嫌味な話なので、新聞記者が「努力中心」の美談として報じた

 ・ベートーベンの名言は、努力しても成功するとは「限らない」

(関口 寿/ガリレオワークス)