Doctors Me(ドクターズミー)- 【目からウロコのお悩み相談室 vol.9】兄弟編

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こんにちは、家族カウンセラーの宮本まき子です。先回は家族編の熾烈「嫁姑」、今回は「きょうだい」のお話しです。

きょうだい編 「血を分ける」しあわせ、不幸せもあると心得る

一人っ子が増えた現代では「いいわねぇ、きょうだいがいらっしゃるの?」と羨ましがられるかもしれません。「カインとアベル」や「リア王の三姉妹」のように、モメにモメる血族関係もあれば、「きょうだいは他人の始まり」のこともあり、朝ドラのダブル主人公のはつとあさのように「生まれながらに最も親しい人」のこともあります。「血を分けている」ことにこだわりすぎないのが最良のスタンスかもしれません。


Q:幼い時から姉は両親のお気に入りで、私はいつも較べられる対象で、とても寂しかったです。習いごと、進学、結婚と姉の希望は全てかなえられ、オプションみたいな私は「放し飼い」状態。結婚後もお互いの子どもたちをあからさまにくらべている親や姉に憤慨し、とうとう一世一代のきょうだいゲンカをしました。このあと、どうすればいいのでしょう?

A:「安心してケンカできるから家族」で、相手が他人なら見捨てられるか、最悪殴られます。きっといまごろ、お姉さんは「あの子は昔からすぐにすねるんだから…」とぼやいてますよ。

「きょうだいは親の愛情をめぐって永遠に争う運命」というフロイト説が一世紀ものあいだ幅をきかせてきたのですが、最近の研究では疑問視されています。十代までのきょうだい葛藤は単純にモノの所有権の分配、つまり「あっちが(大きい、うまい、素敵な)いいものをとって、自分は(小さい、まずい、気に入らない)悪いものをとらされた」という不満からスタートしているというんですね。遺産相続でモメるのはその最たるものだと言われます。

親との関係ときょうだいとの関係は別のものとして切り離して考えましょう。親が姉を愛するのと、妹を愛するのとは「やりかたが違う」だけです。姉と妹の関係は「お宝の配分」での争いがずっと続いているのです。「不公平=愛情不足」という思い込みから解放されない限り、ケンカの火種は残るでしょう。


Q:妹が無職で住所不定、自称ミュージシャンという男をつれてきました。同棲中だったけど、妊娠したので昨日入籍したとか。「総領のお兄ちゃんから親にとりもって欲しい」と言います。でもこんな野良犬みたいなヤツが妹婿だなんて生理的に許せないし、無断で入籍されてショックを受けるだろう両親にどう話したらいいものか…。

A:お家によってはまだ「総領(つまり、一番年長の)息子」が健在で、きょうだいを束ねています。情報が共有化され、相談事の解決に知恵や手を貸す人というのが「お約束」ですから、頼られるのは仕方ありません。「野良犬」と切って捨てては妹さんの立場がないのでは。

お家のルールでは「入籍に家族のOKが必要」でも、日本国憲法は「本人同士の合意」ですからね。苦虫かみつぶして諦めるか、いっそ「育ててくれた親に無断とはけしからん!とりあえず籍を抜け!話はそれからだ」と総領の権威で一喝しておいたらいかがでしょう。きょうだいだから言えるホンネもありますし、モメて初めて表に出る諸事情もあります。ゴチャゴチャとやりあえるのは、かって運命共同体の船の同乗者だったからでしょう。古い言葉ですが、「これもご縁」ですから。


Q:2人きょうだいの弟です。兄貴は昔からシャイで、無口で部屋に閉じこもりがちで、何でも一人でやるのが好きで、弟をうるさがりました。中高に入ってもこの関係は続いていて、僕の顔をみても面倒くさそうにするだけ。友だちの方が兄弟みたいに思えるのはおかしいのではないでしょうか?

A:きょうだい仲の改善研究で有名なイリノイ大学のクレーマー博士の出した結論なら納得するかもしれません。一般には「きょうだいで遊び、もめることで互いに学び合い、社会スキルをつけるから友だちと遊べる」のが通説。彼の研究結果によるとそれは逆で、「友だちを練習台にしてひとづきあいを学び、それを弟や妹に応用する」というのです。

つまり、折り合いをつけたり譲ったりの友だちづきあいの習慣ができないうちに下の子が現れると、彼らと遊びを共有するスキルが学べていないというんですね。友だちは気づかいが足りないと離れてしまうし、親しくしてくれないけれど、弟や妹はほうっておいても明日消えてなくなりはしない。だから人間関係に油断と甘えが出るんですね。「とりあえず、こいつらは後回し」になってしまう。ベストなきょうだい関係とは究極、本物の友情みたいな関係になることなのでしょう。

まき子おばちゃまからの伝言

きょうだいというのは「履歴書」みたいなもので、少なくとも結婚相手より詳しくいろいろな事件や実情を知っていて、それを当人の嫁や婿に告げ口しないというのが暗黙の了解になっています。そうでなくて口が軽かったり、嫌な内情までしっかり見られたりしていると、結婚と同時につきあいが遠のくのは自然かもしれません。血族ではあるけど、ベストな関係は親友関係に近いというのは本当でしょう。

少子化で本物のきょうだいづきあいが難しいとき、「きょうだいもどき」の親友がいて、家族ぐるみのつきあいをするのもいいですね。お互いの子どもらが「○○オジサン、○○オバサン」と呼びあって親戚気分になっている。「××のマサルが入試合格だって」と家中で他人様の子の幸運に盛り上がっている。そんな楽しい関係もアリだなぁと思いますがいかがですか。

〜家族カウンセラー・エッセイスト・評論家:宮本 まき子〜