引退会見で決断の理由を語った澤。皇后杯で有終の美を飾れるか。写真:田中研治

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 今季限りでの現役引退を決めた澤穂希が、12月17日、東京都内で記者会見を行なった。今年6月には自信6度目となるワールドカップに出場し、INACでは主軸としてプレーしていただけに電撃的な発表となったが、澤はひと言ひと言、丁寧に引退の理由を言葉にした。

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 会見場に現われると、時折感極まる気持ちを抑えながら「引退の一番の理由は心と身体が一致して戦うのが難しくなったからです。人生で最大の決断でしたが、悔いなくやり切ったサッカー人生でした。ただ皇后杯は最大3試合残っています。サッカー選手として生き様を見せたいです。すべての人に感謝しながらプレーできれば思います」と、引退の経緯を説明した。

 大きな決断を意識し始めたのは昨年のことだったという。

「去年から自問自答を繰り返してきました。結婚をしてから、主人にサポートをしてもらいながら本当に頑張れました。ただワールドカップを終えて、悔いなくやり切れたと思った瞬間があり、そこから今年限りだなという気持ちが強まりました。去年代表を外れた時にもいろいろ考えましたが、心と身体を一致させて戦うのが難しくなったのがやはり大きかったです」

 引退発表のタイミングに関しては「皇后杯が終わってから伝えるのは寂しすぎるので、みんなと共有意識を持って、最後に皇后杯を優勝するためにひとつになって戦いたいと思い発表しました。皇后杯は1試合、1試合すべての力を出し切って、支えてくれた人に感謝の気持ちを込めて澤穂希らしい泥臭いプレーを見せたいです」とコメント。

 今後に関しては「今はちょっとだけ心と身体を休ませてから、サッカーはもちろん、スポーツ界で澤穂希しかできないことをやりたいです。子どもが大好きなのでサッカー界の底辺を広げられるような仕事をしたいです」と時間をかけてゆっくり新たな道を探したいとの意向を示した。

 また「辛かったのは2004年のアテネ五輪のアジア予選の北朝鮮戦。膝の怪我をしていてストレスでじんましんができるほど大変でした。嬉しかったのはやっぱり2011年の(ワールドカップでの)優勝。女子サッカーの歴史を変えましたし、忘れられない1日となりました」とこれまでの歩みを振り返り、「満足ではなく納得。メダルを取り、バロンドールも取り、自分のサッカー人生は納得できました」と満面の笑顔を見せた。

 最後まで「感謝」という言葉を繰り返した澤は、「(2016年の)リオ五輪への関わりは今はまだ分からないですが、自分が出来ることがあれば協力したいです」という。

 なお所属のINACが順当に皇后杯を勝ち上がれば、12月19日に準々決勝、同23日に準決勝、同27日に決勝を戦う。澤が年末に有終の美を飾れるのか注目は集まる。

取材・文:本田健介(サッカーダイジェスト編集部)