ペヤングは厳しい対応が信頼回復につながった

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 利益水増しの東芝、「傾きマンション」の三井不動産、女性役員が麻薬取締法違反で逮捕されたトヨタ自動車など、2015年は日本を代表する企業での信じ難い不祥事が相次いだ。こういった企業の不祥事は、謝り方ひとつでその後の企業イメージが大きく変わるものだが、今年もっとも「謝り上手」だった企業はどこなのか。

 日本年金機構から公的機関としては最大規模の125万件の年金加入者の個人情報が流出したのは5月だった。パソコンへの不正アクセスが原因のため警察当局も捜査を開始。6月1日に会見した水島藤一郎・理事長は「深くお詫びします」と謝罪したが、情報流出の経緯は「捜査に関わる」として明らかにしなかった。

「国民の個人情報を大量流出させた言語道断の事件で、マイナンバー制度の普及が遅れるなど影響も甚大だった。この一件で年金に対する国民の不安は最高潮に達した」(経営コンサルタントの小宮一慶氏)

 今年初頭、チキンマックナゲットにビニール片が入るなど異物混入トラブルが相次いだ日本マクドナルド。1月の謝罪会見を「出張中」の理由で欠席したサラ・カサノバ社長は、2月の会見ではロングヘアーを束ね、深々と頭を下げる“日本流”で謝罪した。

 4月には店舗の閉鎖や品質管理の徹底を柱とする経営再建策を発表したが、消費者の信頼を取り戻すのは容易ではないようだ。同社の2015年1〜9月期の売上高(全店)は前年同期比20.4%減。営業損益は207億円の赤字だった。

 素早い対応でピンチを切り抜けたのがまるか食品である。危機管理コンサルティング会社「リスクヘッジ」の田中辰巳氏はこう話す。

「昨年末、主力商品のカップ焼きそば『ペヤング』にゴキブリが混入していたことが発覚。同社は即座に〈全品回収〉を宣言し、今年6月まで〈生産販売の中止〉を行なった。消費者に“そこまでやるか?”と思わせるほどの厳しい対応が信頼回復の下地を作った」

 ペヤングは6月の販売再開後、わずか12日で中止前の売り上げ(月単位)をほぼ達成し、V字回復を果たした。

 創業家の父と娘が演じた経営権を賭けたプロキシーファイト(委任状争奪戦)が注目を集めた大塚家具のケースはどうか。株主総会で、父・大塚勝久会長(当時)の経営手法を「古い」と斬り捨てた長女・大塚久美子氏が過半数の支持を得て勝利。創業者の勝久氏は会長職を退任した。

「4月から始めた“お詫びセール”では久美子氏自ら店頭に立ち、新宿ショールームに1日で1万人が訪れるなど盛況だった。トップが頭を下げる姿を国民が見飽きていた中、久美子氏の行動で示す“謝罪”は大胆で効果的だった」(危機対応コンサルタントの山見博康氏)

 同社の今年の売上高予想(2015年12月期・通期決算)は568億円と前年同期より約13億円アップ。営業利益も前年の赤字から、今期は1億円超の黒字予想だ。

※週刊ポスト2015年12月25日号