お金がひとを殺すこともある「あさが来た」69話

写真拡大

朝ドラ「あさが来た」(NHK 月〜土 朝8時〜)12月16日(水)放送。第12週「大阪一のおとうさま」第69話より。原案:古川智映子 脚本:大森美香 演出:西谷真一


69話はこんな話


サトシこと松造(長塚圭史)とのことを、あさ(波瑠)に語って聞かせる新次郎(玉木宏)は、炭坑で彼の顔を見た時ちょっと嬉しくて、まさか、あんな事故、そして加野屋の一大事にまで発展するとは思いもしなかったと深く後悔の念を滲ませる。
翌日、加野屋のまわりをうろついているあやしい男が目撃される。

新次郎を抱きしめるあさ


新次郎は、いつも飄々として隠し続けてきた深い心の傷を、あさにさらけ出した。
これまで何かあると、新次郎に抱きしめてもらってばかりいたあさが、反対に新次郎を抱きしめる。お母さんになったこともあって、あさがどんどん強くなっているのを感じる場面だ。
玉木宏の瞳の表情が豊か。激しい後悔とか過酷な人生に対する怖れが大きな瞳によく出ている。

新次郎は、子供の時、松造から「わての一家はお金に殺されたんや」となじられていた。お金が人を殺すこともあるのだと語られる69話の前の68話で、政府がいろいろな種類のお金を発行し、迷走している状態を説明しているところが、細かい。

松造が子供の時と同じ強い眼をしていたことを新次郎が語る。初登場の時からずっと、長塚圭史が徹底的に眼つきを鋭くしていたのは、最初から台本に書かれていたことだったのだろうか。
その眼が、新次郎に彼の存在を気づかせたわけだし、子供の頃、新次郎に気持ちをぶつけた時から長い歳月が経ってもずっと松造が抱え続けてきた憎悪の深さも感じさせる。

榮三郎はいいひとだった


68話のレビューで、榮三郎(桐山照史)はがんばる兄嫁・あさが目障りなんじゃないかと書いたところ、正吉(近藤正臣)もそれを心配していた。でも、
榮三郎は「眼の上のたんこぶ」とまでは思わへんでと返す。やっぱり育ちのいいぼんぼんは違う。朝ドラに限らず、意地悪キャラのほうが美味しいこともあって、むしろ、いいひとを演じるほうが難しい。ぜひとも、奇をてらわず、できた跡取り役をしっかり演じていってほしい。

どうなる、亀助の恋


大阪に帰ってきて、雁助(山内圭哉)の代わりの仕事をしている亀助(三宅弘城)の、ふゆ(清原果耶)への思いがいよいよ本格化。
ふゆを見初めているらしい男の色気たっぷりの大工のはっつあんも台詞だけで登場するものの、当人はまだ新次郎のことが気になっているような回想シーンも出て来た。それを知ってか、あさの忠実な女中・うめ(友近)は亀助をたきつけ続ける。
だが、亀助はお兄ちゃんで済まされてしまいそう。「うち、ほんまは・・・ずっと・・・」と期待させ(お約束ですね)、お兄ちゃんが欲しかったと言うのは、天然なのか、さりげなく亀助を牽制しているのか。そこまで策士ではないのかな。
ふゆは6人姉妹だそうで、春夏秋冬では足りない。ほかの姉妹はどんな名前なんだろう。
(木俣冬)

木俣冬の日刊「あさが来た」レビューまとめ読みはこちらから