死んだら星なる!?(shutterstock.com)

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 同音異義語の「就活」と「終活」の二文字が、競い合うように新聞紙面を飾る現在のニッポン。明るい話題が見当たらない「就活」の一方、団塊世代の高齢化によって追い風が吹く「終活ビジネス」は、今後20年強は拡大成長の一途といわれ、今や年間市場規模が5兆円にもなるという。

 先月、東京ビッグサイトで開催された『エンディング産業展』には、国内外から200社余りが集い、盛況のうちに閉幕。既に来夏の開催も決まっているそうだ。そこでひと際注目を集めていたのが、なんと「宇宙葬」関連のブースだった!

宇宙葬第一号は『スタートレック』原作者!

 宇宙葬の起源は1997年4月21日。かのSF人気ドラマ『スタートレック』の作者ジーン・ロッデンベリー氏を含む24人分の「搭乗者」(「遺灰」をこのように表現する業者もいる)を宇宙空間に打ち上げたのが最初だという。次いで同作品の機関長役を演じた男優や実際の宇宙飛行士OB、天文学者や冥王星の発見者ら、宇宙に縁のある面々(の遺灰)がカプセルに納められ、宇宙空間に「散骨」されているそうだ。

 そんな宇宙葬を取り仕切る先駆けが、米国のセレスティス社だ。日本の正規代理店・株式会社銀河ステージが提供するプランにも各種あって、/郵衛星で地球軌道に乗る(95万円)、▲蹈吋奪箸之醋銘緡Δ垢襦↓C輝宙探査機で遥か旅立つ(共に250万円)等が代表例である。生前予約を含む日本人の搭乗成約者数も30名を突破し、さる11月16日の打ち上げ時にも3名が旅立ち、来年のフライト予定名簿には元プロ野球選手の故・富田勝氏(今年5月没)の名前も連ねられている。また、女優の島田陽子さんもスペースメモリアル(宇宙葬)を生前予約している一人である。

 一方、エリジウムスペース社は、元NASAの技術者が退職後に創業。日本でも一昨年の秋から予約受付を開始した宇宙葬サービスは、発表当時、1.990ドル(約20万円)の格安さが大いに話題を呼んだ。日本では現在『Sorae(ソラエ)』の名称で株式会社みんれびが提供しているが、22万9000円で宇宙への散骨が可能な安価時代の先陣を切っている。

 これらの宇宙葬は、専用のアルミニウム製カプセル(約1センチ角)に遺灰を納めて返送するだけでOK。規定人数に達した時点で超小型衛星(10センチ角)に格納してロケットで打ち上げるという流れだ。

 最大の特徴は、スマホやタブレットで提供中の無料専用アプリで、遺灰を搭載した衛星の現在地をさまざまな角度から画面確認できる点。日本上空を通過するタイミングも判明するので、夜空を見上げて故人を偲べるわけだ。

 また、株式会社ごんきやが提供するのは、高度30km(成層圏)付近への到達時点で粉々に破裂する属性を利用して「散骨」を行なうのが『バルーン宇宙葬』。基本料金は24万円。あとは偏西風に乗って、〈千の風になって〉よろしく遺族の行く末を大空から見守るという設定だ。ただし、国際航空連盟では地上から100Kmをカーマン・ライン(大気圏と宇宙空間の境界線)と定義し、それ以下の空間で執り行なうのは「宇宙葬ニ非ズ!」と競合を牽制する同業社もあるそうだが......。

海外企業も注目する日本人の終末観

 先述のエリジウムスペース社がベンチャー系では稀な最速での海外進出先を日本に定めた背景には、々睥隹柔菴聞颪任△蝓↓火葬文化の根付きと終末観の多様化があったという。

 カプセルが地球の周りを巡る期間(3カ月から数年間)は打ち上げられた衛星の最初の角度で左右されるが、やがて美光を伴って大気圏に突入しては流れ星のように想い出と消える......。

 村上春樹氏が長編小説『スプートニクの恋人』でも描いたライカ犬は、地球軌道を最初に周った動物。北欧映画『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』の少年主人公は、「人工衛星に乗せられて死んでいったライカ犬より、僕の人生のほうがまだ幸せだ......」と自らの薄幸ぶりを慰めていた。

 「下流老人」「老後破産」と負の高齢用語が流行る中、墓地の価格高騰、檀家激減、菩提寺倒産、派遣僧侶・牧師の隆盛などなど、今世紀の「死」をめぐる世相は、いまが正に端境期。だがしかし、終の住処さえままならない下流予備層には、これもまた夢のまた夢、雲上物語なのか......。わが国の下流予備軍や老後破産組は、むしろ夜空に散ることを熱望してる!?
(文=編集部)