今回のグランプリ(GP)ファイナルでは、シニア女子、ジュニア女子、ともに日本対ロシアの勢力争いが繰り広げられた。

 シニアではジュニアからデビューしたばかりのエフゲニア・メドベデワが初出場初優勝の快挙を見せ、ジュニアでもロシアのホープ、ポリーナ・ツルスカヤが優勝を飾った。日本勢はタイトルこそ取れなかったが、シニアでは全日本女王の宮原知子が気を吐いてSP4位から総合2位に食い込み、ジュニアではSP3位の本田真凜が粘りの演技を見せて総合3位に入った。

 これまでもしのぎを削ってきた両国だが、ここ最近はソチ五輪前から強化を図ってきたロシア勢の勢いが止まらない。10代の才能あふれる逸材を続々と輩出しているロシアに対し、日本も奮闘しているが、少々押され気味なところは否めない。

 特にシニアでは浅田真央が休養していた昨季から今季にかけてロシア勢が席巻しており、GPファイナルでは2連勝。今季のGPシリーズでは、6戦中5戦でロシア勢が表彰台の一角を占めた(うちスケートアメリカとロシア杯を制覇)。一方で、日本勢が表彰台に上ったのは4戦だった(うち中国杯とNHK杯を制覇)。

 今季少しずつ得点を上げてきている宮原は、NHK杯で自己ベストを更新する演技を見せて合計で初めて200点超えを果たし、自信をつけた。初出場となったGPファイナルでも公式練習から調子がよく、さらなる飛躍の期待がかかった。

 SPでは大舞台の雰囲気に少し飲まれたようで、緊張感から動きに硬さが見られて得点を伸ばすことができなかったが、フリーでは伸び伸びとノーミス演技を披露して2位に浮上。NHK杯で出した自己最高得点を6.51点更新する140.09点をマークし、合計でも自己最高を5.74点更新する208.85点を叩き出してみせた。

 自己ベストを更新する会心の出来だった宮原だが、それでも総合2位にとどまったのは、さらに上回る完璧で勢いのある演技を16歳のメドベデワが見せたからだ。

「優勝できるとは思っていなかったけれど、この結果のために一生懸命に練習してきました」と、初々しいコメントを残したメドベデワと宮原の合計の点差は13.69点。中でも、フリーにおける演技構成点の点差は5.17点に及んだ。

 このことからもわかるように、今後、日本女子がロシア勢と勝負する上で課題に挙げられるのは演技構成点の評価だ。技術点の基礎点では負けてはいない。あとはいかにGOE(出来栄え点)加点を稼げるかということもあるが、最大の問題はやはり表現面の強化にあると言ってもいいのではないだろうか。

 ロシア勢との戦いを通して、宮原自身も痛感したかもしれない。課題の表現力については「まだひと皮むけていない」と語っている。本人もそう思っているだけに、伸びしろがあるということでもある。

「まだまだ技術面や表現面で足りないところはあるんですけど、やっとこのGPファイナルに出場することができたので、これからもっともっと頑張ろうと思いました。こういう大きな試合に出ているんだという、自分への自信みたいなものは持とうと思いました」

 自他ともに認める"恥ずかしがり屋"の宮原も、少しずつその殻を破ろうとしている。

辛仁夏●文 text by Synn Yinha