飛行機や新幹線へのレーザー光照射が問題に。レーザーポインターってどのくらい危険?

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航空機や新幹線などを標的にしたレーザー光照射事件が相次いでいます。山口県の徳山駅では、新幹線の運転席にレーザー光が照射されたとして、JR側が警察に相談。米軍や自衛隊の基地で軍用機に照射される事件も頻発しており、沖縄では逮捕者も出ました。こうした事件に使用されている可能性が指摘されているのが、市販のレーザーポインターです。レーザーポインターとはどれほど危ないものなのでしょうか?

大出力で火がつく製品も


レーザーポインターは、その名の通り、レーザー光で特定の場所を指し示すための機器。プレゼンテーションなどでスクリーン上を指示する際に使われます。ペン型やマウス型があり、内蔵された半導体などからレーザー光を照射するものです。

レーザーには「高密度のエネルギーを1点に集中できる」という特徴があります。このため、消費生活用製品安全法で「消費者に危害が及ぶ恐れ」のある製品のひとつとされ、出力1mW(ミリワット)以上の製品の販売は禁じられています。

ところが、実際にはその規制を大きく超えると見られる製品が販売されています。ある通販サイトでは、「10000mW 超高出力レーザーポインター」「簡単に火を付けたり、紙を燃やしたりできる」「約10000m先まで照射できます」といったうたい文句の製品もあります。

実際にレーザー光でマッチ棒に火をつけたり、風船を破裂させたりさせている動画もネット上で閲覧することができます。航空機などを狙った事件では、法定基準内の製品では届かない距離にまで到達しているケースもあるため、こうした非正規の製品が使われている可能性があります。

失明や大惨事につながる恐れも


レーザー光の照射については、公共交通期間のほかに、野球やサッカー、競馬などのスポーツ会場やコンサート会場などでも問題となっています。もし人が高出力のレーザー光を受けると、どんな被害が起きるのでしょうか。

眼球に直接レーザ光が照射されると、網膜が損傷する可能性があります。その結果、視力や視野に悪影響を及ぼし、最悪の場合、失明する恐れもあるのです。

そこまでいかなくても、瞬間的に視野狭窄(しやきょうさく=視界が極端に狭くなること)となる恐れがあります。沖縄・普天間基地で被害を受けた米軍側は、「夜間用の暗視装置を利用している時は特に危険で、墜落などの重大事故につながりかねない」などと懸念を表明。普天間基地は市街地に位置しているため、事故が起きれば大惨事になりかねません。もちろん一般の空港でも同様です。

基準内の出力の製品であれば、目に入ったとしても瞬きをすることなどで危険を回避できるとされていますが、危険なことには変わりません。細心の注意を払い、決して人には向けないようにするのが最低限のモラルと言えるでしょう。

また、レーザーポインターを幼い子供の手が届く場所に置く、レーザー光を鏡などの反射物や動物に向けて照射する、集光装置でレーザー光集める、といったことは厳に慎む必要があります。

テロへの悪用も懸念


国内で販売されている正規品は、検査で合格したことを証明する「PSC」マークが表示されています。PSCマークがなく、むやみに高出力をアピールしている製品や、相場とかけ離れた激安商品、レーザーの放出を維持する機能を有している製品は危険が伴う可能性がありますので、十分注意が必要です。

高出力のレーザーポインターは、テロ行為への悪用も懸念されています。現在は販売だけが禁じられていますが、所持や使用にも規制をかける法整備が必要でしょう。

<執筆>
●阿佐木ユウ(フリーライター)

<参考>
●国民生活センター「レーザーポインターで遊んでいて目に障害!」(PDF直リンク)
http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20001106_3.pdf

●日本経済新聞「航空機に照射相次ぐ超強力レーザー、規制及ばず」
http://www.nikkei.com/article/DGKKZO94803480V01C15A2CC1000/