税制改正で新しい子育て支援、「3世代同居」改修で所得税減額も

写真拡大

今月10日、消費税を低く抑える軽減税率を除いて、自民・公明の両党で承認された2016年度の税制改正大綱。暮らしに関わるおもな変更としては、自動車税における燃費に応じて税負担が変わる「環境性能割」の導入や、「スイッチOTC」と呼ばれるもともと処方薬だったものが市販薬として売られるようになった医薬品に関する所得税減税(1万2000円以上購入した世帯の場合)、新幹線などの遠距離通勤に関わってくる通勤手当の非課税限度額の変更(10万円→15万円)などがあげられます。

「3世代同居」のリフォームにおける所得控除


また、子育てに関わる減税として注目したいのが、住宅リフォームに関する所得税の控除制度の導入です。これは、子育て支援の一環としておこなわれる制度で、自宅を「3世代同居」に対応できるように改修した場合に、その費用を所得税額から控除できるというもの。具体的には、来年4月以降にキッチンや浴室、トイレ、玄関のうちのどれか1つを増やす工事をすると、工事費の10%の金額を25万円を上限に所得税額から控除できるようになり、ローンによる改修であれば、ローン残高から最大62万5千円分までを5年に分けて所得税額から減らせる仕組みも用意されます。

現代型の「大家族」とは


この制度導入のねらいは、祖父母が孫の世話をしやすくすることで、共働き夫婦が働きながら子どもを育てやすい環境を整えることにあるといわれていますが、母子2人きりの「密室育児」による育児ストレス・育児ノイローゼが問題となっている現代において、子育てをサポートしてくれる身内の存在はやはり心強いもの。たしかに、「嫁・姑」に代表されるように、配偶者の親との関係にはわずらわしい面もあり、近年では核家族化が進むなど、「親との同居」は敬遠されがちですが、子育てについて考えると、大家族に代表されるようなかつての家族の形が、もう一度見直されてもいいのかもしれません。

また、祖父母による「子育てのサポート」を進めるにあたっては、今回の制度のような同居のケースに限らず、夫婦双方の親が子育て世帯の近くに居住しやすくなる(あるいはその逆についても)支援制度があれば、「夫婦のプライベートな空間は重視しつつ、祖父母との交流も持ちたい」という、一定の距離感を保った「現代型の大家族」が実現しやすくなりそうです。

今後も注視が必要な税制は


今回の税制改正では、来年夏の参院選への影響を考慮し、ビール系飲料の税額格差見直しやタバコの増税など、庶民に「税金が上がった」という印象を与える案件は、相次いで先送りされる結果となりました。しかし、今回の改正では先送りされたものの、専業主婦や、配偶者の収入が一定の金額以下の世帯にとっては増税となる「所得税の配偶者控除の縮小」については、配偶者控除が「女性の社会進出をさまたげている」といった意見も出ており、今後の推移を見守る必要があるといえるでしょう。私たち一人ひとりが納めている税金だけに、国民のさまざまな事情に応じた、誰もが暮らしやすくなる税制であってほしいものですね。

<参考>
http://jimin.ncss.nifty.com/pdf/news/policy/126806_1.pdf
(平成27年度税制改正大綱)