【エスケーアイ】
 企業は株主還元に積極的になり、昨今、増配企業が急増している。増配しそうな企業にはどんな特徴があるのか? また、“億り人”たちはどんな増配銘柄を狙っているのか?

 11月には3月期決算企業の中間発表が出揃い、次は今期末の業績に注目が集まるようになる。まずは中間期までの業績について、“億り人”たちはどう見たのだろうか。資産1,5億円の兼業トレーダー「さとりん氏」と、3億円トレーダーの「DAIBOUCHOU氏」は共通の見解で、「投資家の景気回復期待、好決算期待が高かったせいか、決算内容が好調でも、事前の予想どおりの内容だと失望売りされてしまうケースが多数見られました」(さとりん氏)という。

 一方、明るい材料もある。それが「増配」だ。資産2,5億円トレーダーの「かぶ1000氏」はこう話す。

「11月10日に日新製糖が年間配当60円から155円に増配すると発表したところ、2800円台だった株価が4300円超まで急騰しました。同じくスノーピークも2,5円から5円への大幅増配と昇格を発表したところ、3200円台だった株価が4500円超まで急騰。この2社に限らず、今期の増配を発表した企業が多かったのが特徴といえるでしょう」

◆増配しそうな企業に共通する特徴とは?

 増配を発表する企業が増えている背景に、株主還元への意識の高まりが挙げられる。

「東証と金融庁がつくった『スチュワードシップ・コード』で、機関投資家には企業に株主還元強化を要求する義務があると定めたことで、年金基金や生命保険会社、投信運用会社などが配当性向の低い企業に増配を要求するケースが増えると予想されます。特に利益剰余金が豊富で無借金の企業は、増益分をそのまま増配に充てないと、法人株主から強く批判されかねません」(株式ジャーナリスト・大神田貴文氏)

 増配企業を見分ける方法として、DAIBOUCHOU氏は、増配をできる経営体力があり、配当の原資を多く持っているキャッシュリッチな企業や、配当性向が低い企業、低PBR企業、低ROE企業が狙い目になるという。

「PERが低いのに配当利回りも低い企業も、増配を発表する可能性があると思います。PERが低く株価も低いなら、本来は配当利回りが高めに出るはずなのに、それが低いのはそもそも配当金が少ないため。今後、増配したり、配当性向を高める余地が残っている可能性があるといえるでしょう」

 また、大神田氏によると、日本企業特有の“横並び”も企業を増配に走らせると指摘する。

「典型例が自動車業界。北米向けにフル生産が続く富士重工業が年144円(前期68円)と大幅増配を発表したのをはじめ、トヨタ、日産、スズキも今期は増配します。電気自動車や自動運転技術の開発に巨額の費用が必要ですが、お互いに他社の増配に刺激を受けて配当の積み増しに動いています」

 かぶ1000氏は、証券セクターに注目する。

「証券セクターは、中小も大手もネット証券も全般的に配当性向が高い傾向があります。ところが、昨年末に上場したばかりの、北陸を地盤とする今村証券は配当利回り0・5%。同業他社と比べて圧倒的に低いので、大幅に引き上げるのではないかと考えます」

 また、増配銘柄を発掘する隠れたキーワードが「同族企業」。

「役員報酬の増額は従業員や取引先の目線に制約されますが、増配なら株主還元の名目で創業者一族にキャッシュを移転できる。配当利回りが低い同族企業は狙い目かもしれません」(大神田氏)

 そして、もう一つの特徴が「記念配当」を出す企業。

「会社設立や東証上場などから数えて節目に当たる年に、通常の配当とは別に記念配当を出す企業があります。ただし、1年だけの記念配当だと株価へのインパクトは一過性のもので終わってしまいますが、実は記念配当は増配の“試験的な意味合い”もあるのです。例えば、もともと配当が100円で記念配当20円をつけた企業が、翌年は配当を120円にするということがよくあります」