さらに、扁桃が原病巣になる「病巣性扁桃炎」という病気もある。この場合、扁桃炎自体は無症状か、ごく軽い症状にすぎないが、扁桃とは遠く離れた腎臓、肝臓、皮膚、関節などに悪影響を及ぼすことが分かっている。
 昭和大学病院耳鼻咽喉科に勤務する、外来担当医はこう説明する。
 「腎炎がなかなか治らないため、扁桃を摘出したら腎臓の炎症も改善したというケースもありますが、理由はまだ完全に解明されていません。とにかく、扁桃炎はこじらせないことが非常に重要なので、早めに医師の治療を受けることに尽きます」

 口蓋扁桃にはくぼみがあり、細菌類が住みやすいため、一度そこに入り込むと完全に退治するのは困難だ。すると2〜3カ月に1回ほどの割合で、何度も扁桃炎を繰り返すようになり、これが慢性扁桃炎である。
 仕事などの都合でなかなか医者に行けない人は、扁桃炎から慢性扁桃炎に移行してしまうケースは珍しくない。
 東京社会医療総合センターの清水恵一郎課長は言う。
 「慢性扁桃炎になると、頻繁にうがいをしていても扁桃炎を繰り返し、その予防はほぼ不可能です。慢性扁桃炎が急激に悪化すると(急性憎悪)、咽頭痛、高熱、全身倦怠感、頭痛、関節痛などに襲われ、仕事ができないほど激しい症状になります。急性憎悪にならなければ症状は軽いのですが、安心してはいけません。これを放置すると、心臓や腎臓に障害が起こることもあります」

 具体的には、心筋症やIgA腎症、さらに、掌蹠膿疱症や心筋症、関節リウマチの引き金になることもある。
 慢性扁桃炎を引き起こした免疫反応が、心臓や腎臓をはじめ他の臓器を攻撃し、大きなダメージを与えるからだ。
 慢性扁桃炎は、時間がたったら良くなるというものではない。適切な治療をしないで放置すれば、何度でも繰り返し、根本的な治療は口蓋扁桃を取り除く手術しかないといわれる。喉の痛みを軽く見てはいけないのだ。

 繰り返しになるが、扁桃炎の初期症状は風邪と似通っているので、素人が見分けるのは困難だ。風邪らしき症状があり、2〜3日様子を見ても改善しない喉の痛みがある場合には、扁桃炎を疑って医師の診察を受けるべきだろう。