新しい常識のオーラルケアをedwardolive/PIXTA(ピクスタ)

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 最近オフィスでは、ランチ後の歯磨き姿がごく当たり前になってきた。欧米に比べて、まだまだ「予防歯科」の分野は遅れているといわれるものの、日本でも日常的なオーラルケアに気を遣う人は確実に増えている。

 ところが、毎日しっかり歯磨きをしていても虫歯ができてしまう......。そんな悩みのある人は、ひょっとすると良かれと思っている生活習慣やケアが間違っているのかもしれない。

たとえば「ノンシュガー」「スポーツ」と表記されている清涼飲料は、そんなに歯に悪いものではないと思い、日常的に口にしてはいないだろうか。だが、それは大きな間違いのようだ。

「健康飲料」が歯の健康を害する?

 今回、豪・メルボルン大学口腔衛生学共同研究センターでは、23種類のソフトドリンクやスポーツドリンクにヒトの歯を浸し、表面のエナメル質に与える影響について実験。11月下旬にその結果を公表した。

 それによると、「酸」を含みpH(水素イオン指数)が低い飲料であれば、たとえ糖分が一切含まれていなくても歯のエナメル質にダメージを与えているという。

 たとえば、運動時によく飲まれているスポーツドリンクは健康的な印象があるが、糖質のほかに疲労回復に効果的なアミノ酸や、クエン酸が多く含まれている。

「ノンシュガー」「ダイエット」と銘打つ清涼飲料水にも、ステビアなどの人工甘味料などが使用されており、この成分は酸性だ。ミネラルウォーターに香りを付けたフレバリーウォーターでさえも、歯の表面を損ねる作用があるという。

 酸性の添加物は、唾液によって中和されるはずの口内を酸化させる。そのことが虫歯菌を活発にし、歯の表面のエナメル質が溶かされ虫歯になりやすい環境を作ってしまう。エナメル質が溶け始めるのはpH5.4以下とされ、pH値が3.6〜4.6のスポーツドリンクなどは、エナメル質がダメージを受け、虫歯菌がさらに深い象牙質にまで達しやすくなってしまう。

 研究グループは、虫歯のリスクを減らすために次の呼びかけをしている。

◆清涼飲料水はなるべく飲まない。リン酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸などが含まれているものを避ける。
◆長時間ダラダラと飲み続けない。
◆ストローを使い、歯との接触を少なくする。
◆就寝前は飲まない。
◆定期的な検診を受ける。

 また、pHの低い飲料をたくさん飲んだ後は、水で洗い流したり、口をすすいで口内環境をなるべく中性に戻したりすることを心がけたい。

その歯磨き習慣、実は間違い!

 ほかにも、誤解されがちなオーラルケアの「NG」を紹介する。

●歯磨き剤をつける前に歯ブラシを濡らす......×

 歯磨き剤の泡立ちが良くなりすぎて「磨いた気分」になり、磨き残しができやすい。また、含まれる研磨成分も水で流れてしまう。乾いたままの歯ブラシにつけて磨くのが正解。

●最後に歯磨き剤が残らないよう水でよくすすぐ......×

 しっかりすすぐと、歯磨き剤に含まれるフッ素などの有効成分もすべて洗い流してしまう。歯磨き後はうがいをしなくてもOK。気持ち悪い場合は、一度唾液を出して水(小さじ2くらい)で軽くすすぐ程度で十分。

●食後はできるだけ早く歯を磨く......△

「食後は口内細菌が爆発的に増えるので、なるべく早く」とする説と「食べカスが歯垢になるまで時間がかかる」「食後の唾液が出やすい状態は、口内の中和と歯の再石灰化を進める」とする両説がある。

 今後の研究でセオリーが変わりそうだ。ただし前記のように酸性の食品を多く摂った直後は、エナメル質が溶け出す「酸蝕」の状態になっているため、すぐに歯を磨くと表面を傷付けてしまう。口をすすぐだけで済ますか、すすいだ後1時間以上経ってから歯を磨こう。

●朝食を食べてから歯磨きをする......×

起床直後の唾液は、口内細菌や、一晩かけて細菌がつくり出した「内毒素」でいっぱいに。これは、組織や骨まで破壊する威力を持つ。つまり、起床後に歯を磨かずに朝食を摂るのは、食べ物と一緒に毒素を体内に取り入れるに等しい。朝の歯磨きは起きてすぐが鉄則だ。

●1日3回、必ず3分以上かけて磨く......△

 大切なのは回数ではない。虫歯の原因となる細菌が増えるのを防ぐタイミングで磨くこと。口腔内に細菌が最も繁殖しやすいのは、唾液が減って口の中が乾燥する就寝中だ。夜の歯磨きを重点的に捉え、就寝前に時間をかけてじっくり磨くほうが効果的だ。

 最後に何より大切なのは、定期的な検診を受けること。「予防歯科」がもっと当たり前のものになれば、歯周病予防にもなる。一度プロの指導を受けて、自己流のオーラルケアを見直してみてはいかがだろうか。
(文=編集部)