最前線での起用が続く鎌田は、フィジカルに優れた中東勢相手にも存在感を見せた。 (C)J.LEAGUE PHOTOS

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 リオ五輪アジア最終予選を1か月後に控えるU-22日本代表において最もレギュラー争いが加熱しているのが、前線のポジションだ。

 4-4-2が採用されればふたつ、4-2-3-1や4-3-3が採用されればひとつしかない椅子をめぐって、タイプの異なるストライカーがしのぎを削っている。

 最初、このポジションを任されていたのは、高さとスピードを兼ね備える鈴木武蔵だった。そこに得点力で群を抜く久保裕也がスイスから参戦し、今年に入ってスピードスターの浅野拓磨が大ブレイク。A代表に選出されるまでになった。

 7月には中東勢とも五角以上に渡り合えるフィジカルを誇るオナイウ阿道が招集され、2トップとなれば、J2で出場機会を大幅に増やし、ひと回り大きくなった金森健志と荒野拓馬もいる。

 昨年9月のアジア大会が終わった頃、人材不足のために手倉森誠監督が頭を悩ませていたのが、嘘のようだ。

 そんな激戦区に割って入ってきたのが、ほかにはない武器を持つ鎌田大地だ。

 8月の京都合宿に初めて呼ばれて以降、10月の佐賀合宿、11月の神奈川合宿、そして今回のカタール・UAE遠征とコンスタントに呼ばれ、チーム内での存在感を高めている。

 もっとも、鎌田をストライカーと言ってしまうには抵抗がある。本職はトップ下で、ボランチでもプレーする。だが、中盤で“違い”を生み出せるこのタレントは、ゴール前でも決定的な仕事ができるため、手倉森誠監督はほぼ一貫して前線での起用を続けている。

 12月10日に行なわれたU-22イエメン代表とのゲームでも、2トップの一角に入った鎌田は、ふたつの決定機を生み出した。

 12分、左サイドで矢島慎也がディフェンスラインの裏にボールを送ると、タイミング良く抜け出した鎌田がドリブルで持ち込み、ファーサイドを狙ったが、GKにキャッチされた。45分には、ゴール前でボールが落下してきたところを巧みにトラップし、間髪入れずに反転して左足でシュート。これはゴール右ポストに当たってGKの懐に収まった。

「1本目はインで巻いてファーを狙ったんですけど、置きにいくよりニアを狙って振り抜いたほうが良かったのかなって。GKとの駆け引きができていなかった。2本目はトラップまではうまくいったんですけど、ハーフタイムにタクくん(岩波拓也)に『逆サイドがフリーだった』と言われて。そこまでは見えていなかったんですけど、フリーの選手がいたなら、確率の高いほうを選択できればよかったと思います」

 本人は反省しきりだったが、手倉森監督は嬉しそうに笑みを浮かべた。

「鎌田はサイズがある分、懐があって中東勢でもしっかり身体を預けられるのは発見だった。シュートまで持っていくのは、やっぱりあいつなんだなって」

 中盤に下がって起点になれて、ラストパスも出せる。高さもあって、キープ力もある。おまけに中盤でもサイドでもプレーできる鎌田のチームおける存在感は高まるばかりだ。

「今のところ、どこと試合をしても一回はチャンスを作れているので、どこが相手でもある程度、攻撃はできると思うし、本当に最後の部分が大事になってくるので、そこを突き詰めてやっていきたいですね」

 このチーム最年少が、アジア最終予選で日本の最前線に立ったとしても、そこに驚きや不安はまったくない。

取材・文:飯尾篤史(スポーツライター)