『ヘンタイ美術館』山田 五郎,こやま 淳子 ダイヤモンド社

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 ダ・ヴィンチ『モナ・リザ』、ミケランジェロ『最後の審判』、レンブラント『夜警』。教科書で一度は目にしたことがある、西洋美術の名画の数々。作品そのものは知ってはいるものの、どういう視点で見ていいのか、何を語ればいいのかわからない、と敬遠してしまう方も多いのではないでしょうか?

 そんな方々におススメしたいのが、美術評論家・山田五郎さんと、西洋美術に関してはズブの素人のコピーライター・こやま淳子さんの対談をまとめた書籍『ヘンタイ美術館』。タイトルそのまま、"ヘンタイ"をキーワードに、名画を生み出した巨匠のキャラクターに迫った1冊です。

 同書で取り上げる12人の巨匠のなかでも、山田さんが真性の大ヘンタイと紹介するのが、バレエの踊り子を描いた一連の作品群で有名なドガ。

 山田さんは、『エトワール、又は舞台の踊り子』や『バレエの教室(ダンス教室)』など、ドガの作品の中で、バレエの演出家や指揮者が、ハゲオヤジとして描かれていることに注目します。

 山田さんによれば、これは偶然なんかではなく、ドガが意識して使った手法。

「オレはハゲオヤジ効果と呼んでいますが、薄汚いオヤジとの対比で少女たちの純潔性が強調されてエロティシズムが増すんです」(同書より)

「ハゲオヤジを一枚かますのは今日のアダルトビデオなんかでもよく使われる伝統的な手法なんですよ。女子高生とハゲオヤジ、みたいな組み合わせです」(同書より)

 ほかにも、踊り子の「靴紐直し」「肩紐直し」「着衣の乱れ」に美を見出していたドガは、書いた絵に、なんと『室内(強姦)』というタイトルをつけたこともあったのだとか。

"パトロンの妻に手を出しちゃった"モネをはじめ、巨匠たちの"昼ドラ"ばりのドロドロ不倫劇やヘンタイエピソードを網羅した同書。彼らの人間臭いエピソードを読み終えたときには、近寄りがたい巨匠に対するイメージが一変すること間違いなし。まるでゴシップ記事を読むかのような感覚で、サクサク読める、西洋美術の超入門書となっています。