朝ドラ「あさが来た」(NHK 月〜土 朝8時〜)12月10日(木)放送。第11週「九転び十起き」第64話より。原案:古川智映子 脚本:大森美香 演出:尾崎裕和


64話はこんな話


大変な思いをして、とうとう、あさ(波瑠)が出産。生まれた女の子は、正吉(近藤正臣)が千代と命名した。
白岡家が幸福に包まれていた頃、九州の炭坑では大変なことが・・・。

こんにちは、赤ちゃん


いくら新しい朝が来ているとはいえ、この時代は未だ、出産に旦那さまが立ち会うことはなく、医者でさえ、男の人が妊婦を診るなんて、と敬遠されていたくらいなんだなと、時代の違いをしみじみ感じながら、出産場面を見た。
それまでのあさのお腹に赤ちゃんを宿すことへの実感や、つわりを軽減するためなのか鍼治療しているところや、この回の生みの苦しみなど、大森美香の出産体験が生かされているのか、実感が伴って感じられる。
NHK出版のムック本のインタビューに、育児と朝ドラ脚本執筆を同時にやることを最初は躊躇したものの、やることを決意したとあって、結果的には、見事、作品に昇華させたのではないだろうか。

そして生まれた赤ちゃんが、新次郎に抱かれた時、ちょっと眼を開けて、お父さんを見る表情がものすごく可愛くて、この赤ちゃん、優秀な赤ちゃんタレントだなあ! と感心。
赤ちゃんを見つめる玉木宏の嬉しそうな表情にも嘘がなかった。

赤ちゃんの名前「千代」にはまず、千代に八千代にの「君が代」を思い浮かべてしまったが、ドラマはまだ「君が代」は国家になるちょっと前だと思う。
今週のタイトル、七転び八起きじゃないのは、千代に八千代に で、八、九、十・・・と数をつなげたのかなというのはまったくの考え過ぎで、あさのモデルの広岡朝子の座右の銘が「九転び十起き」だった。
この言葉を冠した本が2冊も出版されている。
主婦と生活社の『広岡浅子徹底ガイド おてんば娘の「九転び十起き」の生涯』と、産経新聞出版の「九転び十起き! 広岡浅子の生涯」。あまりに似すぎてないか、このタイトル。



で、この言葉のように、あさには波乱がつきまとう。
かわいい赤ちゃんが生まれた、わーい! という余韻を噛み締める間もなく、炭坑で爆発が起ってさあ大変! 64話で「安全第一」とあさが言っていたことが、炭坑の事故を暗示していたのかとか、サトシ(長塚圭史)、なんてことを・・・とか思いながら、なによりも、爆風をかなり至近距離で浴びてしまっている次郎作(山崎銀之丞)の安否が気にかかります。
(木俣冬)

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