12月の利上げをほぼ決定したFRBのイエレン議長 写真/アフロ
 12月3日に発表されたECB(欧州中央銀行)の追加緩和が予想を下回る規模だったことから、ユーロは急騰し、株式市場は軒並み売り物に押される展開。東京市場もあっさり、2万円台を割り込んでしまった。だが、この12月にはFRBによる利上げが控えている。そのビッグイベントを経て、来年の相場はどんな展開を見せることになるのか?マーケットを知り尽くした金融ブロガー「闇株新聞」が、一足早く大予想した!

 2016年の相場を考えるうえで、ポイントとなるのはアメリカの金融政策と政治になります。FRB(連邦準備制度)は2015年12月に利上げを行い、欧州や日本に先駆けて金融引き締めに転換します。具体的にいうと、FFレートの誘導目標が現在の0〜0.25%から0.25〜0.5%に引き上げられることになる。このFFレートは、FRBに預け入れる準備金(日銀当座預金に相当)が不足している銀行が、余力のある銀行から無担保で資金を借りるときに適用される金利で、アメリカの代表的な短期金利と言えます。なぜ、これを引き上げるのでしょうか?

 実は米国景気が過熱化しているからでも、インフレ懸念が高まっているからでもありません。FRBは2008年のリーマンショック以降、長期国債とMBS(住宅ローン担保証券)を断続的に買い入れ、11月19日時点でその額は4.24兆ドルに達しています。この巨大なポートフォリオの原資となっているのは、1.4兆ドルのドル紙幣発行残高と2.61兆ドルの準備金。つまり、半分以上を民間金融機関の預入資産で賄っているわけです。

 この準備金を繋ぎとめるためにFRBはFFレートの上限である0.25%の利息を金融機関に払ってきました。ところが、景気回復に伴い、資金需要が拡大する兆しが見えてくると、金融機関はこの準備金を取り崩す可能性が出てくる。これを防ぐためにFFレート誘導目標の引き上げに踏み切ったのです。その証拠に、FRBは保有資産の売却(出口戦略)を後回しにしています。国債の売却で長期金利が急上昇するなどのパニック陥らないよう、十分に配慮しているわけです。

 しかし、ここにも弊害はあります。FFレートの引き上げで短期金利が上昇する一方、国債は売却しないため長期金利は伸び悩み、長短金利差が縮小するからです。これは調達金利が上昇して運用利回りが低下することとイコールであり、経済活動を停滞させてしまうことにもなりかねません。

 FRB理事の中には保有資産の売却を優先するよう求める声も挙がっていますが、この出口戦略(保有資産の売却)に失敗すれば米国経済は停滞し、その影響が世界に波及するでしょう。金利の上昇に伴ってドルの調達コストが上がるので、ブラジルをはじめとした新興国はWパンチとなりかねない。

 もう1つのポイントである「政治」は、来年に予定されている米大統領選挙です。民主党のヒラリー・クリントン候補が有力視されていますが、彼女は必ず強い相手に迎合するタイプで、日本より中国寄りの外交政策を取ることが予想されます。当然、日本のマーケットにプラスに働くことは考えにくい。

 FRBの利上げに伴う円安効果で日経平均は6月高値を抜いて2万1000円台を回復する場面はあるでしょう。しかし、そこが天井。短期で0.1%、長期で0.3%という異常な低金利を維持して強制的に投資活動を阻害している日本に、これ以上資金が流入する材料はありません。「異次元量的緩和」を継続する限り、日本のマーケットの先行きに明るい兆しは見えてこないので。<文/闇株新聞>