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日本通信はこのほど、2つの携帯電話回線を利用した組み込み機器向けルーター「2SIMルーター」を発表した。

2回線を利用できるメリットとして、NTTドコモの回線が通信できなくなった場合に、自動的にソフトバンク回線へ切り替えられることがある。これにより、ネットワークの信頼性、高接続性を確保できるとしている。

特にIoTやM2M向けのサービスを想定しており、同社はISDN回線での専用線サービスの置き換えを狙う。月額料金はルーターレンタル料金、通信料金を含んで3900円(税別)となる。

2SIMルーターは、1つの通信モジュールと2つのSIMスロットを備えており、メイン回線としてドコモ、バックアップ回線としてソフトバンクが利用される。

メイン回線が不通になった場合、自動的にバックアップ回線に切り替えを行い、通信を維持することができる。ドコモ回線自体が不通になることは「めったにない」(日本通信 社長 福田 尚久氏)が、信頼性を求める法人ユーザー向けにサービスを提供する。

日本通信はMVNOとしてドコモとL2接続を実現しているが、ソフトバンクに対しては現在L2接続を申し入れしている段階だ。ソフトバンクのSIMを挿しただけではそのまま通信できないため、同社の米国子会社がL2接続の契約をする英Vodafoneを経由してソフトバンク回線を利用する形態をとる。

同社は、米国でATM向けの無線専用線サービスを提供しており、セキュリティ基準のPCI DSSも取得している。米国ではATMの3割が無線接続で、この分野では「リーダーになっている」と福田氏。

この無線専用線サービスの経験を生かして、専用線としてセキュリティが要求される分野での採用を想定しており、現在、ISDNの専用回線サービスを利用している企業をターゲットに据える。

国内では、有線の専用線サービスが490万回線利用されているが、そのうち350万回線がISDNを利用し、「速度は64kbpsながら月額1万円程度を支払っている」と福田氏。

それに対して2SIMでは、速度は150kbpsに制限された3G通信ながら、月額3980円と割安な価格を実現した。無線であることから「設置コストも低廉化できる」とのことで、今後の利用拡大を目指す。

ATMなどの金融機関の採用だけでなく、POSでの利用も想定する。現在、クレジットカード業界はセキュリティのためIC(EMV)への対応を推進しており、今後POS端末の置き換えが進んでいくと見られている。

特に、SIMの入ったハンディターミナルを利用する場合は無線部分のセキュリティを確保する必要があるが、同社はPCI DSSを取得しているため、競合に対して有利なポジションになると見ており、採用拡大が期待できるとしている。

2SIMルーターは、既存のルーター端末に対して回線切り替えのアルゴリズムを開発して搭載した。疎通確認をして不通と判断すると、自動で回線を切り替える仕組みで、バックアップ回線で通信を継続しつつ、日本通信側がメイン回線の復旧を確認。リモートからメイン回線への切り替えを行う。

また現在、「2Moduleルーター」の開発を行っており、ドコモとソフトバンクの両回線を同時に接続して、メイン回線が不通になるとすぐさまバックアップ回線に接続できるようにする計画もある。

その後、「2Moduleルーター Advanced」へと進化させ、パケットの遅延といった"IPレイヤでの不安定な挙動"を把握して、不通になる前にバックアップ回線に切り替える仕組みを導入する将来像も語った。

2Moduleルーターは来春には登場予定とのことで、製品としてはすでにテストも実施しているが、ソフトバンクとのL2接続が可能になってからの提供を予定している。交渉段階では問題がないため、「実現は春頃になる」と福田氏。

現在のVodafone経由でもコスト、機能ともに問題はないというが、「海外を経由しない」という要望に応えるため、ソフトバンクとのL2接続以降の提供となるとしている。

日本通信では、セキュリティとしてPCI DSS、信頼性として2つの回線を使うデュアルネットワーク戦略によって、金融・決済系での利用、IoT/M2M分野での利用を目指し、今後パートナー企業とともに販売の拡大を目指していく考えだ。

(小山安博)