レスター・シティの見事な完勝劇だった。スウォンジー・シティ相手に試合を支配し、順調に得点を重ねて3−0で勝利。その結果、ストーク・シティに敗れたマンチェスター・シティをかわし、レスターはプレミアリーグの首位に返り咲いた。

 内容も圧巻だった。ポゼッション志向の強いスウォンジーにボールを持たせ、カウンターで敵の隙を徹底的に突く──。狙いどおりに攻撃が機能し、シュート数は相手の倍近い16本を記録した。落ち着き払ったその戦いぶりには、余裕さえ感じられた。

 前節のマンチェスター・ユナイテッド戦で「11試合連続ゴール」のプレミア新レコードを樹立し、一躍、"時の人"になったFWジェイミー・バーディーは、無得点に終わった。しかし、2点目の場面ではロングボールを足もとにピタリと合わせてゴールにつなげ、3点目でも敵を引きつけてMFリヤド・マフレズにラストパスを出すなど、この日は周囲を生かす動きで2ゴールに絡んだ。連続得点記録は「11」でストップしたが、そのプレーぶりは貫禄十分だった。

 思い返せば、昨季のレスターはスウォンジーとのアウェーゲームを0−2で落としている。今回の対戦はスウォンジーの不甲斐なさもあったが、結果・内容ともにレスターの成長を証明する一戦となった。

 そんな彼らの躍進の原動力は、やはりバーディーである。カウンターから豪快にネットを揺らすイングランド代表FWには、マンチェスター・Uやチェルシー、マンチェスター・Cといったビッグクラブが注目している。バーディーなくして、現在の成績はありえなかっただろう。

 だが、首位に立っている今、単なるワンマンチームの域を超えていることも、また事実である。フィールドプレーヤー全員がハードワークをいとわず、献身的に走り回る――。レスターをそんな領域へと押し上げたのは、チームを率いるクラウディオ・ラニエリ監督に他ならない。

 ラニエリの優れている点は、「バランス感覚」にある。フィールドではプレッシングとリトリート(選手が自陣に下がって守備を固める戦術)を使い分け、攻守のバランスを適切にとっている。採用フォーメーションは4−4−2。シンプルでわかりやすいサッカーを実践している分、選手たちのプレーに一切の迷いが見えないことも、強みと言えるだろう。

 また、起用法をみても、イタリア人指揮官はチーム全体がよく見えている。調子の良い選手を優先的に起用しながら、控えの選手にもチャンスを与えて競争心をあおる。このあたりの"サジ加減"が、実に絶妙なのだ。

 スウォンジー戦でハットトリックを達成したマフレズも、ラニエリのもとで成長した選手のひとりだ。ゴールシーンを集めたダイジェスト映像だけで評するなら、ここまでの活躍は「MVP級」と言えるだろうが、実際はそうではない。シーズン序盤で目についたのは、「球離れの悪さ」だった。味方がフリーでパスを待っていても、無理やりドリブル突破を図ってはボールを失い、チャンスをフイにしてしまうシーンが多かった。その影響もあるのだろう、ラニエリ監督は第8節のノリッジ・シティ戦で出番を与えず、試合後にうつむきながら無言でバスに乗り込むマフレズの姿があった。

 それ以降、アルジェリア代表MFのプレーには変化が見え始めた。簡単につなぐべきところは1〜2タッチではたき、勝負を仕掛けるときは突破を図る。依然として「球離れの良い選手」とは言えないが、最近はメリハリをつけてプレーできるようになった。前節と今節では、自陣深くまで戻って守備をこなす献身的な動きも見せている。

 選手をその気にさせる人心掌握のうまさは、他のポジションでも見て取れる。たとえば、セントラルMF。序盤戦は背番号10のアンディ・キングがその一角を担っていたが、新戦力のエンゴロ・カンテがチームにフィットしてくると、レギュラーに抜擢。だが、キングを見捨てることはなく、途中交代で起用することで層に厚みを持たせている。

 同様のことは、2トップの一角を争う「岡崎慎司とレオナルド・ウジョア」、左サイドバックの「クリスティアン・フックスとジェフリー・シュルップ」の起用法にも当てはまる。序列を作りながら、控え選手にも要所で出番を与える。チーム内で「競争心」と「一体感」がうまく調和しているからこそ、レスターは勢いを失うことなく、快走を続けられているのだろう。

「監督はモチベーションの上げ方がうまい」と語る岡崎は、次のように語っている。

「ラニエリのキャラクターは、チームに合っていると思います。ジョークをよく言うし、フランクな感じです。だけど、もちろん厳しいところもある。緊張感を持たせながら、怒るところは怒る。みんなに笑われながらも、『うまくやっているなぁ』という感じがしますね」

 だからこそ、スウォンジー戦で初めて国内リーグ戦の出番が与えられなかった岡崎にも、まだ挽回のチャンスはある。直近6試合でベンチスタートは5試合。風向きは決して良くないが、悲観する必要はないだろう。

 折りしも、プレミアリーグは12月から年末年始の過密日程期に突入する。特にここからレスターは、チェルシー、リバプール、マンチェスター・Cといった強豪クラブとの対戦が続き、日本代表FWとしても絶好のアピールの場となる。

「間違いなく出番はあると思う。先発か、途中出場か――。今の流れでいえば、ウジョアや俺、シュルップ、キングと、いろんな選手を変えながらやることになると思います」

 破竹の勢いで勝ち点を重ねるチームに乗じ、岡崎慎司もこの12月に勝負をかけたい。

田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke