1990年代から2000年代にかけてPCを使ってきた人なら、まず間違いなくフロッピーディスクのお世話になってきたはず。プラスチック製のカートリッジにフィルム状の磁気メディアを収めることで高い持ち運び性や保管性を備えるフロッピーディスクは、記録メディアの代名詞として広く使われてきました。しかしそんなフロッピーディスクもメディア自体の生産がほとんど行われていない状況にあり、徐々に終焉の日が近づきつつある状況です。

そんなフロッピーディスクを2015年時点でも在庫し、販売しているショップがfloppydisk.comです。世界に点在している、見落とされがちなエピソードを集めるサイト・Great Big Storyが行ったインタビューでは、floppydisk.comを経営するトム・パースキー氏が同社のビジネスについて語っています。

Floppy Disks Are (Sort Of) Still a Thing - YouTube

私にとって、今でもフロッピーディスクは価値のある製品ですし……



今でも現役で使っているものです。



でも、多くの人にとっては、もはや笑いのネタの1つのようなものなんでしょう、と語る男性。



「はい、Floppydisc.comです」と電話を取る男性が、インタビューの主人公でありFloppydisc.comの社長を務めるトム・パースキー氏です。



私はフロッピーディスクの商売を最後までやってきた人間です。それは、この業界をやめることを『忘れていた』からです。



すでにフロッピーディスクの製造はもう終了しています。



そのため、ここにあるフロッピーは、全て過去に作られた物が残っているものばかりです。



私は必死の思いで可能な限りたくさんのフロッピーを手に入れるようにしてきました。



時にはリサイクル業者が「いま、フロッピーが5万枚ぐらいあるけど要らないか?」と電話をかけてくることもあります。



そうやって手に入れたフロッピーは分類され、処理機に通されます。



このマシンを通すことによって、中に保管されているデータを消去するのです。



そしてディスクを再フォーマットし、ラベルを新しい物に貼り替えると、リサイクル品として再び出荷できる商品に変わるのです。



うちでは、アメリカ政府にも製品を販売しています。まだ政府内では、フロッピーディスクを必要とするソフトウェアがいくつも動いているからです。



しかし、商売の中心は商業・産業の分野への販売です。



古くから使われてきた刺しゅう機やATM、航空機関連の機器では、フロッピーディスクを必要とする物が多く残っていますからね。フロッピーがあれば、あと数年は使い続けることができます。



でも、フロッピーディスクの商売が今後も永遠に続くことはないでしょうね。



「商売がなくなると寂しいですか?」というインタビュアーの問いに対しパースキー社長は「いいえ!私だって永遠に生き続けるわけではないですからね!」と笑いながら語っていました。



パースキー社長のFloppydisc.comは、以下のように現在でもフロッピーディスクを販売中で、容量1.44MBのHDフォーマットディスクが10枚組で7ドルから10ドル(約860円〜1200円)で販売されているほか、リサイクルのフロッピーディスクも販売されています。世界中に出荷もしているようなので、入手に困っている人は試してみても良いかもしれません。

3.5 inch Floppy Disks