ASUS JAPANの「TransBook Flip TP200SA」は、ディスプレイを360度回転することでタブレットスタイルに変形できるコンバーチブルタイプのノートパソコンだ。11.6型のIPS液晶ディスプレイを搭載したコンパクトなモデルで、重量は約1.2kg。モバイルノートとしては十分な軽さを実現している。2015年12月7日時点の価格.com最安価格は48,827円。コンバーチブルタイプとしては比較的手ごろな価格が魅力だ。価格は安いが、どこまで実用的なのだろうか、その実力をチェックしていきたい。

ディスプレイを360度回転することでタブレットスタイルに変形できるTransBook Flip TP200SA。11.6型のIPS液晶ディスプレイを搭載する。2015年12月7日時点の価格.com最安価格は48,827円

4つのスタイルで利用可能

TransBook Flip TP200SAの最大の特徴は、ディスプレイが360度回転して、シーンに合わせてスタイルを自在に変えられること。たとえば、机の上で文書を作成するなら「ノートパソコンスタイル」、ベッドやソファの上でリラックスしながらタッチで操作する際は「タブレットスタイル」、会議や商談で相手に画面を見せながら説明をするには「スタンドスタイル」、長時間動画などを楽しむ場合は「テントスタイル」を選べる。

ヒンジの強度が十分に確保してあるので、ぐらつく心配はない。また、ノートパソコンスタイルからほかのスタイルへ変更すると、キーボードとタッチパッドが自動的にロックされる仕組みで誤操作も起きにくい。タブレットスタイルにすると、「Windows 10」の新機能である「タブレットモード」に切り替わり、タッチ操作に適したユーザーインターフェイス(UI)で操作できるのもポイントだ。

タブレットスタイルに変更すると、Windows 10の新機能であるタブレットモードに切り替わる

タブレットスタイルに変更すると、Windows 10の新機能であるタブレットモードに切り替わる

スタンドスタイル。会議や商談などで、対面の人に画面を見せながら説明するときに便利なスタイルだ

スタンドスタイル。会議や商談などで、対面の人に画面を見せながら説明するときに便利なスタイルだ

テントスタイルは、スタンドスタイルよりも省スペースなのがポイント。新幹線や飛行機の狭い机でも、テントスタイルにすれば動画などを快適に楽しめる

テントスタイルは、スタンドスタイルよりも省スペースなのがポイント。新幹線や飛行機の狭い机でも、テントスタイルにすれば動画などを快適に楽しめる

この価格で天板にアルミニウム合金を採用

驚いたのは、この価格で天板にアルミニウム合金を使っていること。同価格帯のモデルは樹脂に金属風の塗装を施したものが多いが、本モデルは本物の金属を使っており、なかなか高級がある。天板以外は樹脂で価格相応ではあるが、丁寧に塗装されており、安っぽくは見えない。

天板はアルミニウム合金で、なかなか高級がある。ただし、指紋は目立つ

天板はアルミニウム合金で、なかなか高級がある。ただし、指紋は目立つ

キーボードは、しっかりとした打鍵感がある。人によっては硬く感じるかもしれないが、強めにタイピングする筆者として好みだ。また、アルファベットキーよりも、頻繁にタイプするEnterキーが柔らかめに作られているなど、細かいところまで作り込まれている印象を受ける。いっぽう、キーボードは打ちやすいのだが、タッチパッドは少々使いにくい。グラつきがあり、クリックしても反応しないときがあるのだ。マウスを使うか、画面をタッチ操作すればカバーできる問題だが、ノートパソコンスタイルでじっくり作業するときはイライラさせられるかもしれない。

ディスプレイは11.6型液晶で、画面の解像度は1366×768。広視野角のIPS液晶パネルと独自の「ASUS TruVividテクノロジー」により、表示品質は高い。映り込みは気になるが、価格を考えれば目をつぶれるレベルだ。タッチ操作に対する反応も良く、ディスプレイの性能は、この価格帯としては非常に高いと感じた。

11.6型のコンパクトなボディだが、キー配列に窮屈なところはなく、タイピングはしやすい。タッチパッドの反応が少々悪く、クリックしにくいのが難点

11.6型(1366×768)のIPS液晶を搭載。映り込みは気になるが、発色と明るさは十分。額縁(ベゼル)は少し太めだ

データ転送最大5Gbps対応のUSB Type-Cを搭載

外部インターフェイスのトピックは、USB type-Cを搭載すること。裏表どちらでも挿せるのがメリットだが、対応機器が少なく、本格的な普及はこれからという状況だ。アップルの「MacBook」と同じく、最大データ転送速度は5GbpsでUSB 3.0に準ずる。このほか、フルサイズのUSB3.0ポートとUSB2.0ポートを搭載。カードスロットは、microSDカードなので、デジカメ写真の取り込みには苦労しそうだ。電源は四角形の独自の端子で、USB type-Cと同じく、上下関係なく挿せる。

バッテリー駆動時間は、カタログスペックでは最長約9.8時間。3日間ほど持ち歩いて、発表会(約1時間)でメモをとったりWebページをチェックしたりしてみた。1日1時間+データをやりとりするといった使い方であれば、3日間一度も充電せずに使えた。

左側面に電源入力ポート、microSDカードスロット、microHDMIポート、USB3.0ポート、USB Type-C(USB 3.1 Gen1)ポートを搭載。電源ボタンとボリュームボタンも備える。右側面には、ヘッドホン/マイク入出力端子とUSB2.0ポートを搭載

最後にスペックをチェックしたい。CPUはデュアルコアの「Celeron N3050」(1.6GHz-最大2.16GHz)、メモリーは2GB(DDR3L-1600)、ストレージは64GBのeMMC。この価格帯としては標準的なスペックだ。ストレージには、64GBのmicroSDカードが付属するほか、500GBのオンラインストレージ「ASUS Webstorage」を2年間無料で利用できる権利がついてくる。

気になるパフォーマンスは、Webページの閲覧、メールのチェック、文書の作成といった用途にはストレスなく使えた。データ量の多い「Excel」などは、展開やデータのコピーに少々時間はかかる。ブラウザーゲームは問題なく動作するが、グラフィックスを多用したゲームには向いていないだろう。パソコンの総合的な実力を比較できるベンチマークテスト「PCMark 8」のスコアは1558。2万〜3万円台の8型タブレットの平均的なスコアは1100〜1200なので、それよりもスコアは上だ。使用感も8型タブレットよりもスムーズに動く。もちろん、「Core i5」を搭載したモデルに比べれば劣るが、ライトな使い方であれば難なくこなせそうだ。

PCMark 8(Home accelerated)のスコアは1558だった

PCMark 8(Home accelerated)のスコアは1558だった

2台目としてはバランスのとれた良機

ASUS JAPANでは今冬、5万円以下のモバイルノートを3機種もラインアップしている。今回取り上げたTransBook Flip TP200SA、デタッチャブルタイプの「TransBook T100HA」、スタンダードなノンタッチモデルの「EeeBook X205TA」だ。他社もこの価格帯に力は入れている、モバイルノートで3機種もラインアップするのは同社くらいだ。安くてコンパクトなモデルを探している人なら、ASUS JAPANの3モデルは間違いなく有力な選択肢になるはずだ。

TransBook Flip TP200SAは、3モデルの中で一番価格は高いが、コンバーチブルタイプとしては比較的手ごろで、2台目用としてはバランスのとれたモデルと言える。パフォーマンスはそこそこだが、シーンに合わせて使い分けられるスタイルが魅力だ。ぜひ手にとって、その実力を確認してみてほしい。


>> 安くても使える!? 4万円台の2in1パソコン「TransBook Flip TP200SA」 の元記事はこちら