働いた時間を「貯金」して休暇に変える…ドイツにおけるビジネスマンの有給取得法とは

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いよいよ年末。多忙なビジネスマンのなかには今年の未消化分の有給について考えている人もいるかもしれません。また、日本では年末年始のお正月休みに有休休暇を充てるよう指示する会社もみられますが、これは労働基準法に定められた「取りたいときに有給を取れる」という労働者個人の権利に反するのだとか。日本の有休消化率の低さは何かと話題になりますが、ドイツにみる有給休暇の取得法が、いま、注目を集めているようです。

労働時間と生産性は必ずしも比例しない!?


近年注目を集めているのは、効率を重視して「休むために働く」ドイツのワークスタイルです。経済協力開発機構(OECD)の統計によると、2014年のドイツの1人当たりの平均労働時間は年間1371時間と、OECD加盟国中もっとも短く、日本の1729時間より350時間も短いそうです。しかし、労働時間1時間当たりの生産性は60.2ドルと、日本(41.3ドル)の1.5倍近くとなっており、ドイツ流のワークスタイルが成果をあげていることがわかりますね。

こうした「効率よく働いて、たっぷり休む」というワークスタイルを実現するために、ドイツではさまざまな取り組みがおこなわれています。

ほぼ100%の有給取得率


ドイツの法律では、最低でも年間24日の有給休暇が義務づけられていますが、ドイツの企業における平均的な有給休暇日数はもうすこし長く、多くの会社員は年間30日前後の有給休暇を100%消化するとのことです。また、ドイツでは、部下が「忙しくて有給休暇が取れない」ような状況になるのは、上司の管理責任とされるそうです。

ちなみに、オンライン旅行予約サイト「Expedia」を運営するエクスぺディアジャパンの2014年の調査によると、日本における有給休暇の平均支給日数は年間20日、実際の消化日数は10日となっています。

残業時間を「貯金する」制度


ドイツの有給取得率の高さを支える制度のひとつに「労働時間貯蓄制度」があります。これは、職場で定めた労働時間と、残業時間などを含めて実際に働いた時間の差を勤務先の口座に積み立てておき、あとで有給休暇などに振り替えて利用できる仕組みのこと。仕事が忙しい時期に働いた時間を「貯金」しておいて、余裕のある時期になったら、その貯金を「休暇」に変えることができるこの制度は、ドイツでは従業員250人以上の事業所の約8割に普及しており、現在ではデンマークなどにも広がっているとのことです。

フレックスタイム、在宅勤務の導入


また、ドイツでは時間や場所にとらわれない働き方も企業に普及しており、フレックスタイムをほとんどの企業が導入しているほか、テレワークなどの在宅勤務も就業形態のひとつとして定着しています。そのため、育児や介護をしている人も、こうした多様な働き方を組み合わせて、無理なく働くことが可能になるとのことです。

ドイツのワークスタイルのすべてが良いというわけではありませんが、こうした制度が可能となる背景には、「働く時間の長さ」に対する考え方の違いもあります。日本においては、「長時間労働=偉い」という図式が根強く残っており、短時間で効率よく仕事を終わらせて、さっさと退社する(できる)タイプの社員はまだまだ少数派であり、批判されがちな傾向すらみられます。

しかし、時間稼ぎ・残業代稼ぎのための長時間労働は、企業にとってコストがかかるばかりでなく、働く本人にとっても、過重労働により心身の健康を害してしまうおそれもあります。こうした風潮を打開するためには、企業やチーム全体で業務を効率化することが必須となりますが、これは従来の「慣習に沿った」働き方を否定することにもつながります。

業務からどこまで「無駄」を排除できるのか。これは職場においても、「空気を読む」ことが必要とされ、人間関係などの義理を重んじることを重視しがちな日本人にとって、意外に苦手なことなのかもしれません。

とはいえ、誰だって無駄な残業や長時間労働は減らしたいもの。まずは、働く時間の長さではなく、仕事の「質」や「量」、「成果」で、きちんと従業員を評価する仕組みが広がることが、働く人の心身の健康には大切といえるでしょう。

<参考>
https://welove.expedia.co.jp/press/2863/
(世界25ヶ国 有給休暇・国際比較調査2014 エクスペディア)
http://www.huffingtonpost.jp/2014/01/31/germany-how-to-work_n_4700160.html
(「仕事が残ってても休みます」経済大国ドイツの人の働き方 ハフィントンポスト)
https://www.bengo4.com/roudou/1102/1231/n_2486/
(年末年始に有給休暇を取得せよ…こんな会社はブラック企業と呼ぶべきか? 弁護士ドットコム)
http://news.mynavi.jp/articles/2008/01/15/telework3/002.html
(欧州テレワーク事情 マイナビニュース)