自宅をラブホ化?(写真はイメージです)

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 タレントの矢口真里(32)とモデル男性との不倫騒動で話題となったのが「自宅不倫」だろう。いけないことを不倫相手と共有している喜びなのか、配偶者が帰ってくるのではというスリル感なのか。はたまた、愛しい人の自宅を覗いているという達成感か、背徳を超越した高揚感か……。夫、妻にバレなければこれほど美味しいものはないと経験者は口々に言う。

 自宅不倫の経験のある30代後半の女性は言う。

「不倫相手の自宅にいる間は、自分の髪の毛を落とさないように気をつけたり、香水の残り香にも注意しますね」

 アクセサリーを忘れない。落とさない。こういった「気遣い」は自宅不倫では欠かせない。だが留守中に誰かが家の中に入ったことはやはりわかる。敏感な人ならば微妙に空気が違うと感じる筈だ。

 しかし、なかには不倫相手男性の妻がまず使っていないような、100円ショップ「ダイソー」で売っているような派手で安物のヘアピンをわざと洗濯機の中に入れる不倫女性もいる。東京都に住む主婦・Aさん(40)が語る。

「自分はこんなに彼を愛しているんだもんというアピールです。彼の奥さんが洗濯機を回すとカラカラと音がするでしょ? 奥さんが『何だろう?』と思って確かめると女性用の知らないヘアピンがある。そしたら夫に詰め寄るじゃない?」

 確信犯でしたたか、かつ傲慢──不倫相手が修羅場になろうがお構いなし。不倫女はそんな状況を楽しんでいる。もっと喧嘩して仲が悪くなれば、「私のものになる」という浅はかな考えもそこにはある。

男性の場合「自宅不倫」する理由はまったく違っていた

 一方、自宅不倫する男性にも理由があるようだ。埼玉県に住む地場食品メーカー勤務・Hさん(45)もそのひとりだ。

「シティホテルを使う余裕はもちろんないし、ラブホでも5000円くらいかかってしまう。そもそも不倫デートってなんだかんだでメシ代とホテル代とか合わせたら2万円から3万円は飛ぶでしょ? そんな小遣いもらってないですよ。だったら家内がいない時間を狙って自宅を使えばいい、と」

 もっぱら不倫での逢瀬はラブホだったHさんは、営業職なので営業車が自由に使えるメリットをフルに活用して自宅不倫を楽しんでいる。週3日、朝10時から夕方5時までパート勤務で家を空ける妻(44)がいない時間帯が不倫相手女性(41)との逢瀬の時間だ。

「自宅不倫に切り替えてから小遣いにも余裕が出てきましたよ。ラブホを使ってるときは、それこそ1か月に1度か2か月のペースでの逢瀬でした。今では週1ペースで不倫を楽しんでます。最初、不倫の彼女も嫌がるそぶりを見せました。でも、やっぱスリルですかね? 今では彼女のほうがハマってます」(Hさん)

 新生銀行が行った「2015年サラリーマンのお小遣い調査」によると、サラリーマン男性の小遣いの額は3万7642円で、1979年の調査以来、過去2番目(過去最低額は1982年の3万4100円)の低い水準となった。2015年、日経平均は18年ぶりに2万9000円台になった。にもかかわらずサラリーマン男性のお小遣い額は減少した。言うまでもなく、長きに渡ったデフレと、消費増税の影響が大きい。

「『不倫経済』という言葉もあるくらい、これまで不倫はさまざまな経済効果を生み出していた。食事、宿泊、買い物、レジャー……いろんなところにカネが落ちていたんです。『自宅不倫』が象徴するのは、日本が予想以上に景気後退の局面に入ってきているということ。不倫にビタ一文かける余裕がない、ということ。女性はスリルを味わえていいかもしれませんが、男性にとっては悲しい話です」(経済ジャーナリスト・秋山謙一郎氏)

 家計の節約から小遣いの減少がすすむなか、フリー(無料)で不倫を楽しめる自宅不倫は、まさに不況とデフレ化という経済動向が咲かせた時代のあだ花といえよう。そのコストは交通費のみだからだ。不倫のコストもまたデフレ化が進んだといったところか。

大越冴子(おおこしさえこ)1975年神奈川生まれ。大学時代は合コンに明け暮れる。卒業後、会社員として働いた後、フリーライターに。主な記事に「40代の独身女性たちが妥協できない結婚条件の本音」(デイリーニュースオンライン)など。離婚、再婚歴あり。現在、妊活中。