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NECが運営する「WISDOM」は、タイトルロゴ周辺にも「NEC」の文字はなく、ドメインもコーポレートサイトとは別だ。記事をすべてスクロールした最後に、NECのロゴが1つあるだけだ。

コンテンツは経営層およびビジネスパーソン向けの、ビジネスに役立ちそうな知識やカルチャーが中心となっており、NECの製品紹介や導入ユーザーレポートなどもない。企業が運営するオウンドメディアでありながら、企業色がかなり抑えられている印象だ。

「WISDOM」が誕生したのは、2004年12月のことだ。過去にNEC Solutionsが発行していたメールマガジンがベースになっており、「WISDOM」の前身にあたるサイト「ITスクエア」ではコーポレートサイトの一部ではあったものの、NEC色を抑えた構成としていた。「WISDOM」は、その方向性をさらに推し進めたものになっている。

「NECを強く押し出すと、会員がIT関連の人に限られてしまいます。経営企画やマーケティング、研究開発に従事している方など、多彩な会員を得たいという狙いから、URLにもNECを含めない形で独立することになりました」と語るのは、NECマネジメントパートナー マーケットコミュニケーション事業部 第一マーケットコミュニケーション部 シニアエキスパートである桑原通江氏だ。

「WISDOM」はその後、2006年9月に「ビジネスに役立つ"次の一手"をあなたに」というコンセプトでリニューアル。さらに2013年3月には「つなぐ。つながる。」という新しいコンセプトを掲げたサイトリニューアルを行い、現在の白を基調としたシンプルかつ上品な雰囲気のサイトを作り上げた。

○76.5万人の幅広い会員を獲得

同サイトの会員数は2015年11月現在で76万5,000名におよぶ。会員登録の入口としては、サイト上で行う会員限定記事を読むための登録のほかに、NECが主催する各種イベントへの参加申し込みなどがあるという。

「2010年から2011年頃に大きく会員数が伸びました。ちょうどNECが毎年開催しているiEXPOにWISDOMとしてブースを出展したり、各事業部が出展する展示会でも勧誘したり、積極的に動き出した時期です」と語る桑原氏は、「プレゼント企画などもやりましたが、一時的に人が増えるだけで、あまり良い結果にはつながりませんでした」と会員獲得方法を説明する。

サイトには有名なコラムニストも執筆しており、幅広いユーザーの獲得に成功している。

「会員は業種別でもっとも多いのは製造業の方です。次いでサービス業、商社といった感じの分布です」(桑原氏)

具体的な割合は製造業が24%、サービス業と商社・卸売・小売業がともに8%。コンピューター関連の製造業が7%で、学校・教育関連の5%と続き、幅広い業種からユーザーが集まっている。

職種別で最も多いのは情報システム(15%)で、このあたりはNECらしいといえるかもしれない。2番目に多いのが営業販売(15%)、3-4番目は経営企画と研究開発でともに10%で、5番目はマーケティングの4%。「WISDOM」創設時に目指した、ITに縛られない幅広い会員の獲得という目標は達成できているようだ。

○6つのジャンルで「NEC色のない」情報を提供する編集方針

非常に多くの会員を獲得している「WISDOM」だが、その制作に関わっている人数はそれほど多くない。

「社員は私を含めて4人で、企画等を担当します。実際に記事を書いてくださるコラムニストや取材記事を担当するライターはたくさんいらっしゃいます。ほかに執筆者と我々の間に立ってくださる代理店と、グループ会社のコンテンツ担当をしている部門、システム担当部門、問い合わせ担当といった人が関わっています」(桑原氏)

こうした各種担当者が集まって行うのが、週1回の編成会議と月1回の問い合わせ定例会議、月2回のシステム関連会議だ。こういった打ち合わせを経て、週に3〜4本の記事を掲載する。更新タイミングを毎週金曜日とし、その後自動でTwitterやFacebookでの告知を行うしくみだ。毎週月曜日には前週末に公開した記事について掲載したメールマガジンも発行する。

「最近、メールが開封されなくなってきていると言われますが、それでもメールからの来訪者はいます。なかなか切り捨てるわけにはいかない存在です」(桑原氏)

コンテンツは、経営・戦略、マネジメント、テクノロジー、マーケティング、スキル・キャリア、ライフ・カルチャーの6ジャンル。情報の配置もカテゴリ別、おすすめ情報などといった形でうまく調整することで、コンテンツへのアクセスをしやすくしている。また、セミナーやイベントを開催したり、テレビやラジオといったメディアを通じたコミュニケーションを行ったりと、さまざまな接点を作っている状態だ。

「WISDOM」の編集方針について桑原氏は、「初期から続いている人気コンテンツもあります。今は"つなぐ。つながる。"をテーマに、NECの名前を出さない方針で編集しています。記事内容としては、ためになった、ヒントになったと思っていただけるようなものにしたいですね。ブランドイメージを上の方に置いておきたいので、それにそぐわないようなものは扱いません」と語る。

こうした方針からブレがないかどうかは、年に1回行う会員向けの調査からフィードバックを受け、確認しているという。

基本的に広告掲載はなく、グループ会社や取引先に関連があるからという理由で特定の商品や人に関して記事化することもない。「企業コンテンツはありますから、仮にグループ会社からの推薦があった場合には、WISDOMにふさわしいものだと判断できれば取り上げることになります」と桑原氏は、あくまでもWISDOMがNECの広報媒体ではなく、独立したメディアであるという立場で語った。

○ユーザー情報はマーケティングに活用

NEC色をできるだけ排除し、独立性の強い濃いオウンドメディアではあるものの、会員のデータはマーケティング活動に活かされている。

「会員情報をCRMに取り込み、WISDOMとコーポレートサイトのログや、セミナー参加情報などをあわせて行動分析を行います。そこから出てきた情報を営業担当者に引き渡し、お客様へのアプローチに使うという形です。もちろん、セミナー等のターゲティングメールを送信する時にも利用しています」と桑原氏。

そうした役割を持っている「WISDOM」は、現在1カ月あたり約100万のPVを得ている。「少ないとは思っています。もっと広げて行きたいですね」と桑原氏は力強く語った。