低ければ低いほどよい、というものでもない

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米国立衛生研究所(NIH)が2015年11月9日に、総合医学雑誌「New England Journal of Medicine」で発表した、「収縮期血圧120未満の人は、140未満の人よりも心疾患や死亡率が低下した」とする研究結果について、日本高血圧学会や臨床研究適正評価教育機構など複数の専門団体が、「信頼性は高いものの、一律に誰もが120を目指すべきではない」とする見解を表明している。

NIHは、2009年から50歳以上の高血圧患者である米国人9361人を対象に、健康状態を追跡調査する「SPRINT(Systolic Blood Pressure Intervention Trial)」という研究を実施していた。

研究の結果、収縮期血圧が120未満の人は、140未満の人よりも心筋梗塞、その他の急性冠症候群、脳卒中、心不全、心血管死の発症や死亡率が低下したとされる。

これを受けて、日本でも一部で、収縮期血圧120未満を推奨すべきとする声が出たが、日本高血圧学会や臨床研究適正評価教育機構は、「研究対象が心疾患になりやすい人のみ」「120未満の人に急性腎障害、急性腎不全などの重篤な副作用が起きている」「米国人を対象にした結果」といった点を踏まえ、より低い血圧値を目指すことを推奨はするものの、「年齢や既往歴によって最適な血圧は異なり、誰もが120未満を目指すと危険な場合もある」と注意を促している。

日本高血圧学会では、「高血圧治療ガイドライン2014」の中で「収縮期140以上または拡張期が90以上」を「高血圧」とし、「収縮期120未満、拡張期80未満」を正常血圧以上に健康的であるとしているものの、必ずしも120未満になる必要があるかは断定できないとしてきた。

参考文献
A Randomized Trial of Intensive versus Standard Blood-Pressure Control.
DOI: 10.1056/NEJMoa1511939. PMID: 2655127

(Aging Style)