厚労省が「マタハラ離職」の失業手当を手厚くする方針、退職理由で差が出る雇用保険の問題とは

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先月25日、厚生労働省が、妊娠や出産を理由に職場で不当な扱いやいやがらせを受ける「マタニティーハラスメント(マタハラ)」で会社を辞めた場合に、失業手当の給付を手厚くする方針を決定しました。これは、マタハラを理由に会社を辞めた人も、会社の倒産や解雇など「会社側の都合」で退職した人と同じ特定受給資格者とするもので、育児休業や介護休業を希望しても取れずに辞めた人も対象となる見込みです。厚生労働省では、今後「マタハラ離職」に該当する条件などを詰めた上で、上記の制度を来年度に実施することを目指すとのことです。

「自己都合」と「会社側の都合」の違い


現行の制度では、マタハラを理由に会社を辞めても「自己都合扱い」とされるケースが多く、失業手当の受給期間が「会社側の都合」で失業した場合にくらべて短かったり、申請から受給までに日数がかかったりと、退職する人にとってはデメリットが多いことが問題となっています。

たとえば、雇用保険の加入期間が10年未満の人で比べてみると、「自己都合扱い」で退職した場合、失業手当が給付される期間は90日間(雇用保険の被保険者であった期間が1年以上10年未満の場合)。失業手当の給付を受ける際には、離職票などをハローワークに提出し、「受給資格の決定」がおこなわれてから7日間の待機期間がありますが、「自己都合扱い」の退職となった場合には、さらに3か月間の給付制限がつくため、実際に失業手当を受け取れるまでには、書類を提出してから約4か月という日数がかかります。

これが、「会社側の都合」によって退職したと認められた特定受給資格者では、雇用保険の加入期間が5年以上10年未満、年齢が30歳未満というケースを例に取ると、失業手当が給付される期間は120日間と、自己都合と比べて1か月の差がつきます。また、特定受給資格者には給付制限の期間はないため、ハローワークに書類を提出して1か月ほどで、失業手当の給付を受けることができるのです。

妊娠・出産した派遣社員の半数近くがマタハラ被害に


ちなみに、育児・介護休業法では育休などの申し出を会社は拒否できないと定められ、妊娠や育休取得を理由に解雇や降格などをおこなうマタハラ行為は男女雇用機会均等法で禁じられています。しかし、厚生労働省が今年9月から10月にかけて、25歳から44歳の女性を対象におこなった調査によると、妊娠・出産した正社員でマタハラ被害に遭った人の割合は21.8%。さらに派遣社員では、48.7%と半数近くの人が「マタハラに遭った」と回答する結果となっていました。

少子化が問題となっている現在において、政府は出生率のアップを方針に掲げていますが、そのためには女性が安心して出産・子育てできる環境の整備が不可欠です。

また、同時に日本の社会においては高齢化も進んでおり、家族の介護のために仕事を辞めざるを得ない「介護離職」も問題となっています。

冒頭に述べた雇用保険制度の見直しは、この2つの問題を解決するための第一歩といえるかもしれません。認定をどのようにするかなど、具体策がどのようにとられるのかについて、今後の動向を見守っていきたいですね。

<参考>
http://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/2015_1118.html
(マタハラで退職も 深刻な実態 NHKニュースWEB)
https://www.hellowork.go.jp/member/unemp_question02.html
(雇用保険制度について ハローワーク)
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000088308.html
(STOP!マタハラ 厚生労働省)