画像

写真拡大

 デジタル時代が本格化する中、メディアビジネスにも変革の波が押し寄せている。これからのメディアはどうなるのか、またどのような変化を期待されているのか。メディアビジネスのこれからについて、「東洋経済オンライン」編集長の山田俊浩氏、コンデナストジャパンでVOGUE、GQ、WIREDなどのサイト及びデジタルマガジンのジェネラルマネージャを務める新井良氏に、翔泳社のデジタルメディア「MarkeZine」編集長の押久保剛がモデレータとして加わり、ディスカッションを行った。

■変わりゆくプラットフォーマーとパブリッシャーの関係性

 ビジネスメディアでは国内No.1のPVを誇る「東洋経済オンライン」、グローバルな最先端ファッションを日本にいち早く紹介する「VOGUE」、そしてマーケター向け専門メディアである「MarkeZine」。それぞれメディアの性格は異なるものの、3者とも異口同音に「環境の変化を実感している」と語る。
コンデナストジャパン デジタル・カントリーマネジャー 新井 良氏(写真右)
株式会社東洋経済新報社 東洋経済オンライン編集長 山田 俊浩氏(中央)
株式会社翔泳社 メディア編集第2部 部長 兼
MarkeZine編集部 編集長 押久保 剛(写真左)

 それはデジタル環境の変化を起点とする「プラットフォーマーとパブリッシャーの距離感」だ。日本ではキュレーションメディアが急速に台頭し、今年10月7日にはGoogle Play Newsstandがスタート、一方、先行する米国ではFacebookインスタントアーティクルズがスタートするなど、プラットフォーマー側の動きが激しい。コンテンツの流通・配布をプラットフォーマーが担いつつある中、「プラットフォーマーとどう付き合うか」はパブリッシャーの大きな懸案事項となっている。

 そんな押久保の問いかけに、山田氏は「グローバルとローカルでは状況が異なる」と語り、日本のプラットフォーマーについては、今後はオリジナルニュース配信する体制の構築が想定され「“フレンドでありながら敵”にもなる可能性が高い」と分析する。

 一方、グローバルなデバイスを持つGoogle、Apple、Facebookなど大規模SNSについては、「あえてオリジナルニュース事業に参入する可能性は低い」とし、「ユーザーへの接点として全方位で付き合っていくのが賢明」と語る。

 付き合う際の注意点として山田氏は「契約条件やマネタイズ面などを、自分たちでコントロールできるのか、相手側がコントロールするのかを見極めるのがポイント」と挙げる。

 新井氏もプラットフォームとの付き合い方において「目的が変化してきている」と語る。これまでプラットフォーマーへコンテンツを配信する見返りが“トラフィック”であったのに対し、近年では直接的な“マネタイズ”になりつつある。

 たとえば、Facebookインスタントアーティクルズなどでは、かつてのトラフィックを送るモデルから、場に“広告枠”を設け、そこでマネタイズが可能なモデルへと変わっているという。さらに新井氏は、若い層に急速にユーザーが増えているメッセージングアプリ「SnapChat」の機能である「Discover」を紹介。

 「Discover」ではCNN、NATIONAL GEOGRAPHIC、BuzzFeedなどのメディアを見ることができ、リッチなエクスペリエンスを実現している。こういった配信先であれば、若年層を中心に新しいファンを囲い込む機会を創出し、マネタイズのチャンスも生まれるのではと予想する。

 これらのような傾向を、コンデナストのマネージャー達は「クローズドソーシャル」と呼び、続々とプラットフォームへの出店(ディストリビューション)が増えていくと予測しているという。ただし、管理が複雑化するのは明白であり、「メディア運営の体制や人材づくりにも影響を与える」と新井氏は指摘する。

MarkeZine編集部[編]、伊藤真美[著]、高山 透[写]