睡眠不足で頭がボンヤリしたり、集中力が続かない。それって、脳にゴミがたまっているからって知っていますか? 脳には老廃物を運ぶリンパ管がないため、日中はゴミがどんどん溜まっていきます。睡眠に入ると脳細胞が縮んですき間ができ、そこから脳のゴミが排出されるのです。ゴミの蓄積が進むと、数十年後に認知症につながるケースも…。
 快眠セラピストの三橋美穂さんは『脳が若返る快眠の技術』(KADOKAWA/刊)で、睡眠と認知症の関係や、睡眠に悩んでいる読者に向けて、質の良い睡眠をとるための方法を伝授しています。
 三橋さんが特に本書を読んでほしい層として挙げているのが、40代以降のミドル層からシニア層。今回、新刊JPは、特に高齢層の方々の睡眠の悩みを解決する方法を中心に、三橋さんにお話をうかがってきました。その後編となります。
(新刊JP編集部)

■お互いぐっすり眠れる理想の夫婦の寝室、ポイントは?

――年齢が高くなってからの睡眠において、注意すべき点はなんですか?

三橋:年齢を重ねるごとに必要な睡眠時間が短くなるのが普通です。だから、まずは自分にとって適切な睡眠時間を知ることから始めましょう。
また、この本では眠りの法則を5つ挙げています。「体内時計を整える」「疲れをためる」「深部体温のメリハリをつける」「就寝前は心身をリラックスさせる」「心地よく眠れる寝室をつくる」の5つで、これらが満たされているかどうかが一つの基準になるはずです。
あともう一つ大切なことがあって、夜、目が覚めてトイレに行く方も多いですよね。でも、パチンと電気をつけてしまうと眠れなくなってしまうことがあります。強い光に刺激されて脳が目覚めてしまうんです。もちろん真っ暗だと転倒などの危険があるので、フットライトやセンサーライトで足元を優しく照らすと良いと思います。いつもトイレに起きたあと、1〜2時間眠れなくて悩んでいた方が、スマートフォンを足元に向けながら目に光を入れないように用をたしたら、すぐに眠れたというケースもありました。

――この本では「ぐっすり眠れる理想の寝室」をイラスト付きでご紹介されています。夫婦別室で眠ることと夫婦が同じ部屋、同じベッドの上で眠ること、どちらがいいのでしょうか。

三橋:単純に睡眠という観点のみで考えれば、一緒のベッドではないほうがよく眠れます。パートナーの動きで目覚めることはありませんし、自分自身も自由に動けます。また、暑がりや寒がりという体質は人によって快適な温度は違いますから、自分にちょうどいい環境をつくることもできます。
今は部屋の中を上手く仕切って、相手の気配は感じるけれどもそれぞれ独立したスペースで眠るという半個室タイプが人気ですね。

――夫婦同じ部屋ですと、「いびき」という問題があります。

三橋:いびきを防ぐには、横向きやうつぶせで寝ることで気道が確保され、軽減されます。サポートグッズとしては「抱き枕」や、クッションや衣類をつめたリュックを背負いながら眠る「背枕」というものがありますね。あとは、妊婦さんがとる「シムスの姿勢」は、太りがちでよくいびきをかいてしまう男性にも効果的だと思います。
また、喘ぐようないびきが突然途中で止まる場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性もあるので早めに病院で診察を受けるべきでしょう。

――これからだんだんと寒さが増していく時期です。冬の寒さをしのぐためのオススメアイテムを紹介していただけますか。

三橋:寒いと掛け布団や毛布などたくさん掛けてしまう人は多いと思います。ただ、かけすぎると体が圧迫されて血行が悪くなり、逆に温まらなくなってしまうことがあります。そこで、3枚以上かけている人は、床からの冷気を防ぐことを考えましょう。布団やマットレスの上に保温性の高い敷きパットを敷いたり、下にアルミシートで断熱するのも効果的です。
あとは、女性で寒いからと靴下を履いて寝る人が多いですが、足が締めつけられて血行が悪くなってしまうことがあります。また、寝ている間に汗をかくのですが、その汗が靴下に溜まって、明け方に足が冷えてしまうことがあるので、靴下よりもレッグウォーマーのほうがオススメですね。また、もっと大事なのが腹巻きです。お腹を温めて内臓が冷えないようにする。そうすれば全身も温まりますから、腹巻きとレッグウォーマーの組み合わせはぜひやっていただきたいです。

――このインタビューの読者のみなさまへメッセージをお願いします。

三橋:40代の方々は「まだ頑張りがきく!」と思って無理しがちになりますが、毎晩ちゃんと眠って、脳のゴミを出してほしいですね。ゴミがたまったままだと仕事の生産性が下がって残業が増え、さらに睡眠不足になるという悪循環で、脳のゴミがどんどん蓄積されてしまいます。それが将来の認知症につながる可能性もあるので、その日のゴミは、その日のうちにキレイにしましょう。もちろん、60代、70代の方々も質の良い睡眠をとってもらいたいです。睡眠はさまざまなことが影響するので、自分では気づかない盲点があるかもしれません。ぜひ本書を参考にしてみてくださいね。

(了)