牛肉の旬 っていつなの? おいしさの見極めとは

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ここでは普段あまり意識しないであろう 牛肉の旬 についてご紹介します。

四季のある日本では、昔から、季節ごとの旬の食材を上手に取り入れて味わう文化が根付いてきました。こうした習慣は、人々のからだや心を満たすのに役立っています。旬が話題になるのは、野菜や果物、魚介類ですよね。肉類についてはあまり語られませんが、日本が誇る和牛にも、旬はあるのでしょうか?

牛肉の旬 はいつ?


野菜や魚には「出盛り」=食べ頃の時期があります。これを「旬」と呼んでいます。もっとも味の良い時であると同時に、旬は大量に収穫できる時期でもあります。
一方、肉の場合を考えると、私たちが口にする牛肉は野生種と違います。捕獲してさばく肉であれば、秋冬に肥えるなどの違いが出ますが、厳密な生産管理体制下では、「旬」と呼ぶ時期を決めるのは難しいです。おいしさに違いが出るとすれば、それは飼育環境、エサ、成長段階などが大きいでしょう。

肉のおいしさを決めるものとは?


肉の美味しさって何でしょうか。味覚の点から考えると、「うま味」による評価があります。牛肉は、野菜や魚と違い、熟成という過程を経ることでうま味を増します。これは、うま味のもととなるアミノ酸などの成分変化を利用した食べ方です。最近「熟成肉」というのが流行っていますが、熟成過程によっておいしさが変わっていくのをより楽しむ食べ方です。

牛肉の熟成過程をもっと具体的に説明しましょう。
通常、死後硬直によって肉は固くなります。しかしその後、肉のたんぱく質は酵素によってうま味の一種であるイノシン酸に分解されます。また、筋肉を覆っているコラーゲンも、酵素によって分解され、肉は柔らかくなります。さらに、脂肪は酵素によって分解されて脂肪酸になり、香りが出ます。これが熟成です。

熟成期間は、腐敗を防ぐために4℃程度の低温貯蔵を行います。また期間は牛肉の場合、2週間前後熟成され市場に出回ることが多いのです。

熟成された肉のおいしさとは?


正確には、人間に備わる味覚のなかに「うま味」はまだ加わっていません。うまみを感知するセンサーがまだ科学的にハッキリとは解明されていないからです。しかし、私たち日本人には、うま味を感じるという表現はわかりやすいでしょう。また、このうま味という表現でなくても、それに相当する感覚を、口当たりなどで感じている方も多いのではないでしょうか。

というのも、和牛の脂身は、味よりは口当たりに影響します。サシが多い肉は柔らかく、赤身が多いと歯ごたえがあります。また、部位によっても脂身や筋の状態は変わります。おいしい和牛を作るには、それぞれの絶妙なバランスを調整して育てられた牛肉です。

牛の一生をたどる「トレーサビリティ法」


日本では、牛海綿状脳症(BSE)の予防措置を明確に実施するため、牛一頭ごとにその飼養履歴などにかかわる情報を管理することになっています。牛個体識別台帳を作成し、牛ごとに個体識別番号、出生又は輸入年月日、移動履歴等を記録するとともに、その情報を、原則としてインターネットやその他の方法により、消費者に公表するというものです。

牛の種別、管理者の電話番号、輸入された牛については、輸入先の国名及び輸入者の電話番号、畜者の氏名・連絡先、並びに畜場の名称・所在地などを消費者も見ることができるのです。

明確な 牛肉の旬 はありませんが、自分が一番味がいいと感じる「味覚」「歯ごたえ」「香り」などを見つけ、その肉が口に入るまでの経緯をたどってみると、「旬」に似たようないい時期の発見があるかもしれません。

■執筆者プロフィール:山本具代(やまもと・ともよ)
管理栄養士、サプリメントアドバイザー、食生活アドバイザー。株式会社とらうべにおいて、企業で働く人の食と健康指導、糖尿病などの疾病を持つ人の食生活指導にあたっている。