「あの、気になったんですけど、僕のときとフラッシュの数、まったく違いますよね!?」

笑顔を交えながらも大人げなく抗議をしたのは、今年のセ・リーグ覇者、東京ヤクルトスワローズの真中満監督。昨日、都内で行われたニッポン放送主催「ショウアップナイターCONFERENCE2016」でのひとコマだ。

このイベントのスペシャルゲストとして最初に登壇したのが真中監督。そして、あとから登壇し、真中監督以上のフラッシュを浴びた人物こそ、読売ジャイアンツの新監督、高橋由伸監督だ。


「僕、ちゃんと入ってます? レンズ向いてる?」


高橋新監督、といえば監督就任以来、ユニフォーム姿以上にスーツが似合う、ともっぱらの評判だ。

「今日もスーツ姿が素敵ですねぇ」と司会を務めたニッポン放送・師岡正雄アナウンサーが振ると、「いやぁ、もう毎回同じに見えないよう、ネクタイを変えたりと、大変ですね」と謙遜する。
そうはいっても、野球人らしからぬスマートさは評判通り。最前列にいたカメラマンのシャッター速度はますます速くなる。

ここで飛び出したのが、冒頭で紹介した真中監督による抗議。由伸監督との「フラッシュ差別」をカメラマンへ問いただす。
といっても怒る様子もなく、終始笑顔の真中監督。これが優勝監督の余裕か。「先に出て、僕がやわらかい空気を作ったから!」とアピールも忘れない。

真中・由伸両監督によるフォトセッションになっても、「あの、僕、ちゃんと(画角に)入ってます? レンズ向いてる?」と、真中監督とカメラマンのやり取りは続く。師岡アナは、「安心してください。リーグ優勝監督ですから、入ってます」とフォローを入れた。


大事なことは『どうすれば伝わるか』


そんな真中監督だが、由伸監督が登壇する前には、優勝監督らしく「指導者論」を語る場面も。「組織のリーダーとして、若い世代とどうコミュニケーションをとっていたのでしょうか?」という質問に対しては、こんなコメントを返した。

「選手によって、僕が直接伝えた方がいいタイプと、コーチから伝えた方がいいタイプがいます。コーチはたくさんいますので、いろんな人を上手に使いながら、多様なアプローチをしていく。そこに僕は一番気を使いましたね」

さらに、真中監督は「怒らない」という指導理論を続けた。

「怒れば、(その怒った人間は)仕事をしている雰囲気になるじゃないですか。でも、大事なことは『どうすれば伝わるか』だと思うんです。言われた本人が一番わかりますからね。自分のために話してくれているのか。それとも、イラついているだけなのか。そこは相手にバレますから、慎重になっています」


新人監督として、2年連続最下位のチームを指揮した真中監督。試行錯誤し、その末に手にした14年ぶりのリーグ優勝だった。

「優勝して、(14年前の)若松監督の気持ちがすごくわかりまして、思わず『ファンの皆さま、優勝おめでとうございます』と(14年前に流行語にもなった)若松監督と同じコメントを言ってしまいました」

だからこそ、日本シリーズでの敗戦がより悔しいという。

「日本一を逃した瞬間、優勝が半減したというか、残念な気持ちになってしまった。来年も優勝、そして日本一に向けて、いい試合をやってきたい。偉そうに“追われる立場”なんかじゃないですよ。1試合1試合、大事に戦っていきたいと思います」

選手・井端がいてくれたらなぁ、とも思いますね


一方、来季の新人監督・高橋由伸は、自身が目指す指導者スタイルを次のように表現した。

「選手と年齢も近く、ついこの前まで一緒に戦っていましたので、その辺は、他チームの監督よりも選手に近いのかな、と。一緒に戦っていて感じる部分もありましたし、特に、打線の方に課題がたくさんあります。まずそこを解消して、打てるチームにしないといけないですね」


そして話題は、選手・高橋由伸と井端弘和、突然引退の決まった代えの利かないベテランふたりの「穴」について。

「自分で『自分の穴が大きい』とは言えないんですが(笑)、井端の抜けた穴は正直、大きいですね。コーチになってくれてありがたいんですけど、選手・井端がいてくれたらなぁ、とも思います。(井端が)辞める相談はなかったんですよ。僕が監督に就任したら、『俺もやめる』と。『いやいやいや、俺のためだったらいいから、大丈夫だから!』と言ったんですけどね(笑)」

続きは来季の開幕ゲームで


真中監督と由伸監督のふたり、というか両チーム。来季の開幕ゲームで対戦することが既に決まっている。


「今季は巨人の13勝12敗。ほぼ互角の結果でしたが、お互い、どんな印象をお持ちでしょうか?」と司会の師岡アナ。

「互角というイメージはなく、神宮ではとくにコテンパにやられてしまいました。今年のチャンピオンチームですし、なんとかいい勝負をしたいと思います。」と答えたのは由伸監督。新人監督らしく、真中ヤクルトを持ち上げつつ、宣戦布告も忘れない。

一方の真中監督、「まさかジャイアンツの監督にそんなこと言ってもらえるとは思わなかったなぁ」と本当に嬉しそう。そして、なぜかハニカミながら言葉を続ける。

「そう思ってもらえるのは幸せなんですけど、ジャイアンツに勝たないと優勝はできないですから。切磋琢磨しながら、盛り上げていきたいと思います」

司会の師岡アナは「はやくも火花バチバチ、といったところですが……」とコメント。だが、そんなことはない。あきらかに真中監督、デレデレだった。来季の準備は大丈夫だろうか?
(オグマナオト)